「ショート動画のアスペクト比は9:16らしいけど、画面サイズは結局何pxなのか」「正しいサイズで書き出したのに、投稿したら上下が見切れた」「サイズ変更はどこでやるのか、そもそも投稿した後でも直せるのか」——検索でこのページにたどり着いた人の疑問は、ほぼこの3つに集約されます。
先に1行で断定します。ショート動画は「縦」で作ってください。アスペクト比9:16、画面サイズ1080×1920pxです。 迷う要素はほとんどありません。YouTubeショート・TikTok・Instagramリール・Facebookリールの主要4媒体すべてが、この縦型を基本仕様としています。
ただし、この1行を知っただけでは実務の問題は解決しません。「9:16で書き出したのに字幕が隠れる」「横型素材しか手元にない」「投稿後に気づいた見切れをどう直すか」——本当につまずくのはここから先です。この記事では、プラットフォーム別の実数値早見表、セーフゾーンのpx単位の内訳、ツール別のサイズ変更手順、見切れの症状別診断、投稿後の対処までを、そのまま手を動かせる粒度で解説します。
なお多くの解説記事は「まずアスペクト比を決めましょう」から始まります。この記事はそこに一つ反論を挟みます。アスペクト比は先に「決める」ものではなく、あなたが今持っている素材の入手経路によって、実はほぼ自動的に決まっているものです。 この視点を持つと、変換に悩む時間そのものが減ります。順を追って説明します。
結論:縦か横かの直答と、例外になる3条件
「ショート動画は縦か横か」という問いへの答えは縦(9:16)です。ここに議論の余地はほぼありません。理由は単純で、YouTubeが動画を「ショート」として扱うかどうかを、アップロードされたファイルのアスペクト比と尺で自動判定しているからです。2024年10月15日以降にアップロードされた動画は、アスペクト比が正方形または縦長で、長さが3分以内であればショートに分類されます。逆に言えば、横長で出した時点でショートの土俵には乗りません。投稿画面での選択や、タイトル・説明文・ハッシュタグでこの判定を覆すことはできません。
その上で、縦にしない方がいい例外条件を3つだけ挙げます。
| 条件 | 推奨アスペクト比 | 理由 |
|---|---|---|
| ショート棚・スワイプ配信に乗せたい | 9:16(1080×1920px) | ショート判定の必須条件。迷ったら常にこれ |
| 横に広い情報が主役(表計算・ソフト操作画面・グラフ・地図) | 16:9(1920×1080px) | 縦に押し込むと文字が読めず、動画として成立しない |
| 縦にも横にも寄せきれない素材を複数SNSへ配りたい | 1:1(1080×1080px) | 正方形もショート判定に入る。横型を無理変換するよりマシ |
判断の優先順位はこうです。「ショート配信に乗せたいか」をまず決める → 乗せたいなら9:16以外は選ばない → 横幅が絶対に必要な情報が主役なら、そもそもショート向きの企画ではないと認めて16:9で通常動画として出す。 「縦か横か」で悩んでいる時点で、実は決めるべきは比率ではなく企画の置き場所です。
「両方作る」は非効率
よくあるのが「16:9で作って、縦版も書き出しておく」という運用です。これは一見合理的に見えて、実務ではコストが跳ね上がります。テロップ位置・被写体位置・見せ方が縦横で根本的に違うため、片方を作り直すのに実質もう1本分の編集が必要になるからです。
現実的な落としどころは、投稿先を先に1つ決めて、そこに最適化した1本を作ること。その1本を別媒体へ「流用」するのは構いませんが、「同時に2形式を主軸として育てる」のは、専任担当がいない個人運用では続きません。
プラットフォーム別 アスペクト比・画面サイズ・尺・ファイルサイズ早見表
数字を一気に確認しておきましょう。主要4媒体の仕様をまとめます。
| 項目 | YouTubeショート | TikTok | Instagramリール | Facebookリール |
|---|---|---|---|---|
| 推奨アスペクト比 | 9:16(正方形・縦長も可) | 9:16 | 9:16 | 9:16 |
| 推奨解像度 | 1080×1920px | 1080×1920px | 1080×1920px | 1080×1920px |
| 最低解像度の目安 | 720×1280px | 540×960px | 720×1280px | 720×1280px |
| 最大アップロード解像度 | 2160×3840px(4K) | 4K対応 | 4K対応 | 4K対応 |
| 実際の再生上限 | 1080p相当にダウンスケールされる | 1080p中心 | 1080p中心 | 1080p中心 |
| 最大尺 | 3分(180秒) | 最長60分まで拡大との情報あり | 90秒(一部クリエイターは15分) | 90秒 |
| 最大ファイルサイズ | 公開情報では明確な上限を確認できない | モバイル約287.6MB / TikTok Studio経由で最大4GB | 4GB | 公開情報では確認できない |
| 推奨形式 | MP4(MOV・WebMも可) | MP4(H.264 / AAC) | MP4またはMOV(H.264) | MP4 |
| 推奨フレームレート | 30fps | 30fps(動きが速い題材は60fps) | 30fps | 30fps |
| 推奨ビットレート | 1080pで8〜25Mbps | 同等 | 同等 | 同等 |
この表から読み取ってほしいポイントは4つあります。
- 解像度は全媒体1080×1920pxで統一できる。 「媒体ごとにサイズを変える」必要はありません。画面サイズで迷ったら、この1つを覚えれば足ります。
- 4Kで書き出す意味は薄い。 YouTubeは4Kアップロードでも再生は1080p相当にダウンスケールされます。書き出し時間とファイル容量が増えるだけで、スマホ視聴での見た目はほぼ変わりません。2160×3840pxが有効なのは、後から大きくクロップし直す前提で素材を残す場合くらいです。
- 尺の上限は媒体差が大きい。 4媒体に同じ1本を配るなら、いちばん厳しい90秒(Facebook/Instagramリール)に合わせるのが事故らない方針です。YouTubeショートだけを見るなら3分まで使えますが、完走率の観点では15〜45秒あたりが扱いやすいとされています。尺の決め方はショート動画の長さ 最適な秒数で詳しく扱っています。
- ファイルサイズ上限は媒体によって公開度合いが違う。 TikTokはモバイルアプリからの投稿で約287.6MB、TikTok Studio経由で最大4GBという情報がありますが、YouTubeショートの明確な上限値は公開情報では確認できませんでした。実務では1080p・30fps・数十秒のショートなら数十MBに収まるため、上限に触れる場面はほとんどありません。
