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顔出しなし動画に字幕は必要?2026年の結論と不要な5条件を実データで解説

公開: 2026-07-15 約23分 顔出しなし字幕視聴維持率YouTube収益化
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顔出しなし動画に字幕は必要性があるのか、原則必要な理由と例外を整理。焼き込みテロップとCC字幕の決定的な違い、2025年7月YPP改定で文字だけ動画がリスク化した経緯、字幕が逆効果になる5条件を、運営2チャンネルの実データと実装9ステップで解説します。

目次

「顔出しなし動画に字幕は必要なのか」——結論から言う。原則として必要。ただし「テロップを焼き込めば済む」という意味ではないし、すべてのジャンルに当てはまるわけでもない。

顔出しなし動画の解説記事の多くは「字幕は必須です」で話を終わらせる。しかしこの結論には、実務上あまりに大きな穴が3つある。ひとつ目は、視聴者が読む「焼き込みテロップ」と、検索エンジンが読む「CC字幕(字幕ファイル)」はまったくの別物で、片方だけでは効果が半分しか出ないこと。ふたつ目は、2025年7月のYouTubeパートナープログラム(YPP)ポリシー改定で、「説明や教育的価値がほとんどないスクロールテキストや画像スライドショー」が収益化できない例として明記されたこと。つまり「文字を大量に出す」戦略は、いまや加点どころか減点になりうる。3つ目は、字幕が視聴維持率を下げるジャンルが実在することだ。

筆者は顔出しなしのチャンネルを2つ運営している。ひとつは字幕を全編に焼き込む雑学系チャンネル(登録者1,120人/総再生2,810,520回/投稿60本=1本あたり平均約4.7万再生)。もうひとつは字幕をほぼ使わない睡眠系チャンネル(登録者120人/総再生125,673回/投稿107本=1本あたり平均約1,174回)。この2チャンネルを並走させた実感から言えるのは、字幕の要否は「顔出しの有無」ではなく「視聴者がその動画の画面を見ているかどうか」という視聴文脈で決まるということだ。

この記事では、字幕の効果を煽るのではなく、「どこまでが本当で、どこからが誤解か」「どのジャンルなら省いていいか」「最短でどう実装するか」を、手順・比較表・チェックリストで具体的に落とし込む。

結論:顔出しなし動画に字幕が「原則必要」な理由と、必要でない条件

先に全体像を表で示す。自分の動画がどのタイプに当たるかを確認してほしい。

動画タイプ 焼き込みテロップ CC字幕(SRT) 理由
雑学・解説・ランキング(ナレーション主体) 必須 推奨 情報が音声にしか無く、無音視聴で内容が消える
ニュース・要約・まとめ 必須 必須 固有名詞・数字の聞き間違いが致命的。検索流入も狙える
ストーリー・体験談・2ch系 必須 推奨 セリフの話者判別に文字が要る
ハウツー・手順解説 必須 必須 手順名・設定名は音だけでは再現できない
睡眠・ヒーリング・作業用BGM 不要(むしろ逆効果) 任意 視聴者は画面を見ていない。光る文字は入眠を妨げる
ASMR・環境音 不要 任意 音そのものがコンテンツ。文字は情報ノイズ
風景・映像美・タイムラプス 不要〜最小限 任意 映像が主役。文字が画面を割る
ゲーム実況(無音BGM+効果音主体) 部分的 任意 全文字幕だと画面情報と競合する

この表の要点は、「顔出しなし=字幕必須」ではなく「音声にしか情報が無い動画=字幕必須」だということだ。顔出しなしジャンルの大半が前者に当たるから「顔出しなしなら字幕必須」という言い回しが広まっているだけで、因果関係はひとつ内側にある。

顔を出さない構成では、視聴者が受け取れる手がかりが減る。顔出し動画なら、話者の表情・口の動き・身振り・視線が「音声を補う冗長性」として機能する。音を消しても、表情だけで「いま盛り上がっている」「いま真面目な話をしている」が伝わる。顔出しなし動画にはそれが無い。だから字幕は「アクセシビリティのおまけ」ではなく、顔出し動画における表情の代替=一次情報になる。ここが、一般的な「字幕をつけると理解度が上がります」という説明では抜け落ちている構造的な違いだ。

