CapCutで書き出した動画の画質が悪いとき、真っ先にやるべきことは「書き出し設定を4Kにすること」ではありません。最初に確認すべきはプロジェクトの解像度とアスペクト比です。ショート動画(9:16 / 1080×1920)を作っているつもりでも、タイムラインの一番最初に横位置のクリップを置いた時点でプロジェクトが16:9として扱われ、そこから縦比率に切り替えた瞬間に映像が拡大トリミングされ、実質的な解像度が半分以下に落ちているケースが非常に多いからです。この状態でいくら書き出しを4K・最高ビットレートにしても、ファイルが重くなるだけで見た目はまったく改善しません。
顔出しなしの雑学ショート動画では、AI生成画像・スクリーンショット・フリー素材といった「もともと縦向きではない素材」を大量に使います。だからこそ、この落とし穴の踏み抜き率が実写Vlogより圧倒的に高い。この記事では、画質を決める4つの段階(素材 → プロジェクト → 書き出し → 配信先の再エンコード)を分解し、どの段がボトルネックになっているかを自分で切り分けられる手順まで落とし込みます。公式ヘルプに書かれている「解像度とビットレートを上げましょう」で解決しなかった人向けの内容です。
CapCutの書き出し画質は「4段の律速」で決まる
結論から言うと、CapCutの最終的な画質は「素材 → プロジェクト → 書き出し → 配信先」の4段のうち、一番弱い段で頭打ちになります。化学でいう律速段階と同じ考え方で、上流が細ければ下流をどれだけ太くしても流量は増えません。ここを理解しないまま書き出し設定だけをいじると、永遠に改善しない沼にはまります。
多くの解説記事は「解像度とビットレートを上げる」という3段目の話しかしません。しかし実際の相談で最も多い原因は1段目と2段目です。順番に押さえていきましょう。
| 段 | 何が決まるか | よくある事故 | ここが弱いとどうなるか |
|---|---|---|---|
| ① 素材(撮影・生成・ダウンロード) | 元データの実解像度・ノイズ量 | AI画像が1024×1024、スクショが横向き、素材サイトの低画質プレビューを使用 | 上限がそもそも低い。以降どう頑張っても回復しない |
| ② プロジェクト(比率・キャンバス) | 編集キャンバスの解像度と比率 | 最初のクリップに引きずられて16:9になり、9:16化で拡大トリミング | 有効画素が半分以下に。テロップまでにじむ |
| ③ 書き出し(エクスポート設定) | 解像度・fps・ビットレート・コーデック | 720pのまま、ビットレートが「下げる」設定のまま | ブロックノイズ、動きの速い場面が破綻 |
| ④ 配信先(YouTube / TikTok / Instagram) | プラットフォーム側の再圧縮 | 推奨値を下回るファイルを上げる、再アップロードを繰り返す | CapCut側は正常でも視聴画面では劣化する |
この表を手元に置いたうえで、「自分の動画はどの段で詰まっているのか」を判定するのが最短ルートです。判定手順は後半の切り分けステップで具体化します。
なお④はあなたの操作では完全には防げない領域です。YouTubeもTikTokも配信のために必ず再エンコードするため、アップロードした元ファイルとまったく同じ画質で視聴者に届くことはありません。ここを「CapCutが悪い」と誤診すると、直らないものを直そうとして時間を溶かします。
最大の落とし穴:プロジェクトの解像度は「最初に置いたクリップ」で決まる
まず結論です。CapCutのプロジェクト比率は、タイムラインに最初に配置したクリップの比率を初期値として引き継ぎます。横位置(16:9)の画像や動画を最初に置くと、プロジェクトは横向きのキャンバスとして始まります。その状態で後から「比率」を9:16に変更すると、キャンバスの形だけが縦に変わり、映像は上下に黒帯が出た状態になります。ここで黒帯を消そうとしてピンチ操作で映像を拡大すると、横1920pxのうち中央の約1080px相当しか使われない、つまり有効な情報量が大幅に削られた映像が完成します。
数字で見るとインパクトが分かります。1920×1080の横素材を9:16の画面いっぱいに拡大した場合、実際に使われるのは中央の縦1080px・横約608pxの領域です。これを1080×1920に引き伸ばすので、横方向は約1.8倍、面積で見れば約3倍以上の拡大になります。元が1080pでも、出力される映像の実質的な精細度は600p未満のスマホ動画に近くなる。この状態で書き出し解像度を1080pにしても4Kにしても、失われた情報は戻りません。