解像度の選び方(実務上の判断表)
| 解像度 | アスペクト比 | 使いどころ | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 2160×3840px(4K) | 9:16 | 後工程で大きくクロップし直す可能性がある素材 | 再生は1080p相当。書き出しが重く、端末によっては編集が止まる |
| 1080×1920px(フルHD) | 9:16 | すべてのショート投稿の標準。迷ったらこれ | 実質デメリットなし |
| 720×1280px(HD) | 9:16 | 端末性能が低く1080pで書き出せない場合の妥協点 | テロップのエッジが甘くなる。文字主体の動画では不利 |
| 540×960px | 9:16 | TikTokの最低ラインとされる値 | 明確に粗く見える。常用は非推奨 |
| 1920×1080px | 16:9 | 通常動画・PC視聴前提のコンテンツ | ショート判定に入らない |
| 1080×1080px | 1:1 | 複数SNS共用の最大公約数 | 上下に余白。没入感で9:16に劣る |
| 1080×1350px | 4:5 | Instagramフィード表示の実効枠 | リール本編の比率としては使わない。安全域の基準として使う |
セーフゾーンの実数値——上下左右に何pxを空けるべきか
「1080×1920pxで書き出したのに字幕が隠れる」の原因は、ほぼすべてセーフゾーンの無視です。ショートのプレイヤーは、映像の上にUI(ユーザー名、タイトル、いいね・コメント・共有ボタン、楽曲情報、購読ボタン)を重ねて表示します。つまり映像の一部は、最初から見えないことが確定しています。
数値が資料ごとに食い違う理由
ここは正直に書きます。セーフゾーンのpx値は、参照する資料によって倍近く違います。 実際に調べると、YouTubeショートについて「上192px・下384px・右162px」とする資料と、「上288px・下672px・左48px・右192px」とする資料の両方が存在します。
これはどちらかが誤りというより、測定条件が違うためと考えるのが妥当です。UIの占有量は、アプリのバージョン、端末の画面比率(ノッチの有無、画面の縦横比が18:9か19.5:9か)、タイトルが1行か2行か、楽曲情報の有無、コメント欄を開いているかどうかで変わります。だから「正解の1つの数字」は原理的に存在しません。
実務での扱い方はこうです。狭い方(保守的な方)の数値を採用して設計し、広い方の数値で確認する。 保守側で作っておけば、どの資料の条件に転んでも隠れません。
採用すべきセーフゾーン(1080×1920px基準)
| エリア | 保守的に見た占有 | 一般的な目安 | 重なるUI要素 |
|---|---|---|---|
| 上部 | 約288px | 約150〜250px | 検索・ナビゲーション・アカウント名・一時停止時のUI |
| 下部 | 約672px | 約384〜480px | チャンネル名・購読ボタン・タイトル・キャプション・楽曲情報 |
| 左 | 約48px | 約48px | 画面端のマージン |
| 右 | 約192px | 約162px | いいね・低評価・コメント・共有・リミックスの縦並びボタン |
| 安全に残る領域 | 約840×960px(左48px・上288pxを起点) | 約870×1344px | — |
覚え方はシンプルです。重要な要素(字幕・主役・数字・キーワード)は、1080×1920pxのうち中央やや上寄りの840×960pxに収める。 この枠から出た瞬間、どこかの媒体・どこかの端末で隠れます。
セーフゾーンを守るための実作業ステップ
- 編集ソフトで1080×1920pxのプロジェクトを作る。
- 最上位レイヤーに、半透明のセーフゾーン枠画像を1枚置く。上288px・下672px・左48px・右192pxを塗りつぶした1080×1920pxのPNGを自作すれば十分です(この枠画像は書き出し前に非表示にします)。
- 字幕・テロップ・主役の被写体を、枠の内側(840×960px)に収める。
- 枠を非表示にして書き出す。
- 実機のアプリでアップロードし、再生画面と一覧(ホーム)表示の両方を確認する。
この「枠画像を1枚作って毎回置く」だけで、見切れ事故のほとんどは構造的に消えます。毎回目分量で置くから、たまに外すのです。テロップのサイズや配置そのものの作り方はショート動画のテロップデザインとフォントで詳しく解説しています。
下部が特に危険な理由
上の表を見ると、下部だけ突出して占有量が大きいことがわかります。保守的に見れば672px、つまり画面の縦の35%が下からUIに食われます。ここにはチャンネル名、動画タイトル、キャプション、楽曲情報、そして購読ボタンが重なります。
にもかかわらず、動画編集の慣習では字幕を画面下部に置きます。テレビや映画の字幕が下にあるからです。この慣習をショートに持ち込むと、ほぼ確実に隠れます。 ショートの字幕は「下」ではなく「中央からやや上」。これが横型編集からの移行で最初に直すべき習慣です。
アスペクト比を先に決めるのは筋違い——本当に決まるのは「素材の入手経路」
ここで一般的な解説への反論を挟みます。「まずアスペクト比を決めましょう」という助言は、実務ではほとんど機能しません。 なぜなら、あなたが使う素材は、入手した時点でアスペクト比がほぼ固定されているからです。
具体的に見ます。
- スマホで自分で撮影する:縦持ちで撮れば最初から9:16です。「選ぶ」工程は実質存在しません。
- PCの画面録画・ゲーム実況・ソフト操作の収録:モニターは横長なので、録画データは自動的に16:9になります。ここで縦型を選ぶ余地は物理的にありません。後から変換する以外に道はない。
- 既存の長尺動画からの切り抜き:元が16:9なら、切り抜きも16:9からのスタートです。
- AI動画生成ツールの出力:デフォルトが16:9か1:1のツールは多く、9:16出力に対応していないものもあります。対応状況はツールごとに違うため、使う前に出力比率の設定項目を必ず確認してください。
- フリー素材サイトの映像:横型が圧倒的に多い。縦型素材は数が限られます。
つまり実務での分岐点は「9:16と16:9のどちらが好みか」ではなく、「今ある素材が9:16で入手できる状況だったか、16:9でしか入手できない状況だったか」です。