なぜ顔出しなしだと字幕の重要度が跳ね上がるのか(3つの構造的理由)

理由1:無音視聴が前提になっている

スマートフォンでの動画視聴において、音を出さずに見る視聴者が多数派だという調査は複数ある。Facebook(当時)の調査では、ミレニアル世代の85%、Z世代の64%が音声なしで動画を視聴しているという結果が報告され、「視聴者の75%がスマホの動画を音無しで見ている」という数字も広く引用されている。数字そのものは調査年・調査対象で幅があるので鵜呑みにはできないが、電車・職場・寝室・深夜の自宅といった「音を出せない環境」で動画が消費されているという方向性は、どの調査でも一致している。

顔出し動画なら、無音でも表情で7割は伝わる。顔出しなしのナレーション動画は、音を消した瞬間に「情報がゼロの映像」になる。ここが決定的な差だ。

理由2:合成音声(TTS)の聞き取りづらさを字幕が補完する

顔出しなし動画の多くは合成音声ナレーションを使う。合成音声は年々自然になっているが、それでも固有名詞・数字・同音異義語の読み間違いが起きる。「一日(ついたち/いちにち)」「十分(じゅっぷん/じゅうぶん)」「市場(しじょう/いちば)」のような読み分けは今も外す。

この誤読は、字幕があれば「文字が正しいから意味は通じる」で済む。字幕がないと、視聴者は誤読した音だけを受け取り、意味を取り違えるか、離脱する。合成音声を使うチャンネルにとって、字幕は誤読に対する保険でもある。なお合成音声そのものの収益化可否については合成音声の収益化は禁止?例外と認められる条件で整理しているので、TTS運用者はあわせて確認してほしい。

理由3:視線の「止まり木」がなくなる

顔出し動画では、視聴者の視線は基本的に話者の顔に固定される。顔出しなし動画で背景素材だけが流れると、視線が定まらない。視線が定まらない映像は「見ていなくてもいい映像」と脳に判断され、離脱の初速が上がる。字幕は、視線を画面中央〜下部に固定する「止まり木」として機能する。

とくに冒頭2秒は決定的で、ここで視線と指を止められるかどうかが全部を決める。冒頭設計そのものはショート動画の冒頭2秒フックの作り方で詳しく扱っている。字幕は、そのフックを「音無しでも成立させる」ための最低条件だと考えていい。

実データ:字幕を焼き込む雑学チャンネルと、字幕を使わない睡眠系チャンネルの対比

ここからは筆者の実チャンネルの数字を出す。2026年7月時点の実測値だ。

雑学系チャンネル 睡眠系チャンネル
字幕の扱い 全編に焼き込み ほぼ使わない
登録者 1,120人 120人
総再生回数 2,810,520回 125,673回
投稿本数 60本 107本
1本あたり平均再生 約47,000回 約1,174回

1本あたりの平均再生で見ると約40倍の差がある。ここで「だから字幕をつければ40倍伸びる」と言うのは完全に誤りなので、先に否定しておく。

この2チャンネルは、字幕以外の条件がまったく揃っていない。ジャンルの市場規模(雑学は検索・レコメンドの母数が桁違いに大きい)、フォーマット(雑学はショート中心、睡眠は長尺中心)、1本あたりの制作コスト、投稿頻度、サムネイル戦略、アルゴリズム上の推薦のされ方、すべて違う。この差を字幕という単一変数に帰属させるのは、統計的にも実務的にも成立しない。

では、この2チャンネルの対比から何が言えるのか。言えるのはひとつだけだ。

睡眠系チャンネルは、字幕をほぼ使わずに107本・総再生125,673回という「そのジャンルなりの結果」を出している。つまり、字幕がなくても成立するジャンルは実在する。

これが本記事の独自視点のひとつだ。「顔出しなし動画に字幕は必須」という一般論を額面通り受け取って、睡眠チャンネルに字幕を焼き込んでいたら、おそらく結果は悪化していた。理由は単純で、睡眠系の視聴者は目を閉じているからだ。画面を見ていない視聴者に文字を出しても、伝わらないどころか、明るい文字が入眠を妨げて離脱要因になる。