正しい始め方(新規プロジェクト時の手順)
- 新規プロジェクトを作成したら、素材を1つも置かないうちに比率設定を開く
- 比率を「9:16」に設定する(ショート・リール・TikTokすべて共通)
- スマホ版なら書き出し画面の解像度を1080p、PC版なら書き出し設定で1080×1920を確認しておく
- その後に素材を配置する
- 横向き素材を使う場合は、拡大して埋めるのではなく「ぼかし背景」や単色背景の上に原寸で載せる
- プレビューで、意図しないトリミングが起きていないかを確認する
手順5がポイントです。横素材を無理に画面いっぱいへ拡大するくらいなら、上下に背景を敷いて素材は等倍のまま置いたほうが、見た目の解像感は明確に上です。雑学ショートのように図解やスクショを見せる動画では、むしろ等倍配置のほうが文字が読めて視聴維持率にも効きます。
すでに作ってしまったプロジェクトの救済手順
- 比率を9:16に設定し直す
- タイムライン上の各クリップを選択し、拡大率(スケール)を100%に戻す
- 100%に戻した状態でプレビューを確認し、上下に黒帯が出るクリップを洗い出す
- 黒帯が出るクリップは、縦向きの代替素材に差し替えるか、背景を敷いた構成へ変更する
- どうしても差し替えられない場合のみ、拡大率は130%程度を上限にとどめる(それ以上はボケが視認できるようになる)
- テキスト・ステッカーは拡大の影響を受けないため、レイアウト崩れだけ修正する
拡大率100%が「素材の等倍」であり、そこを超えた分がそのまま画質劣化になります。「なんとなく画面に収まるまで広げる」という操作が、実は最大の画質破壊行為だという認識を持ってください。テロップ制作でつまずいている場合はCapCutで文字アニメーションができない原因と対処法も合わせて確認すると、レイヤー周りの挙動が理解しやすくなります。
素材側の解像度を先に潰す:AI画像・スクショ・ストック素材の罠
結論として、顔出しなしショートの画質問題は、7割が素材段階で決着しています。編集ソフトは情報を増やせません。ここを軽視したまま書き出し設定を触っても効果は限定的です。
顔出しなしの雑学ショートで頻出する素材と、その解像度リスクを整理します。
| 素材の種類 | ありがちな実解像度 | 縦1080×1920に対する充足度 | 対処 |
|---|---|---|---|
| AI生成画像(正方形出力) | 1024×1024 | 縦方向がまったく足りない | 生成時にアスペクト比を9:16または縦長に指定する |
| AI生成画像(縦指定) | 例:832×1216 など | 1080×1920には届かない場合が多い | アップスケールしてから配置する |
| スマホのスクリーンショット | 端末解像度(縦長でおおむね十分) | 充足しやすい | 端末の解像度設定を落としていないか確認 |
| PCブラウザのスクショ | 横長。縦方向は不足 | 拡大すると破綻 | 部分切り出しで等倍配置、または縦にトリミング |
| 素材サイトの無料プレビュー | 720p以下のことがある | 不足 | ダウンロード時に最大解像度を選ぶ |
| 画面録画 | 端末・設定依存 | 設定次第 | 録画設定を1080p以上・60fpsに |
特に注意したいのがAI生成画像です。正方形(1:1)で生成した画像を9:16の画面に敷き詰めようとすると、左右は余り、上下は足りないという最悪の組み合わせになります。結果として大きく拡大することになり、ここで一気に解像感が落ちます。画像生成の段階でアスペクト比を縦長に指定する、これだけで最終画質が体感で変わります。生成サービス側に縦長プリセットがあるなら必ずそれを使ってください。
また「アップスケールすれば解決」と考えたくなりますが、ここは正直に条件を書きます。アップスケールは存在しない情報をモデルが推測で補う処理であり、輪郭がはっきりする一方で、細部のディテールが作り替えられたり、顔や文字が崩れたりするリスクがあります。図やテキストを含む素材ほど破綻しやすいので、アップスケール後は必ず等倍で目視確認してください。効果が出やすいのは風景・抽象背景のような「細部が多少変わっても気づかれない」素材です。
素材まわりの準備をスマホ完結でやりたい場合の全体像はiPhone1台でのショート動画の作り方に手順としてまとめています。
CapCutの書き出し設定 推奨値(ショート動画向け)
結論として、顔出しなし雑学ショートなら「1080×1920 / 30fps / ビットレートは推奨〜高め / H.264 / MP4」が基本形です。ここから外れる必要があるケースは限られます。