この視点が実用的なのは、企画段階で「変換コスト」を見積もれるからです。たとえば「PCソフトの使い方を解説するショート」を企画した瞬間、あなたは16:9素材からの変換作業を1本ごとに背負うことが確定します。であれば、企画そのものを「1画面1要素・縦に積める構成」へ設計し直したほうが、毎回クロップ位置を探すより速い。逆に「スマホで撮る雑学ショート」なら変換工程はゼロなので、その分をテロップや構成に投資できます。
アスペクト比の議論は、比率の好みではなく制作フローの設計の話です。 だからこの記事は、後半の大半を「16:9素材をどう9:16に持っていくか」に割いています。多くの人が本当に詰まるのは、比率の知識ではなく、この変換作業だからです。
縦型9:16が標準になった3つの理由と、横型・正方形・4:5の使い分け
なぜ9:16がここまで標準化したのか、理由は3つに分解できます。
- スマホ画面を物理的に専有できる。 スマホを縦に持ったとき、9:16は画面全体を隙間なく埋めます。横型を縦画面で見ると上下に黒帯が入り、映像の表示面積は全画面の3割程度まで落ちます(残りの約7割が黒帯になる、という試算もあります)。同じ1本でも、視聴者の網膜に届く面積が3倍違う。
- 自動配信のアルゴリズムに乗る。 縦型ショートは、視聴者がスワイプするだけで次々流れてくる仕組みに乗ります。横型は基本的に「視聴者が自分で選んでクリックする」まで再生されません。この配信メカニズムの差が初速の露出量に直結します。
- 視聴姿勢に合っている。 ショートを見る人は片手・縦持ち・受動的に消費するモードです。この状態に最適化された形が縦型です。
つまり縦型9:16は「見やすい形」である以上に「配信に乗せてもらうための入場チケット」です。
各アスペクト比の比較
| 比率 | 画面サイズ例 | ショート判定 | 向いている題材 | 弱点 |
|---|---|---|---|---|
| 9:16 | 1080×1920px | 入る | ほぼすべてのショート企画 | 横に広い情報を載せられない |
| 1:1 | 1080×1080px | 入る | 複数SNS共用、商品単体の見せ物 | 上下に余白が出て没入感が落ちる |
| 4:5 | 1080×1350px | 入る(縦長のため) | Instagramフィードでの表示最適化 | リール本編としては9:16が主流 |
| 16:9 | 1920×1080px | 入らない | 図解・操作画面・PC/TV視聴前提の解説 | スワイプ配信に乗らない |
| 4:3 | 1440×1080px | 入らない | レトロ演出・古い素材の再利用 | 現行SNSでの居場所がほぼない |
現場の優先順位は「ショート狙いなら9:16、素材がどうしても正方形寄りなら1:1でも可、横型を無理に9:16へ引き伸ばすくらいなら1:1で逃げる」です。
横型で書き出すと具体的に何が起きるか
- 3分未満でもショート棚(Shortsシェルフ)に表示されない
- スワイプで流れてくる自動配信の対象外になる
- スマホ縦持ちでは上下に黒帯が入り、映像面積が3割程度まで縮む
- 「ショートのつもりが通常動画として公開されていた」という取り違えが起きる
- 通常動画としては尺が短すぎるため、長尺の評価軸(総再生時間)でも不利になる
最後の1点は見落とされがちです。横型の30秒動画は、ショートとしても通常動画としても中途半端な位置に落ちます。「ショートにならなかった短い横型動画」はどちらの配信面でも戦えないため、ここだけは避けてください。
ショート動画のサイズ変更:ツール別の具体手順
ここが本題です。「素材は16:9の横型しかないが、縦型ショートにしたい」という状況で、実際に画面サイズを変更する手順を解説します。
変換の3パターンをまず選ぶ
具体的な操作の前に、どう変換するかを決めます。
- フルクロップ(切り抜き):横型の一部だけを9:16で切り出す。被写体が常に同じ位置にいる素材(正面固定のインタビュー、中央固定の実演)に向く。左右の情報は捨てる前提。映像面積は最大になる。
- 上下余白+背景:横型映像を中央に配置し、上下の余白にぼかした同じ映像・単色・テキスト帯を敷く。情報を一切切らずに済むが、映像面積は小さくなる。図解・テロップ主体に向く。
- クロップ+トラッキング:被写体の動きに合わせて切り出し位置を動かす。人物や物が画面内を移動する素材に必須。手間は最大だが仕上がりは最も自然。
判断の入口は「主役が動くか動かないか」です。動かないならフルクロップ、動くならトラッキング、そもそも切りたくないなら上下余白。顔出しなしの素材(画面録画・スライド・イラスト)は動きが少ないので、1か2で足りることがほとんどです。
変換の前に:そもそも変換工程を発生させない選択肢
変換作業は、1本あたり数分〜数十分を毎回消費します。量産する前提なら、そもそも最初から9:16で出力される作り方に切り替えるのが、累計時間では圧倒的に安く済みます。
| 手段 | 変換工程 | 向いている状況 | 制約 |
|---|---|---|---|
| CapCut / Clipchamp / AviUtl / YMM4 で手動変換 | 必要 | 既存の横型素材を活かしたい、細かく作り込みたい | 1本ごとに作業時間がかかる |
| 最初から縦型プロジェクトで新規制作 | 不要 | これから素材を撮る・作る | 横型の過去素材は別途変換が必要 |
| Shorty(当サイトが開発・運営しているショート動画AI生成ツール) | 不要(最初から9:16で出力) | 台本から縦型ショートを立ち上げたい | 無料プランは1本30秒まで・30日で5本まで・保存7日・ショート形式のみ |
| スマホのYouTubeアプリ内編集 | 部分的に可能 | 撮ってそのまま出す | 細かいクロップ位置指定やトラッキングはできない |
どれが「最良」ということはなく、手元の素材がすでに横型でまとまっているなら手動変換のほうが向いています。逆にこれから新規に作る本数が多いなら、縦型で出力される作り方に寄せたほうが累計時間は減ります。無料ツールの制約(尺・本数・保存期間)は運用本数と直接ぶつかるので、月に何本出すかを先に決めてから選んでください。編集アプリ全般の比較はYouTubeショート編集アプリ比較にまとめています。
CapCutでのサイズ変更手順
- アプリを開き「新しいプロジェクト」から素材を読み込む。
- 編集画面下部のメニューを右にスクロールし、「縦横比」をタップする。
- 表示された比率の一覧から「9:16」を選ぶ。この時点でキャンバスが縦型になり、横型素材は上下に黒帯が入った状態でプレビューされる。
- 黒帯を埋めたい場合は、プレビュー上で2本指のピンチアウトで映像を拡大する。主役が中央に来るようドラッグで位置を調整する。