一方、雑学系のほうは字幕を外す選択肢がそもそも無い。無音でスクロールされるショートのタイムラインで、音を出さない視聴者に情報を届ける手段が字幕しかないからだ。同じ「顔出しなし」でも、要否が正反対になる。この分岐を判断する軸が「視聴者はその瞬間、画面を見ているか」である。

字幕の3種類を混同してはいけない(焼き込み・CC・自動字幕)

競合記事でもっとも混乱しているのがここだ。「字幕」と一言で言っても、YouTube上ではまったく機能が違う3種類が存在する。

種類 別名 視聴者側の操作 検索エンジンが読むか 主な役割
焼き込みテロップ ハードサブ オフにできない 読まない 視聴維持率・理解度・演出
CC字幕(字幕ファイル) ソフトサブ/クローズドキャプション オン/オフ可能・多言語切替可 読む 検索・アクセシビリティ・多言語
自動字幕 自動生成キャプション オン/オフ可能 読む(精度は低い) 未設定時のフォールバック

もっとも重大な誤解が「テロップを焼き込んだからSEO対策になっている」というもの。ならない。 焼き込みテロップは映像のピクセルの一部であって、テキストデータではない。YouTubeもGoogleも、その文字を検索対象のテキストとしては扱わない。検索面で効かせたいなら、SRT等の字幕ファイルを別途アップロードする必要がある。

逆の誤解もある。「CC字幕をアップロードすれば、焼き込みテロップは要らない」——これも違う。CC字幕はデフォルトでオフの視聴者が多数で、とくにショートのスワイプ視聴では誰もCCボタンを押さない。視聴維持率に効くのは焼き込み側だけだ。

つまり正解は二者択一ではなく、「焼き込みテロップ(視聴者向け)+CC字幕(機械向け)」の二段構えである。役割が違うのだから、両方やる。片方だけの記事しか読んでいないと、必ず半分を落とす。

なお、自動字幕を放置するリスクも押さえておきたい。自動字幕は合成音声やBGM過多の動画で精度が大きく落ちる。誤字だらけの自動字幕が、そのままチャンネルの「テキスト表現」としてプラットフォームに読み取られる状態は望ましくない。手動でCC字幕を上げれば自動字幕は上書きされるので、これは字幕ファイルを用意する動機のひとつになる。

【最重要】2025年7月のYPP改定で「文字だけ動画」はリスクになった

ここが2026年に書かれる字幕記事で、絶対に外せない論点だ。多くの既存記事はここに触れていない。

2025年7月15日、YouTubeは収益化ポリシーの「繰り返しの多いコンテンツ(Repetitious content)」を更新し、名称を「量産型コンテンツ(Inauthentic content/真正性のないコンテンツ)」へ変更した。この改定で、収益化できない例として次のようなものが明示的に挙げられた。

太字部分に注目してほしい。「スクロールテキスト」は収益化NGの例として名指しされている。 つまり、「字幕をたくさん出せばYouTubeに評価される」という発想は、2025年7月以降は逆方向に働きうる。

誤解しないでほしいのは、これは「字幕をつけるな」という意味ではないということだ。Googleの日本法人はこの改定について「生成AIコンテンツを対象としたものではない」と説明しており、YouTubeは「ストーリーテリングを強化するためにAIツールを使うことは奨励している」という立場を示している。問題視されているのは「字幕の有無」ではなく「独自の洞察・付加価値の有無」だ。

ここから導ける実務上の結論は、こうだ。

字幕は「わかりやすさ」の担保にはなるが、「独自性」の代替にはならない。 文字を大量に流すだけの画像スライドショーは、字幕をどれだけ綺麗に整えても、ポリシー上の評価は上がらない。

これが本記事のふたつ目の独自視点になる。字幕は必要条件であって十分条件ではない。「読ませる」構成にした上で、その動画でしか得られない切り口・検証・体験を乗せる必要がある。独自性の具体的な作り方はAI動画で独自性を出す方法にまとめてあるので、量産型判定が不安な人はそちらを先に読んだほうがいい。

具体的に危険なのは、次のような構成だ。

  1. Wikipediaや他サイトのテキストをほぼそのまま読み上げる
  2. 背景はフリー素材の静止画スライドショーのみ
  3. 画面には読み上げ全文がスクロールで流れるだけ
  4. 独自の検証・体験・意見が一切ない

この4条件が揃うと、「字幕が完璧なほど、逆に量産型の特徴に一致していく」という皮肉な状態になる。字幕を丁寧にすることと、コンテンツの真正性を上げることは、別の作業だと理解しておきたい。