以下がショート動画向けの推奨値です。CapCutはバージョンやスマホ版・PC版・Web版で設定項目の名称や選択肢が異なるため、「自分の画面にある項目だけを合わせる」という読み方をしてください。
| 設定項目 | ショート推奨値 | 理由・注意点 |
|---|---|---|
| 解像度 | 1080p(1080×1920) | ショートの標準。素材が1080p止まりなら4Kにしても情報は増えない |
| フレームレート | 30fps(動きが激しいなら60fps) | 静止画+テロップ主体の雑学ショートは30fpsで十分。60fpsは同画質に必要なビットレートも増える |
| ビットレート | 「推奨」もしくは一段高い設定 | 「低い」「下げる」設定になっていないかを毎回確認する |
| コーデック(エンコード方式) | H.264 | 互換性が最も高い。HEVC(H.265)は同容量で高画質だが再生互換の問題が出る場合がある |
| フォーマット | MP4 | 主要プラットフォームの標準コンテナ |
| スマートHDR | 原則オフ(検証してから使う) | SDRより広い明暗を扱えるが、SDR環境で見ると色が浅く/白っぽく見えることがある |
| 音声 | 書き出しに含める設定を確認 | PC版には音声を別途出力するオプションがある |
補足として、PC版CapCutのビットレート項目は数値入力ではなく「推奨/下げる」といった段階選択になっている場合があります。ここが意図せず低い側になっていると、解像度を1080pにしていてもブロックノイズが出ます。書き出しのたびに設定が保持されるとは限らないので、毎回開いて確認する癖をつけてください。
フレームレートについて一点補足します。CapCutの表示は30・60といった整数ですが、内部的に29.97fpsで書き出されるという指摘がユーザー解説記事に見られます。これは公式ヘルプで明示的に確認できる情報ではないため、断定はしません。ショート動画の用途では実害はほぼありませんが、他ソフトと素材を行き来させるときは念のため出力ファイルのプロパティを確認してください。
「スマートアロケーション」など、一部の解説で見かける書き出し関連オプションについては、公開情報では機能仕様を確認できませんでした。名称や有無がバージョンで変動する領域なので、アプリ内の説明文を優先してください。この記事では確認できない項目を推奨値として提示することはしません。
無料版とProで書き出しはどう変わるか
課金判断に直結する部分なので、分かっていることと分かっていないことを分けて書きます。
| 項目 | 無料版 | Pro |
|---|---|---|
| 1080p書き出し | 可能とする情報が主流 | 可能 |
| 4K書き出し | 不可とする情報が主流 | 対応(最大3840×2160) |
| 60fps | 解像度によって扱いが異なる報告あり | 4K/60fpsまで対応とされる |
| 透かし(ウォーターマーク) | 一部のテンプレート・エフェクト使用時に入る場合がある | 入らない |
| AI機能の実行回数 | 回数制限あり | 緩和 |
| クラウド容量 | 少量 | 拡大 |
重要な注意点です。無料版の書き出し上限については「最大720p」とする解説と「1080pまで可能」とする解説が混在しており、公式ヘルプで一貫した記載を確認できませんでした。提供内容は時期・地域・アプリのバージョンで変わるため、最終的にはご自身のアプリの書き出し画面を開き、選びたい解像度にPro表示(鍵アイコンなど)が付いているかどうかで判断してください。
そして本題に戻ります。Proに課金しても、素材とプロジェクト設定が原因の画質劣化は1ミリも直りません。4Kが解禁されるだけで、上流が1080pなら結果は変わらないからです。画質改善を目的とした課金は、ここまでの①②を潰してからにしてください。透かしを消したい、AI機能を回数制限なく使いたい、という目的なら課金の価値は別途あります。
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結論として、上流が細い状態でビットレートだけ上げても、ファイルサイズが増えるだけで見た目は改善しません。これは検索上位の記事でも触れられていますが、なぜそうなるのかまで説明されていることは少ないので、ここを丁寧に書きます。
ビットレートとは「1秒あたりに使えるデータ量」です。これは映像に含まれている情報を、どこまで削らずに保存できるかの余裕を意味します。つまりビットレートは「情報を守る器」であって、「情報を生み出す装置」ではありません。器を大きくしても、中身が最初から少なければ入るものは増えないわけです。