- 被写体が動く素材は、「自動フレーミング」系の被写体追尾機能を試す。追尾がずれる箇所はキーフレームを打って手動で補正する。
- 上下を映像で埋めずに余白として使う場合は、「背景」→「ぼかし」または「色」を選び、空白部分を埋める。テキスト帯を敷くのも有効。
- 字幕・テロップは、下端から672px相当より上に配置する(プレビュー画面の下から3分の1には置かない、と覚える)。
- 右上のエクスポートをタップし、解像度を1080p、フレームレートを30fpsに設定して書き出す。
書き出し後に画質が落ちて見える場合は、書き出し解像度ではなくビットレート設定が原因のことがあります。CapCutの書き出しで画質が悪いときの対処を参照してください。
Clipchampでのサイズ変更手順
- 新規プロジェクトを作成し、素材をタイムラインに配置する。
- プレビュー画面の右上にある比率表示ボタン(初期は「16:9」)をクリックする。
- メニューから「9:16」を選ぶ。選択肢には16:9・9:16・1:1・4:5・2:3・21:9があり、投稿先に応じて選べる。
- 横型素材は自動的に左右が切れるか、上下に余白が出た状態になる。素材をクリックし、プレビュー左側に出るツールバーの「引き伸ばし(塗りつぶし)」と「合わせる」を切り替え、被写体が欠けない方を選ぶ。
- 「合わせる」で上下に余白が出た場合は、背景色または背景画像をキャンバス全体に敷き、素材を中央に配置する。
- 素材の四隅のハンドルでサイズを、ドラッグで位置を微調整し、主役を安全領域(中央やや上の840×960px相当)に入れる。
- 字幕を追加する場合は、下端寄りではなく中央〜やや上に置く。
- 「エクスポート」で1080pを選んで書き出す。
Clipchampの基本操作、無料プランでできる範囲、保存できないときの対処はClipchampの使い方にまとめています。
Canvaでのサイズ変更手順
- ホーム画面の検索から「TikTok動画」「Instagramリール」などの縦型テンプレート(1080×1920px)を選ぶ。カスタムサイズから幅1080px・高さ1920pxを直接指定してもよい。
- 素材をアップロードしてキャンバスに配置する。
- 横型素材は縦キャンバスに対して小さく載るので、四隅のハンドルで拡大し、主役を中央に持ってくる。画像・動画を右クリックして「背景として設定」すると、キャンバス全面に敷ける。
- 上下の余白には、単色の図形・グラデーション・テキスト帯を敷く。
- すでに横型(1920×1080px)で作ったデザインがある場合は、有料機能のリサイズ機能でサイズを1080×1920pxへ変換できる。ただし要素の配置は自動では最適化されないため、変換後に必ず手で並べ直す必要があります。
- 「共有」→「ダウンロード」→ MP4形式を選んで書き出す。
Canvaのリサイズは「枠だけ変わって中身は崩れる」ことが多い機能です。時間短縮の期待値は思ったより低いので、縦型で作り直したほうが速いケースが多いと見積もっておくほうが安全です。
AviUtlでのサイズ変更手順
- 「ファイル」→「環境設定」→「システムの設定」で、最大画像サイズを幅1080px以上・高さ1920px以上に設定する(初期値のままだと縦1920pxのプロジェクトが作れません)。設定変更後はAviUtlの再起動が必要です。
- 拡張編集タイムライン上で右クリック →「新規プロジェクトの作成」を選び、画像サイズを1080×1920、フレームレートを30に設定する。
- 横型素材を配置すると、幅が足りずに上下が大きく空く。オブジェクト設定ダイアログの「拡大率」と「Y座標」を操作し、主役が画面中央に収まる位置とサイズを探る。
- 被写体が画面内を移動する素材は、拡大率とX・Y座標に複数のキーフレーム(中間点)を打ち、被写体を追従させる。
- 上下の余白には、単色図形・ぼかしを掛けた同素材・テロップ帯を別レイヤーで重ねる。
- 「ファイル」→「プラグイン出力」で書き出す際、出力サイズが1080×1920pxになっているか必ず確認する。ここが1920×1080pxのままで出力してしまう事故が非常に多い工程です。
AviUtlの出力設定で詰まりやすい箇所(サイズの数値、拡張編集プラグインとの整合、出力が0秒になる問題)はAviUtlショート動画の設定と出力で個別に解説しています。
YMM4(ゆっくりムービーメーカー4)でのサイズ変更手順
- 「ファイル」→「新規作成」でプロジェクトを作り、タイムライン設定またはプロジェクト設定で解像度を1080×1920px、フレームレートを30fpsに指定する。
- 横型の動画・画像素材をタイムラインに配置し、アイテム編集欄の拡大率とX・Y座標を調整して、主役が中央に収まるようにする。
- 立ち絵・キャラクター素材は、縦長画面に合わせて配置し直す。横型時代のレイアウト(画面左右に立ち絵、中央に資料)をそのまま持ち込むと、縦では全部が小さくなって破綻します。縦型では立ち絵は下部、資料は上部の上下2分割が扱いやすい構成です。
- 字幕(ボイスアイテムの字幕)のY座標を調整し、画面下端から3分の1のエリアに入らないようにする。YMM4は字幕の初期位置が下寄りなので、縦型では必ず初期位置を変更してください。
- 上下の余白には、テキストアイテムや図形アイテムを追加して画面が寂しくならないようにする。
- 「ファイル」→「動画出力」の設定画面で、解像度が1080×1920pxになっているかを出力前に必ず確認してから出力する。
スマホのYouTubeアプリ内で変える場合
- YouTubeアプリの「+」→「ショート動画を作成」を開く。
- アプリ内で撮影する場合、カメラは最初から縦型(9:16)で記録されるため、比率の設定項目そのものがありません。
- 端末内の既存動画を読み込んだ場合は、下部のトリミングバーで尺を調整し、プレビュー上でピンチ操作により表示範囲(ズーム)を調整できます。
- ただし「クロップ位置をキーフレームで動かす」「上下に背景を敷く」といった細かい制御はできません。横型素材を本格的に縦へ変換する用途には向きません。
- 仕上げの精度が必要なら、編集ソフトで1080×1920pxに仕上げてから端末に書き出し、アプリでは「アップロードするだけ」に留めるのが確実です。
スマホ完結で作りたい場合の全体の流れはiPhoneでのショート動画の作り方を参照してください。
FFmpegでまとめて変換する場合
同じ変換を何十本にも適用するなら、GUIの編集ソフトより FFmpeg などのコマンドラインツールのほうが速く終わります。考え方だけ押さえておくと、量産時の選択肢が増えます。