字幕が不要・むしろ逆効果になる5つの条件

「字幕は必須」の一般論に対して、実務で例外になるのは次の5パターンだ。ひとつでも当てはまるなら、字幕の設計を見直す価値がある。

条件1:視聴者が画面を見ていない 睡眠導入・作業用BGM・ヒーリング・ASMR。筆者の睡眠系チャンネルがこれに当たる。目を閉じている、あるいは別作業をしている視聴者に文字は届かない。明るい文字はむしろ入眠を妨げる。このジャンルで字幕を焼き込むのは、コストをかけて維持率を下げる行為になりうる。

条件2:映像そのものが情報を持っている 料理の手元、風景、タイムラプス、実演。映像を見れば分かることを字幕で重ねると、視線が文字に取られて、肝心の映像が見られなくなる。この場合は全文字幕ではなく、要点だけのポイント字幕に切り替える。

条件3:字幕で「読了離脱」が起きている これは見落とされがちな失敗パターンだ。ショートの冒頭に結論を全文テキストで出すと、視聴者は「読んで、理解して、スワイプする」。動画を最後まで見る必要がなくなるからだ。字幕をつけたのに視聴維持率が下がったなら、まずこれを疑う。対策は、字幕を音声と同期させて小出しにすること。先読みさせないことが重要になる。

条件4:画面が字幕で埋まっている ショートの縦画面は、ただでさえ下部がタイトル・アカウント名・説明文・コメント欄のUIに占有される。そこへ長文字幕を置くと、UIに隠れるか、映像を潰すかの二択になる。文字数を削れないなら、字幕以前に台本が冗長である可能性が高い。

条件5:字幕の工数がROIに合っていない 1本あたり平均再生が数百回の段階で、字幕に1本2時間かけるのは合理的ではない。その2時間は、企画とサムネイルに回したほうがリターンが大きい局面が多い。字幕は「伸び始めた動画のフォーマットを固める」フェーズの投資として捉えるほうが現実的だ。自動字幕ベースで整えるだけでも、初期は十分機能する。

実装手順:焼き込み+CC字幕の二段構えを最短で作る

ここからは具体的な作業手順に落とす。想定は「合成音声ナレーション+素材動画」の顔出しなし構成だ。

  1. 台本を「字幕前提」で書く。1カット=1文、1文=最大30字前後に区切る。この段階で長い文は削る。ここを飛ばすと、後工程で必ず字幕が画面から溢れる。
  2. 音声を先に生成する。TTSでナレーションを作り、読み間違いがある箇所は台本側のかな表記を調整して再生成する。字幕と音声がズレる原因の大半は、この工程を後回しにすることにある。
  3. 自動文字起こしで字幕の下書きを作る。Vrew・CapCut等の自動字幕機能に音声を通す。ゼロから打つ必要はない。
  4. 固有名詞・数字・専門用語だけを目視で修正する。全文を読み直す必要はない。誤りが集中するのはこの3カテゴリだけなので、そこに絞る。
  5. タイミングを音声に合わせる。字幕は「音声が発声された瞬間」に出す。先出しは読了離脱、遅出しは違和感につながる。
  6. 焼き込み用のスタイルを適用して書き出す。スタイルは毎回作らず、テンプレート化して使い回す。この効率化はショート動画テンプレートの自作方法の考え方と同じで、字幕スタイルもテンプレート資産にする。
  7. SRTファイルを書き出す。多くの編集ツールは字幕データをSRT形式でエクスポートできる。この工程は30秒で終わるのに、やっていない人が非常に多い。
  8. YouTube Studioで字幕ファイルをアップロードする。動画詳細 → 字幕 → 言語を選択 → ファイルをアップロード。これで自動字幕を上書きし、検索エンジンが読めるテキストが動画に紐づく。
  9. 公開後に「視聴者維持率」レポートで検証する。字幕を変えた前後で、冒頭5秒の残存率がどう動いたかを見る。主観ではなく数字で判断する