具体的に、よくある3パターンで何が起きるか見てみましょう。
- パターンA:素材1080p → プロジェクト1080×1920 → 書き出し4K 4Kにアップスケールされて出力されますが、情報量は1080p相当のまま。ファイルサイズだけが数倍になり、アップロード時間が伸びます。視聴画面での見た目はほぼ変わりません。
- パターンB:素材1080p横 → プロジェクトで拡大トリミング → 書き出し1080p最高ビットレート 拡大で失われた精細度は復元されないため、ボケた映像を高ビットレートで忠実に保存するだけです。「ボケが鮮明に記録される」という笑えない結果になります。
- パターンC:素材4K → プロジェクト1080×1920 → 書き出し1080p推奨ビットレート これが最も費用対効果の高い構成です。素材に余裕があるので縮小方向の処理になり、精細感が残ります。
つまり投資すべきは書き出し設定ではなく素材の準備です。撮影・生成の段階で余裕のある解像度を確保しておけば、書き出しは1080pの標準設定で十分きれいに出ます。逆に素材が細ければ、書き出し設定は何をやっても焼け石に水です。
ビットレートを上げる価値があるのは、素材とプロジェクトが健全で、なおかつ動きが激しい映像のときだけです。パーティクル、激しいカメラワーク、細かいノイズを含む映像は圧縮効率が悪く、標準ビットレートだとブロックノイズが出やすい。この条件に当てはまるときだけ、ビットレートを一段上げる意味があります。静止画にテロップを重ねるタイプの雑学ショートは圧縮効率が良いため、標準設定でまず問題になりません。
YouTube・TikTok側の再エンコードで落ちる分は、CapCutのせいではない
結論を先に書きます。アップロードした動画は必ずプラットフォーム側で再圧縮されるため、投稿後の画質が元ファイルより落ちるのは仕様です。ここを理解していないと、直せないものを直そうとして永遠にループします。
YouTubeもTikTokも、あらゆる回線・端末に配信するために、受け取った動画を自社の規格へ変換します。この工程でビットレートは大きく削られます。つまり視聴者が見ているのは「CapCutの出力ファイル」ではなく「それをプラットフォームが再圧縮したもの」です。
対策として現実的に効くのは以下です。
- 推奨値を満たすか、やや上回るファイルを渡す:再圧縮される前提なら、渡す時点で余裕を持たせるほうが結果は良くなります。1080p/60fpsならおおむね12〜16Mbps程度が一般的な目安として案内されています
- 9:16 / 1080×1920 ちょうどで渡す:プラットフォーム側でリサイズさせない
- 再アップロードを繰り返さない:一度公開した動画をダウンロードして再投稿すると、圧縮の世代が重なって明確に劣化します
- アップロード直後の見た目で判断しない:公開直後は低画質版から配信され、時間とともに高画質版の処理が完了します。最低でも数十分から数時間は待ってから評価してください
4番は見落とされがちですが、「書き出しは正常なのに投稿したら汚い」という相談のかなりの割合が、単に処理完了前に確認していただけです。まずは時間を置いて再確認してください。
なお、YouTubeでより効率の良いコーデック(VP9など)で配信されるには、チャンネルの再生規模や、アップロード解像度が一定以上といった条件が関係するという解説があります。これはプラットフォーム側の内部処理の話で、投稿者が直接コントロールできる範囲は限られます。ここに労力を割くより、素材とプロジェクト設定を整えるほうがリターンは大きいです。
それでも画質が悪いときの切り分け手順10ステップ
原因を推測で潰すのではなく、上流から順番に確認して犯人を1つに絞る手順です。上から順に実行してください。
- プロジェクトの比率を確認する:9:16になっているか。16:9のままなら原因確定、比率を変更する
- 各クリップの拡大率を100%に戻す:黒帯が出るクリップがあれば、そのクリップが拡大トリミングされていた証拠
- 素材の実解像度を確認する:ファイルのプロパティ(またはスマホの写真情報)で縦横のピクセル数を見る。縦が1920未満なら素材が犯人
- 一番怪しいクリップだけを10秒で書き出してテストする:フル尺で試すと検証サイクルが遅くなる
- 書き出し解像度を確認する:720pになっていないか
- ビットレート設定を確認する:「下げる/低い」になっていないか