- 中央フルクロップ:1920×1080pxの中央から、縦いっぱい(高さ1080px)・幅607px相当を切り出し、1080×1920pxへ拡大する。被写体が常に中央にある素材専用の処理です。
- 上下余白+背景ぼかし:元映像を1080px幅に縮小して中央に置き、背景には同じ映像を9:16に引き伸ばして強くぼかしたものを敷く。情報を切らずに済む定番の処理です。
- 上下余白+単色:背景を黒や単色にするだけの最も軽い処理。ただし黒背景は「横型をそのまま出した」のと見た目が近くなるため、テロップ帯を重ねて情報量を足すのが実用的です。
注意点として、コマンドライン処理はクロップ位置を固定するため、被写体が動く素材には使えません。動く素材は結局、編集ソフトで1本ずつトラッキングするしかありません。「動かない素材を大量に処理する」用途に限定して使うのが現実的です。FFmpegでのショート編集の具体的な使い方はFFmpegでのショート動画編集を参照してください。
変換で「やってはいけない」3つのこと
ここで独自視点をもう一つ。横型を縦にするとき、次の3つは仕上がりを確実に落とします。
- 全体を縦に引き伸ばして9:16に歪める。 被写体が縦長に間延びし、人物なら顔が細くなり、文字なら書体が破綻します。「全部入る」ことと「見られる」ことは別です。
- 全体を縮小して上下を黒帯で埋める。 映像がハガキサイズになり、スマホでは何が映っているか判別できません。これは事実上「横型をそのまま出した」のと同じ結果を招きます。
- 左右の情報を残そうとして主役を小さくする。 横型の四隅にある情報は、思い切って捨てるのが正解です。捨てた情報が本当に必要ならテロップで補えばいい。
正しい発想は「横型素材を丸ごと縦に収めようとせず、被写体トリミングを優先する」こと。主役1つを9:16の中央に大きく据えるほうが、全部を見せて全部が小さくなるより、ショートでは圧倒的に効きます。
ここまでの手順、1本ぶんまるごと自動でやりますShorty はテーマを入力するだけで、台本・AI音声・字幕・BGMを揃えた雑学ショート動画を生成します。無料プランは30日5本まで。無料で作ってみる「見切れる」症状別の原因と直し方
「サイズを1080×1920pxに合わせたのに、投稿したら見切れる」という相談は非常に多く、その大半はアスペクト比の設定ミスではなく別の原因です。症状ごとに切り分けてください。
症状別診断表
| 症状 | 主な原因 | 直し方 |
|---|---|---|
| ①上下が切れて表示される | 素材が16:9のままアップロードされている、または編集ソフトの出力設定だけ横型のまま残っていた | 出力ファイルの解像度を実際に確認する。1920×1080pxなら1080×1920pxで書き出し直す |
| ②いいね・コメントボタンの裏に字幕が隠れる | 下部セーフゾーン(保守的に672px)を無視した配置 | 字幕を画面中央〜やや上(下端から672px以上上)へ移動する |
| ③チャンネル名・タイトルの帯に字幕が重なる | 下部UIのうちタイトル行の存在を計算に入れていない。タイトルが2行になると占有が増える | タイトルを短くする+字幕をさらに上へ。タイトルは1行に収まる長さにする |
| ④右側の縦並びボタンに要素が隠れる | 右192px前後のボタン列を無視した配置 | 右端から192px以内には主役・数字・キーワードを置かない |
| ⑤一覧・ホーム表示のサムネイルだけ上下が切れる | フィード表示は本編と別枠でトリミングされ、プレイヤー再生時と見え方が異なる | 重要情報を絶対中央付近に寄せ、実機で一覧表示を確認する |
| ⑥Instagramのフィードで左右または上下が欠ける | リール本編は9:16でも、ホームフィードでは4:5、プロフィールグリッドでは3:4(1080×1440px)にトリミングされて表示される | 最重要要素を中央に寄せ、四隅に依存したレイアウトを避ける |
| ⑦書き出したのに被写体が半分切れている | クロップ位置が中央からずれている、または被写体が動く場面でクロップ位置が追従していない | キーフレームでクロップ位置を追従させる、またはトラッキング機能を使う |
| ⑧自分の端末では正常なのに他人からは見切れると言われる | 機種・アプリのバージョンによってUIの大きさと位置が異なる | 保守側(上288px・下672px)で設計し直す。可能なら複数機種で確認する |
| ⑨サムネイル(カバー)だけ文字が切れる | カバー画像が本編と別比率でトリミングされる(Instagramのグリッドは3:4) | カバーのタイトル文字を中央3:4の範囲内に収める |
3系統に整理する
上の9症状は、原因で見ると3系統に集約できます。
- そもそもファイルが縦型でない(①) ——これは設定ミス。出力ファイルのプロパティで解像度を確認すれば5秒で判別できます。
- UI要素との被り(②③④) ——セーフゾーン違反。編集ソフト上では見えているので、実機で見るまで気づけません。
- 表示面ごとのトリミング差(⑤⑥⑨) ——プレイヤー表示、一覧表示、フィード表示、グリッド表示で切り取られる範囲が違います。同じ動画でも4通りの見え方があると理解してください。
診断の順番は①→②→③です。まず出力ファイルの解像度を確認し、縦型なのに隠れるならセーフゾーンを疑い、再生画面では見えるのに一覧で切れるなら表示面差を疑う。この順で潰せば、原因不明のまま作り直す無駄が消えます。
実機での確認手順(投稿前にやる)
セーフゾーンの数値を守っても、最後は実機で見ないと確定しません。投稿前に次の手順で確認してください。
- 書き出したファイルをスマホへ転送する(クラウド経由・ケーブル経由どちらでも可)。
- 各アプリの投稿画面まで進み、投稿を確定させる前のプレビューで字幕とUIの重なりを見る。ここで重なっていれば作り直しです。
- どうしても投稿後の見え方を確認したい場合は、限定公開(非公開)で投稿して自分だけで確認し、問題なければ公開に切り替える。
- 公開後は、再生画面だけでなくホーム・登録チャンネルの一覧表示もスクロールして確認する。ここで初めて気づく見切れが多い。
- 可能なら、画面サイズの違う端末(小さめのAndroidと大きめのiPhone等)の2台で見る。1台だけの確認は、その端末のUIに最適化された判断になりがちです。
3番目の「限定公開で先に確認する」は、投稿後の見切れリスクをほぼゼロにできる割に、ほとんど知られていない手です。公開設定の使い分けは限定公開・非公開・削除の違いと選び方で整理しています。
プラットフォーム別のUI占有の違い
| 媒体 | 上部の主な占有 | 下部の主な占有 | 右側の占有 | 表示面ごとの追加トリミング |
|---|---|---|---|---|