この9ステップのうち、1・2・7・8は多くの解説記事が省略している。とくに1(字幕前提の台本)と7〜8(SRT出力とアップロード)が、成果の差になりやすい。

読まれる字幕のデザイン基準とセーフゾーン設計

字幕は「入っているか」ではなく「読まれているか」で評価する。以下は実装時のチェックリストだ。

最後の項目が実質的な最終テストになる。音を消して意味が通るか。これが顔出しなし動画における字幕の合格基準だ。理解度うんぬんの抽象論より、この1テストのほうが早くて正確に判定できる。

なお、CC字幕と焼き込みの二重表示は地味だが実害がある。CC字幕をオンにしている視聴者には、焼き込みテロップとCC字幕が同時に出る。焼き込みを画面中央寄りに置いておけば、CC字幕(通常は下部に表示される)と衝突しにくい。この配置設計は、BGMや素材選びと同じく細部の詰めの話で、顔出しなし動画のBGM著作権と無料素材のように「後から気づいて全動画を直す」羽目にならないよう、最初にルール化しておくと安い。

よくある質問

焼き込みテロップだけでSEO効果はありますか?

ほぼありません。焼き込みテロップは映像のピクセルであってテキストデータではないため、検索エンジンは内容を読み取れません。検索面で効かせたいなら、SRT等の字幕ファイルを別途アップロードする必要があります。

ただし「SEO効果がない=無意味」ではありません。焼き込みテロップは視聴維持率と理解度に直接効き、その維持率がアルゴリズム上の評価に間接的に反映されます。役割が違うだけです。だからこそ、焼き込み(視聴者向け)とCC字幕(機械向け)の二段構えが正解になります。作業としてはSRT出力とアップロードで数分の追加なので、やらない理由がほぼありません。

自動字幕をそのまま放置するとどうなりますか?

精度の低い字幕がそのまま動画に紐づいた状態になります。とくに合成音声やBGMが大きい動画では誤認識が増え、意味の通らないテキストがチャンネルの表現として蓄積されます。

自動字幕は便利なフォールバックですが、あくまで「何も無いよりマシ」の水準です。誤字が多いと、CC字幕をオンにした視聴者の体験も悪化します。手動でSRTをアップロードすれば自動字幕は上書きされるため、少なくとも伸びている動画・伸ばしたい動画については手動字幕に差し替える価値があります。全動画をやる必要はなく、再生数上位から順に潰していくのが効率的です。

字幕を付けたのに視聴維持率が下がりました。なぜですか?

多くは「読了離脱」です。冒頭に結論を全文テキストで出すと、視聴者は読んで理解した時点で動画を見る理由を失い、スワイプします。字幕が原因というより、字幕の出し方の設計ミスです。

対策は3つ。第一に、字幕を音声と同期させて小出しにし、先読みさせないこと。第二に、冒頭で結論そのものではなく「結論に至る問い」を出すこと。第三に、字幕の文字数を削って画面占有率を下げること。字幕を消すのではなく、出すタイミングと分量を変えるのが正しい修正方向です。

睡眠・作業用BGM系に字幕は本当に不要ですか?

そのジャンルに限れば、焼き込み字幕はほぼ不要です。視聴者が目を閉じている、あるいは別作業をしているため文字が届かず、明るい文字は入眠の妨げにすらなります。

筆者の睡眠系チャンネルは字幕をほぼ使わずに107本・総再生125,673回という結果を出しています。ただしこれは「字幕がないから伸びた」という話ではなく、「字幕がなくても成立するジャンルがある」という話です。なお、CC字幕(オフにできる字幕ファイル)は画面に出ないので、アクセシビリティと検索の観点から入れておく分にはデメリットがありません。焼き込みだけを外す、という判断になります。

合成音声(TTS)を使う場合、字幕は必須ですか?

実質的に必須です。合成音声は固有名詞・数字・同音異義語の読み間違いが避けられず、字幕がないと視聴者は誤読された音だけを受け取ることになります。

字幕があれば「音は間違っているが文字は正しい」状態になり、意味は伝わります。加えて、合成音声は人間の声より聞き取りの負荷がやや高いため、文字による補完が理解度を支えます。TTSチャンネルにおける字幕は、演出ではなく品質保証の仕組みだと考えてください。

全文字幕と要点だけの字幕、どちらが良いですか?