- コーデックを確認する:H.264になっているか。HEVCで再生環境が対応していない可能性を潰す
- 書き出したファイルをPCの等倍表示で確認する:スマホの小さい画面では判断がつきません
- スマートHDRをオフにして書き出し、比較する:色が浅い・白っぽいという症状ならここが原因の可能性
- 投稿してから数時間後に視聴画面で再確認する:ここまで正常なら、残りはプラットフォームの再エンコード分
ステップ4の「短尺テスト書き出し」は特に効率が良いので習慣にしてください。書き出し時間が短くなるぶん、設定を変えて何度も比較できます。
投稿前チェックリスト
- [ ] プロジェクト比率が9:16になっている
- [ ] すべてのクリップの拡大率が130%以下
- [ ] 使用素材の縦解像度が1920px以上、または等倍配置になっている
- [ ] AI生成画像を縦長アスペクト比で生成した
- [ ] 書き出し解像度が1080×1920
- [ ] ビットレート設定が推奨以上
- [ ] コーデックがH.264、フォーマットがMP4
- [ ] スマートHDRの状態を意図して選んでいる
- [ ] 書き出しファイルをPC等倍で目視確認した
- [ ] 過去に投稿した動画を再ダウンロードして使い回していない
顔出しなし雑学ショートで特に画質が落ちる3つのポイント
顔出しなしのショートは実写Vlogと制作フローが違うため、劣化ポイントも違います。ここは検索上位の一般的な解説ではほぼ触れられていない領域です。
1つ目は「ズームイン演出」です。 視線を集めるために画像を徐々に拡大するキーフレーム演出は定番ですが、これは拡大トリミングを時間軸でやっているのと同じです。終端の拡大率が180%なら、その瞬間の実質解像度は素材の半分近くになります。演出として使うなら、拡大の終端が130〜150%に収まるよう、素材側を大きめに用意してください。素材が4Kなら1080pへの縮小余地があるぶん、ズームインしても破綻しません。
2つ目は「再編集ループによる世代劣化」です。 CapCutで書き出したMP4を、再びCapCutに読み込んで編集し、また書き出す——という運用をしていると、圧縮が世代を重ねます。1回ごとの劣化はわずかでも、3世代4世代と重なると明確にディテールが失われます。テンプレートの使い回しや、投稿済み動画の一部を切り出しての再利用で起きがちです。修正はプロジェクトファイルに戻って行い、書き出し済みファイルを再素材にしない、これを原則にしてください。
3つ目はテロップのにじみです。 テキストレイヤー自体はプロジェクト解像度で描画されるため本来くっきりするはずですが、次の3条件のどれかを踏むとにじみます。(a) プロジェクトが低解像度、(b) テキストを一度画像として書き出して再配置している、(c) テキストを含むクリップ全体をズーム演出で拡大している。細い明朝体や極端に細いフォントは劣化が視認されやすいので、ショートでは太めのゴシック系+縁取りが安全です。
制作フローの選択肢を比較する
顔出しなし雑学ショートの作り方は大きく3系統あり、それぞれ画質面の性質が異なります。
| フロー | 画質面の特徴 | 向いている人 |
|---|---|---|
| CapCutで素材を1本ずつ手組み | 素材と拡大率を自分で管理できるため、上限まで詰められる。手間は最大 | 品質を作り込みたい人 |
| CapCutのテンプレートに素材を差し込む | テンプレの想定解像度に素材が合わないと拡大トリミングが起きやすい | 量を優先したい人 |
| 自動生成ツールで下地を作り、CapCutで仕上げる | 出力が最初から縦形式なので比率事故が起きにくい。反面ツール側の出力仕様に縛られる | 検証本数を稼ぎたい人 |
3つ目の選択肢のひとつとして、当サイトが開発・運営しているショート動画生成ツールShortyがあります。台本から縦形式のショートを生成する用途で、比率まわりの事故を避けたい場合に検証の入口として使えます。ただし無料プランには明確な制約があり、1本あたり30秒まで、30日で5本まで、生成した動画の保存期間は7日間、出力はショート形式のみです。長尺や大量生産には向きませんし、CapCutのテンプレート資産や手組みの自由度が必要な場面ではCapCutのほうが適しています。どのフローでも「素材とプロジェクト解像度を先に整える」という原則は変わりません。
雑学ショートの企画から構成の作り方そのものは雑学動画の作り方で扱っているので、画質以外の部分で伸び悩んでいる場合はそちらも参照してください。
よくある質問
CapCutで書き出したら画質が悪いのはなぜですか?