| YouTubeショート | 検索・ナビ、一時停止時のUI | チャンネル名・購読ボタン・タイトル・楽曲情報 | いいね・低評価・コメント・共有・リミックス | ホーム/登録チャンネル一覧のサムネイル |
| TikTok | アカウント名・おすすめ/フォロー中のタブ | ユーザー名・キャプション・ハッシュタグ・楽曲情報 | アイコン・いいね・コメント・保存・共有 | 検索結果・プロフィールのグリッド |
| Instagramリール | ページタイトル・カメラアイコン | ユーザー名・キャプション・音源名 | いいね・コメント・共有・保存・メニュー | ホームフィードで4:5、プロフィールグリッドで3:4(1080×1440px) |
| Facebookリール | ナビゲーション | ユーザー名・説明文・CTAボタン | リアクション・コメント・共有 | フィード内表示 |
Instagramの行が最も条件が厳しいことがわかります。「Instagramにも出す可能性があるなら、上下に約310pxずつ余白を取り、中央1080×1350px(4:5相当)にすべての重要要素を収める」という、より保守的な設計をしておくと、4媒体すべてで破綻しません。
アップロード後に画面サイズ・アスペクト比は変更できるのか
「サイズ変更」で検索する人には、実は2つの異なる意図が混ざっています。(1)編集段階でアスペクト比を変えたいと、(2)すでに投稿した動画のサイズを後から直したいです。両方に答えます。
編集段階なら何度でも変えられる
書き出し前であれば、編集ソフト側でキャンバス比率を9:16に設定し直し、素材のクロップと配置を調整すれば自由に変更できます。ここは前章の手順のとおりです。
投稿後は「動画ファイルそのものの差し替え」ができない
結論として、YouTube・TikTok・Instagramのいずれも、投稿済み動画のファイルを差し替える、あるいはアスペクト比を管理画面上で書き換える機能は、執筆時点の公開情報では確認できません。
投稿後に変更できるのは、おおむね次の範囲です。
| 項目 | 投稿後の変更 |
|---|---|
| タイトル | 変更できる |
| 説明文・キャプション | 変更できる |
| ハッシュタグ | 変更できる |
| サムネイル(カバー画像) | 変更できる(媒体・条件による) |
| 公開設定 | 変更できる |
| 動画ファイル本体 | 差し替えできない |
| アスペクト比・解像度 | 変更できない |
| トリミング範囲・クロップ位置 | 変更できない |
なお、YouTubeには一部の編集機能(カットやぼかし等)が用意されていますが、再生回数が10万回を超えた動画では一部の編集機能が制限されるとされており、いずれにせよアスペクト比の変更手段としては使えません。
独自視点:「後から直せる」前提で作業してはいけない
ここで2つ目の独自視点です。多くの人が無意識に「投稿してから気づいても直せる」という前提で作業していますが、この前提は誤りです。 見切れに気づいてから取れる手段は、実質的に「削除して、編集し直したものを再投稿する」だけです。
そして再投稿には具体的なコストがあります。
- 再生回数・高評価・コメントが全部ゼロに戻る。 それまでに付いた数字はすべて消えます。
- 配信アルゴリズムへの露出履歴もリセットされる。 初速テストをやり直すことになり、同じ結果になる保証はありません。
- 短期間に同じ動画を繰り返し再投稿すると、伸びなくなる傾向がある。 何度も再投稿された動画がほとんど再生されなくなる事例は複数報告されています。過剰な繰り返しは、使い回しコンテンツとしてプラットフォーム側に評価される可能性も否定できません。規約違反の警告が実際にどう区分されているかはYouTube違反警告の種類と確認方法で整理しているので、再投稿を繰り返す前に一度目を通しておくことをおすすめします。
つまり「見切れを直す」ためのコストは、投稿前の実機確認(数十秒) と 投稿後の削除・再投稿(それまでの数字を全部捨てる) とで、桁が2つ違います。この記事でセーフゾーンの確認を執拗に勧めているのは、その差が大きいからです。
すでに投稿してしまった動画をどうするか
見切れた動画がすでに公開されている場合の判断基準を出します。
| 状況 | 推奨対応 |
|---|---|
| 投稿直後(数時間以内)で再生数がほぼ無い | 削除して修正版を再投稿する。失うものがない |
| 投稿から時間が経ち、それなりに再生されている | そのまま残す。 修正版を別の1本として出し、次から気をつける |
| 字幕が完全に読めず動画が成立していない | 削除。成立していない動画を残す価値は低い |
| 一部が少し隠れている程度 | 残す。視聴者は思ったより気にしない |
ポイントは、「伸びている動画は、見切れていても消さない」ことです。数字が付いている時点で、その動画はアルゴリズムに評価されています。完璧主義で消してしまうのが、いちばんもったいない判断です。
顔出しなし運用ならではの配置設計
顔出しなしチャンネルは、被写体が「人の顔」ではなく「資料・手元・スクリーン・イラスト・テロップ」です。これは縦型変換において、実はやや不利な条件です。人の顔は中央に置けば成立しますが、資料や画面共有は横に広いからです。
顔出しなしで量産しやすいのが雑学・解説系のショートです。企画からテロップ・音声・投稿までの全工程は雑学動画の作り方で6工程に分けて整理しているので、これから縦型で1本立ち上げる場合はサイズ設計と合わせて確認しておくと手戻りが減ります。
顔出しなし運用で効く配置設計を5つ挙げます。
- 1画面1要素に絞る。 資料を丸ごと見せず、「今話している部分」だけを拡大して中央に置く。ページ全体を縮小表示すると文字が読めません。
- 上下2分割レイアウトを使う。 上半分に映像・資料、下半分(ただし下端672pxは避ける)に大きめのテロップ、という構成は縦型と相性が良く、顔がなくても画面が持ちます。実務では、上部288px〜1248pxの範囲に映像、その下の短い帯にテロップ、という配分が扱いやすい。
- テロップを主役級に大きくする。 顔出しなしは「声+文字」で情報を伝えるため、テロップの可読性が生命線です。1080px幅に対して、本文テロップは高さ60〜80px程度の文字サイズが読みやすい目安になります。
- 横型資料は「寄り」で見せる。 横に広い資料は、全体を縮小せず、注目させたい箇所へズームして順番に見せる。1画面に詰め込まないのがコツです。
- 画面録画は収録時点で縦を意識する。 ブラウザのウィンドウ幅を狭めて縦長に近づけてから録画する、スマホアプリの画面を録画する、といった工夫で、変換時のクロップ量を減らせます。収録の工夫は編集の工夫より安い、というのが顔出しなし運用の基本原則です。