ジャンルによります。情報が音声にしかない解説・雑学・ニュース系は全文字幕、映像自体が情報を持つ実演・料理・風景系は要点字幕が適しています。

判断基準は「音を消して見たときに、映像だけで意味が通るか」です。通るなら要点字幕で足ります。通らないなら全文字幕が必要です。なお全文字幕でも、話し言葉のフィラー(「えー」「あの」)や冗長な接続詞は削って構いません。字幕は文字起こしではなく、読ませるための編集物です。

英語字幕を付ければ海外再生は伸びますか?

自動的には伸びません。字幕は「見つけてもらった後」に理解を助けるものであって、発見のトリガーそのものではないからです。

海外流入は、サムネイル・タイトル・アルゴリズムが海外視聴者に届けるかどうかで決まります。英語CC字幕を入れておくこと自体は低コストなので入れて損はありませんが、「英語字幕を入れたら海外から伸びる」という期待は外れます。伸ばしたいなら、タイトルと説明文の多言語化、そもそも言語依存の低い企画にする、といった上流の設計が先です。

字幕を丁寧に入れると「量産型コンテンツ」判定を避けられますか?

避けられません。2025年7月のYPP改定で問題視されているのは「独自の洞察や視点の有無」であり、字幕の品質ではないからです。

むしろ改定では「説明や教育的価値がほとんどない画像スライドショーやスクロールテキスト」が収益化できない例として挙げられています。テキストを大量に流すだけの構成は、字幕が綺麗であるほど量産型の特徴に近づきます。字幕は「わかりやすさ」の担保であって「独自性」の代替ではありません。判定を避けたいなら、字幕ではなく企画そのものに独自の検証・体験・意見を入れてください。

ショートで字幕がUIに隠れるのを防ぐには?

画面下部15〜20%を「置かない領域」として最初から確保してください。ショートの下部にはタイトル・アカウント名・説明文・コメント欄が重なり、そこに置いた字幕は確実に隠れます。

具体的には、字幕は画面の中央〜やや下(縦位置で50〜70%あたり)に配置するのが安全です。上部にも検索バー等が重なる場合があるため、上下に余白を残し、中央帯に情報を集約します。この配置はテンプレート化して毎回使い回すのが正解で、動画ごとに位置を変えるとチャンネルの視認性が安定しません。

字幕作成にどれくらい時間をかけるべきですか?

伸び始める前の段階なら、自動字幕ベースで固有名詞と数字だけ直す「1本15〜30分」が現実的な上限です。それ以上は企画とサムネイルに回したほうがリターンが大きい局面がほとんどです。

字幕は動画のフォーマットを固めるフェーズの投資です。平均再生が数百回の段階で1本2時間かけても、その丁寧さを見る人がいません。逆に、動画が伸び始めてからは字幕の精度が維持率に直結するので、投資対効果が反転します。自分のチャンネルがどのフェーズにいるかで配分を変えてください。

字幕は動画のどのタイミングから作り始めるべきですか?

台本の段階です。1カット=1文、1文=30字前後というルールで台本を書けば、字幕工程はほぼ機械作業になります。

多くの人は動画を作り終えてから字幕を考え始め、そこで「文が長すぎて画面に入らない」という問題に直面します。これは字幕の問題ではなく台本の問題です。字幕前提で台本を書くと、結果として文が短くなり、テンポも良くなり、視聴維持率にも効きます。字幕は編集工程ではなく、企画工程の一部だと捉えたほうがうまくいきます。

まとめ

「顔出しなし動画に字幕は必要か」への答えを、あらためて整理する。

最後にひとつ、期待値の話をしておく。字幕は「入れれば伸びる施策」ではない。 入れないと確実に落ちる、落とし穴を塞ぐための施策だ。字幕を完璧にしても、企画がつまらなければ再生数は動かない。筆者の雑学チャンネルが1本平均約4.7万再生に届いているのは、字幕のおかげではなく、企画とジャンルとフォーマットが噛み合った結果で、字幕はその成果を取りこぼさないための下支えにすぎない。

字幕に2時間かける前に、企画に2時間かける。そのうえで、企画の良さを無音の視聴者にも届けるために字幕を焼く。この順番を間違えなければ、字幕は正しく効く。

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