原因は4つの段階のどこかにあります。素材の解像度不足、プロジェクトの比率設定ミスによる拡大トリミング、書き出し設定の低さ、投稿先の再エンコードです。頻度が高いのは前者2つです。
多くの人は書き出し設定だけを疑いますが、実際には「9:16のつもりが16:9で始まっていて、縦にしたときに拡大された」という2段目の事故が最も多く見られます。まずプロジェクトの比率と各クリップの拡大率を確認してください。ここが原因の場合、書き出し設定をどれだけ上げても改善しません。
書き出しを4Kにすれば画質は良くなりますか?
素材が4K相当でなければ良くなりません。1080pの素材を4Kで書き出しても情報は増えず、ファイルサイズとアップロード時間が増えるだけです。
4K出力が意味を持つのは、素材そのものが4Kで撮影・生成されている場合に限られます。また4K出力はCapCut Proの機能とする情報が主流なので、無料版で選べない可能性もあります。ショート動画の用途では1080×1920で十分であり、それ以上の解像度が視聴体験を変える場面は多くありません。
ビットレートはどれくらいに設定すればいいですか?
CapCutの「推奨」設定、もしくはその一段上で十分です。1080p/60fps相当なら一般的な目安として12〜16Mbps程度が案内されています。
注意すべきは高く設定することより、低い側になっていないかです。PC版では「推奨/下げる」のような段階選択になっている場合があり、ここが下がっているとブロックノイズが出ます。逆に必要以上に上げても、投稿先で再圧縮されるため視聴画質への寄与は限定的です。静止画とテロップ中心の雑学ショートなら推奨設定で問題ありません。
コーデックはH.264とHEVCのどちらを選ぶべきですか?
ショート動画の投稿用途ならH.264を選んでください。HEVC(H.265)は同じ容量でより高画質にできますが、再生環境の互換性でトラブルが出る場合があります。
HEVCが有利なのは、同じ画質をより小さいファイルで保持したいときです。ただし端末やソフトによっては再生・読み込みで問題が起きることがあり、ショート投稿という用途ではメリットよりリスクが上回ります。互換性を最優先してH.264+MP4が無難です。
スマートHDRはオンにすべきですか?
原則オフで始め、必要なら比較検証してから使ってください。SDRより広い明暗表現ができる一方、SDR環境で見ると色が浅く見える場合があります。
実写の風景や照明差の大きい映像では効果を感じられることがありますが、AI生成画像やスクリーンショットが主体の雑学ショートでは恩恵が小さく、逆に色味が意図とずれるリスクのほうが大きくなります。使うなら必ずオン・オフ両方で短尺書き出しをして、実際の視聴環境で見比べてください。
無料版だと画質に制限がありますか?
4K書き出しができないとする情報が主流ですが、1080pの可否については解説によって記述が分かれており、公式ヘルプで一貫した記載は確認できませんでした。
提供内容は時期・地域・バージョンで変わります。確実なのは、ご自身のアプリで書き出し画面を開き、選びたい解像度にPro表示が付いているかを確認することです。なお、画質問題の主因が素材やプロジェクト設定にある場合、Proに課金しても改善しません。課金の前にこの記事の切り分け手順を実行してください。
横向きの動画素材しかない場合はどうすればいいですか?