5番目は特に効きます。「あとで縦にすればいい」と思って横いっぱいに録画すると、毎回クロップ位置探しが発生します。録画前にウィンドウを縦長にしておくだけで、その工程がまるごと消えます。
主要4媒体へ横展開するときの注意点
縦型9:16で作れば主要媒体に使い回せる、と述べましたが、細部には差があります。横展開の前に確認してください。
差が出る3点
- セーフゾーンの差。 UIの位置とサイズが媒体ごとに違うため、「YouTubeでは見えていた字幕がTikTokでは隠れる」ことが起こります。対策は単純で、4媒体すべてのUIを避けた共通セーフゾーンに重要要素をまとめること。Instagramのフィード表示まで想定するなら、中央1080×1350px(4:5相当)が最も安全な枠です。
- 尺の上限の差。 YouTubeショートは3分、Instagramリールは90秒(一部クリエイターは15分)、Facebookリールは90秒、TikTokはより長い規格に対応しているとの情報があります。4媒体に同じ1本を配るなら、いちばん厳しい90秒以内に収めるのが事故らない基本方針です。
- ウォーターマーク(透かし)の有無。 TikTokアプリで書き出した動画にはTikTokのロゴが入ることがあり、そのまま他媒体へ出すと露出が抑えられる場合があります。可能なら、透かしのない元データ(編集ソフトの書き出し)から各媒体へ個別にアップロードしてください。
横展開前の最終チェックリスト
投稿ボタンを押す前に、この10項目を確認してください。
- [ ] 出力ファイルの解像度が1080×1920pxになっている(ファイルのプロパティで実際に確認した)
- [ ] アスペクト比が9:16である(16:9のまま出していない)
- [ ] 尺が投稿先の上限内(4媒体共用なら90秒以内、YouTube単独なら3分以内)
- [ ] 字幕・テロップが下端から672px以上上に配置されている
- [ ] 主役・数字・キーワードが右端から192px以内に入っていない
- [ ] 上端から288px以内にタイトルや重要要素を置いていない
- [ ] Instagramにも出すなら、重要要素が中央1080×1350pxに収まっている
- [ ] 他媒体のウォーターマークが入っていない
- [ ] 実機で再生画面と一覧(ホーム)表示の両方を確認した
- [ ] カバー画像(サムネイル)の文字が、グリッド表示(3:4)でも切れない位置にある
このチェックリストは、慣れると1本30秒程度で回せます。前章で述べたとおり、投稿後の修正コスト(削除+再投稿+数字のリセット)と比べれば、圧倒的に安い投資です。
量産するなら「テンプレート化」が最終解
同じ設定を毎回やり直すのは非効率です。量産するなら、次の3点をテンプレート化してください。
- 1080×1920pxの空プロジェクトをテンプレートとして保存する(CapCut・Clipchamp・AviUtl・YMM4いずれも可能)。
- セーフゾーン枠のPNG画像を1枚作り、テンプレートの最上位レイヤーに常駐させる。
- 字幕の初期位置・フォントサイズをテンプレートに焼き込む。毎回位置を決め直さない。
この3点を1度作れば、以降の全本数で「アスペクト比の設定ミス」と「セーフゾーン違反」が構造的に発生しなくなります。チェックリストで人が気をつけるより、テンプレートで物理的に間違えられなくするほうが、量産では確実です。
よくある質問
ショート動画のアスペクト比は何対何にすればいいですか?
9:16(縦型)です。YouTubeショート・TikTok・Instagramリール・Facebookリールの主要4媒体すべてがこの比率を基本仕様としています。
素材が横型16:9しかない場合も、9:16のキャンバスに変換して出すのが基本です。1:1(正方形)や4:5もショート判定には入りますが、スマホ画面を専有できる分、没入感では9:16が最も有利です。
YouTubeショートの画面サイズ(解像度)は何pxですか?
1080×1920pxがフルHD相当の標準です。最低は720×1280px、最大は2160×3840px(4K)まで受け付けます。
ただしYouTubeは4Kでアップロードしても再生時は1080p相当にダウンスケールするため、4Kで書き出すメリットはほぼありません。書き出し時間とファイル容量が増えるだけです。1080×1920pxで統一してください。
ショート動画の画面サイズを変更するにはどうすればいいですか?
編集ソフトでプロジェクト(キャンバス)の比率を9:16・解像度を1080×1920pxに設定し直し、その上で素材の拡大率と位置を調整します。
CapCutなら「縦横比」メニューから9:16、Clipchampならプレビュー右上の比率ボタンから9:16、AviUtlとYMM4なら新規プロジェクト作成時に1080×1920pxを指定します。ソフトによって入口の名前は違いますが、「キャンバスを先に縦にしてから素材を動かす」という順番はすべて共通です。
投稿したショート動画が見切れるのはなぜですか?
原因は3系統です。①ファイル自体が縦型になっていない、②下部・右側のUIと重なっている、③一覧やフィード表示で本編と違う範囲にトリミングされている、のいずれかです。
まず出力ファイルの解像度を実際に確認してください。1080×1920pxなら①は除外できます。次に字幕の位置が下端から672px以上上にあるかを見ます。それでも一覧表示だけ切れるなら③です。本文の症状別診断表で切り分けてください。
字幕はどこに置けば見切れませんか?
画面の中央〜やや上です。1080×1920pxなら、下端から672px以上上、上端から288px以上下、左端から48px以上内側、右端から192px以上内側に収めてください。
つまり実質的な安全領域は中央やや上の840×960px前後です。テレビや映画の慣習で字幕を画面下部に置くと、ショートでは購読ボタンやキャプションの裏に確実に隠れます。横型編集からの移行で最初に直すべき習慣がここです。
アップロード後に動画のアスペクト比・画面サイズを変更できますか?
できません。執筆時点の公開情報では、YouTube・TikTok・Instagramのいずれも投稿済み動画のファイル差し替えやアスペクト比変更の機能は確認できませんでした。
変更できるのはタイトル・説明文・ハッシュタグ・サムネイル・公開設定までです。動画本体を直すには削除して再投稿するしかなく、その場合は再生回数・高評価・コメントがすべてリセットされます。だから投稿前の確認が重要です。
見切れた動画は削除して再投稿すべきですか?