拡大して画面いっぱいにするのではなく、ぼかし背景や単色背景の上に等倍で配置してください。拡大トリミングによる解像度低下を避けられます。
上下に余白ができることを嫌って拡大したくなりますが、その拡大こそが画質劣化の直接原因です。背景を敷く構成は視覚的にも整理されて見え、テロップを置くスペースにもなります。どうしても全画面にしたい場合は、拡大率130%程度を上限の目安としてください。
AI生成画像を使うとボケるのですが対処法はありますか?
生成の段階でアスペクト比を縦長に指定するのが最も効果的です。正方形画像を9:16に敷き詰めると大きな拡大が必要になり、そこで解像感が落ちます。
すでに正方形で生成済みの素材しかない場合は、アップスケールという手もありますが、細部が推測で作り替えられるため、文字や図が含まれる画像では崩れるリスクがあります。安全なのは、正方形のまま等倍で画面中央に配置し、上下は背景やテロップ領域として使う構成です。生成をやり直せるなら、縦長で作り直すのが最短です。
YouTubeに投稿したら画質が落ちました。CapCutの設定が悪いのでしょうか?
多くの場合CapCutの問題ではありません。YouTubeは投稿された動画を必ず再エンコードするため、元ファイルより画質が落ちるのは仕様です。
まず、投稿直後は低画質版から配信されるため、数時間置いてから確認してください。それでも明らかに劣化している場合は、渡すファイルを推奨値以上にする、9:16の1080×1920ちょうどで渡す、投稿済み動画をダウンロードして再投稿しない、といった対策が有効です。ただし再エンコード自体を無効にすることはできません。
テロップだけがぼやけるのはなぜですか?
テキストクリップを含む範囲をズーム演出で拡大しているか、プロジェクト解像度自体が低いかのどちらかです。テキストは本来プロジェクト解像度で描画されます。
一度画像として書き出したテロップを再配置している場合も、その画像の解像度に縛られてにじみます。テロップはCapCutのテキスト機能でそのまま入れるのが最も鮮明です。フォントは細い明朝体より太めのゴシック系のほうが劣化が目立たず、縁取りを付けると背景に負けません。
何度も編集し直していたら画質が悪くなった気がします
書き出したファイルを再びCapCutに読み込んで編集していると、圧縮が世代を重ねて劣化します。気のせいではありません。
修正が必要なときは、書き出し済みのMP4ではなく、CapCut内のプロジェクトに戻って編集してください。プロジェクトから書き出し直せば常に1世代目の圧縮で済みます。投稿済み動画の一部を切り出して再利用する運用は、劣化が累積するため避けたほうが安全です。
まとめ
CapCutの書き出し画質は、素材 → プロジェクト → 書き出し → 配信先という4段のうち、一番弱い段で決まります。書き出し設定を最高にすることは4段目に近い対症療法にすぎず、上流が細ければ効果はほとんどありません。
顔出しなしショートで最も多い事故は、プロジェクトの比率が最初に置いたクリップに引きずられ、後から9:16にしたときに拡大トリミングされるというものです。新規プロジェクトでは素材を置く前に比率を9:16へ設定し、各クリップの拡大率を100%基準で管理する。これだけで大半の「画質が悪い」は解消します。
素材段階では、AI生成画像を縦長アスペクト比で作る、横素材は拡大せず背景を敷いて等倍配置する、という2点が効きます。書き出しは1080×1920 / 30fps / 推奨ビットレート / H.264 / MP4を基本形とし、動きの激しい映像のときだけビットレートを一段上げてください。
そして、投稿先の再エンコードによる劣化は仕様であり、完全には防げません。投稿直後の見た目で判断せず、数時間置いてから評価する。これを知っているだけで、直らないものに時間を使わずに済みます。
なお、この記事の設定値や無料版の制限に関する記述は執筆時点の公開情報に基づくものです。CapCutは更新頻度が高く、項目名や提供範囲が変わることがあります。数値や項目が記事と違う場合は、アプリ内の表示を優先してください。まずは今日、自分のプロジェクトの比率と各クリップの拡大率を確認するところから始めてみてください。