再生数がほぼ無い投稿直後なら再投稿、すでに伸びているなら残すのが基本です。字幕が完全に読めず動画として成立していない場合だけ、伸びていても削除を検討します。
再投稿すると数字と露出履歴がリセットされ、同じ結果になる保証はありません。また短期間に同じ動画を繰り返し再投稿すると伸びなくなる傾向が報告されています。「少し隠れている程度」なら視聴者は思ったより気にしないので、残して次から直すほうが合理的です。
横型16:9の動画を縦型ショートに変換できますか?
できます。方法は3つ——フルクロップ(切り抜き)、上下余白+背景、クロップ+被写体トラッキングです。
主役が動かないならフルクロップ、動くならトラッキング、情報を一切切りたくないなら上下余白、と使い分けます。やってはいけないのは、全体を縦に引き伸ばして歪めること、全体を縮小して黒帯で埋めることの2つです。どちらも見た目が明確に劣化します。
なぜ横型動画はショートにならないのですか?
YouTubeがファイルのアスペクト比と尺を自動で読み取って判定しており、正方形または縦長で3分以内という条件を満たさないと通常動画に分類されるためです。
この判定は投稿画面での選択やタイトル・説明文・ハッシュタグでは変えられません。「#Shortsを付けたのにショートにならない」という相談の多くは、ファイルが横型のままというのが実際の原因です。
正方形1:1はショートに使えますか?
使えます。ショートの分類条件は「正方形または縦長」なので、1080×1080pxの正方形もショートとして扱われます。
ただし縦型9:16のほうが有利です。正方形は画面上下に余白が出るため、スマホ画面を専有する9:16より没入感で劣ります。使いどころは「複数SNSに同じ素材を配る最大公約数」として、あるいは「横型を無理に9:16へ引き伸ばすくらいなら1:1で逃げる」という消去法の選択肢です。
4Kで書き出したほうが画質はよくなりますか?
ショートではほぼ変わりません。YouTubeは4K(2160×3840px)でアップロードしても再生は1080p相当にダウンスケールします。
画質が悪く見える場合、原因は解像度ではなくビットレート設定であることが多いです。1080pなら8〜25Mbps程度を目安にしてください。4Kで書き出すと書き出し時間とファイル容量だけが増え、スマホ視聴での違いは判別できないレベルです。
YouTubeショート・TikTok・リールは同じ動画を使い回せますか?
縦型9:16・1080×1920pxで作れば基本的に使い回せます。ただしUI占有エリアが媒体ごとに違うため、重要要素は共通のセーフゾーンに収めてください。
Instagramまで想定するなら、中央1080×1350px(4:5相当)が最も安全な枠です。リールはホームフィードで4:5、プロフィールグリッドで3:4にトリミングされるためです。加えて、他媒体のウォーターマークが入った動画をそのまま流用するのは避けてください。
スマホのYouTubeアプリだけでサイズ変更できますか?
部分的にできます。アプリ内撮影なら最初から9:16なので設定は不要、端末内の既存動画を読み込んだ場合はプレビュー上のピンチ操作で表示範囲を調整できます。
ただしクロップ位置をキーフレームで動かす、上下に背景を敷くといった細かい制御はできません。横型素材を本格的に縦へ変換するなら、編集ソフトで1080×1920pxに仕上げてから端末に書き出し、アプリでは「アップロードするだけ」に留めるのが確実です。
セーフゾーンの数値が資料によって違うのはなぜですか?
UIの占有量が、アプリのバージョン・端末の画面比率・タイトルの行数・楽曲情報の有無で変わるためです。単一の「正解」は原理的に存在しません。
実際にYouTubeショートについて「上192px・下384px・右162px」とする資料と「上288px・下672px・右192px」とする資料の両方が存在します。実務では保守的な方(上288px・下672px)で設計するのが正解です。狭く作っておけば、どの条件でも隠れません。
セーフゾーンを毎回守るコツはありますか?
上288px・下672px・左48px・右192pxを塗りつぶした1080×1920pxの半透明PNGを1枚作り、テンプレートの最上位レイヤーに常駐させてください。書き出し前に非表示にするだけです。
毎回目分量で置くから、たまに外します。人の注意力に頼るのではなく、枠を物理的に見える状態にしておくほうが確実です。量産するなら、縦型プロジェクトのテンプレート・セーフゾーン枠・字幕の初期位置の3点をセットで保存しておくと、設定ミスが構造的に起きなくなります。
ファイルサイズの上限はどれくらいですか?
TikTokはモバイルアプリからで約287.6MB、TikTok Studio経由で最大4GB、Instagramリールは4GBとされています。YouTubeショートの明確な上限値は公開情報では確認できませんでした。
ただし1080p・30fps・数十秒のショートなら数十MB程度に収まるため、実務で上限にぶつかる場面はほとんどありません。ファイルが異常に大きい場合は、ビットレート設定が高すぎるか、4Kで書き出している可能性を疑ってください。
まとめ
ショート動画のアスペクト比・画面サイズの悩みは、突き詰めると次の階層に整理できます。
- 答えは縦。9:16・1080×1920pxが主要4媒体共通の標準。 YouTubeは正方形または縦長で3分以内という条件でショートを自動判定しており、横型で出した時点でショートの土俵に乗りません。
- アスペクト比は「先に決める」ものではなく、素材の入手経路でほぼ決まっている。 これから撮るなら縦持ちで9:16、すでにある画面録画や切り抜きは16:9からの変換が前提です。企画段階でこの変換コストを見積もってください。
- 見切れの真犯人はセーフゾーン。 保守的に見れば上288px・下672px・左48px・右192pxがUIに食われ、安全に残るのは中央やや上の約840×960pxです。字幕を画面下部に置く横型の習慣を、ショートでは捨ててください。
- 「見切れる」原因は3系統に分けて診断する。 ①ファイルが縦型でない、②UIと重なっている、③表示面ごとのトリミング差。出力ファイルの解像度確認から順に潰すのが最短です。
- 投稿後にアスペクト比を直す手段は無い。 変えられるのはタイトル・説明文・サムネイルまでで、動画本体は差し替えできません。直すには削除して再投稿するしかなく、数字はすべてリセットされます。
- 人の注意力ではなくテンプレートで防ぐ。 1080×1920pxの空プロジェクト、セーフゾーン枠のPNG、字幕の初期位置——この3点を一度作れば、以降の全本数で設定ミスが構造的に起きなくなります。
アスペクト比と画面サイズは「作品の見た目」の問題ではなく、「そもそも配信面に乗るかどうか」の入口条件です。まずは1080×1920pxの縦型で1本作り、セーフゾーン枠を置いて、実機で再生画面と一覧表示の両方を確認する。ここまでやれば、「作ったのに見切れていた」という一番もったいない失敗は構造的に防げます。