いらすとやのイラストで雑学動画や解説動画を作りたい。素材は無料だと聞いている。ただ、その動画に広告がつき、収益が発生するようになったとき、その「無料」は本当にそのまま通用するのか。検索でこのページに辿り着いた人の不安は、ほぼこの一点に集約される。
先に結論を書く。いらすとやの素材は、収益化しているYouTubeチャンネルでも使える。ただし無条件ではない。公式のよくあるご質問では「Youtubeで利用できますか?」という問いに対し、「一つの動画にサムネイルを含め20点以内であれば問題ありません」と回答されている。そして利用規定では、素材を21点以上使った商用デザインは有償対応(目安として一点につき1,100円・税込)と定められている。つまり実務上の争点は「使えるか、使えないか」ではなく、「1本あたり何点に収めるか」と「自分の動画が商用に当たるか」の2点に絞られる。
そのうえで、この記事が持ち込む独自視点はここにある。素材ライセンスの遵守は「規約を読んだかどうか」ではなく、1年後に自分の動画の使用点数と出典を再現できるかどうかで決まる。 規約を読んだ記憶は残らないが、記録は残る。そして問題が起きるのは、たいてい投稿から半年後や1年後だ。
この記事の射程は、イラスト素材を解説・雑学動画で使うときの著作権判断に限定する。動画素材(映像)サイトそのものの横並び比較は無料 動画素材 サイト 商用可で、BGMや効果音の扱いは顔出しなし動画 BGM 著作権フリーで、編集アプリのテンプレート利用はCapCut テンプレート 商用利用 注意で扱っている。ここではイラストに絞る。なお本記事は法的助言ではない。最終的な判断は各素材サイトの公式規約と権利者への確認によるものであり、本記事は「どこを読み、何を記録し、どこで問い合わせるか」を決めるための手順書として使ってほしい。
「無料で使える」と「商用利用できる」は別問題である
素材まわりのトラブルは、ほぼすべてが用語の混同から始まる。「無料」「著作権フリー」「商用利用可」は、日常会話では同じ意味に聞こえるが、規約上はまったく別の概念だ。ここを分けて理解していないと、正しい規約を読んでいても間違った結論に着地する。
| 用語 | 実際に意味していること | よくある誤解 |
|---|---|---|
| 無料 | ダウンロードや利用に金銭が発生しないこと。利用範囲の広さとは無関係 | 「無料だから何をしてもいい」 |
| 著作権フリー | 法律上の定義がない俗語。多くは「所定の条件下で許諾済み」の意味で使われる | 「著作権が消滅している/放棄されている」 |
| 商用利用可 | 営利目的の利用が許諾されていること。点数・用途・改変の条件が付くことが多い | 「無制限に営利利用できる」 |
| パブリックドメイン | 著作権の保護期間が満了、または権利者が明示的に権利を放棄した状態 | 「無料素材はすべてこれ」 |
いらすとやの利用規定は、この区別を明快に示している。素材は「規約の範囲内であれば、個人、法人、商用、非商用問わず無料でご利用頂けます」とされている一方で、著作権そのものは放棄されていない。加工したかどうか、どの程度加工したかにかかわらず、著作権が利用者に移転することはない、という趣旨も明記されている。
つまりいらすとやは「無料」であり「商用利用可」だが、「著作権フリー(=権利放棄)」ではない。素材はあくまで著作権者から条件付きで使わせてもらっているものであり、条件を外れた瞬間に、無料の前提そのものが消える。ここが最初のボタンの掛け違いになりやすい。
もうひとつ押さえておきたいのが著作者人格権だ。著作権(財産権)は譲渡や許諾ができるが、著作者人格権は著作者に一身専属的に残る。素材の改変が著作者の意に反する改変だと評価されれば、たとえ商用利用が許諾されていても別の問題になりうる。「規約で加工OKと書いてあるから何をしてもよい」という読み方が危ういのは、この層があるからだ。
雑学動画の制作者にとって実践的な言い換えをすると、確認すべきは次の3点になる。ひとつ、その利用は営利か。ふたつ、点数や用途の上限はあるか。みっつ、その素材の「らしさ」を損なう使い方をしていないか。この3点は素材源が変わっても共通して効く軸なので、いらすとや以外を使うときにもそのまま持ち込める。
いらすとや公式規約の一次情報:無料の範囲と有償になる条件
ここからは一次情報だけを扱う。参照先は、いらすとや公式サイトの「ご利用について(利用規定)」ページと「よくあるご質問」ページの2つだ。伝聞やまとめ記事ではなく、必ずこの2ページを自分の目で確認してほしい。
- ご利用について: https://www.irasutoya.com/p/terms.html
- よくあるご質問: https://www.irasutoya.com/p/faq.html
公式に確認できた要点は次のとおりだ。
無料で使える範囲。利用規定には「当サイトで配布している素材は規約の範囲内であれば、個人、法人、商用、非商用問わず無料でご利用頂けます」とある。法人利用も商用利用も、規約の範囲内であれば無料という立て付けになっている。この一文だけを読むと制限がないように見えるが、鍵は「規約の範囲内であれば」の部分にある。
有償対応となるケース。利用規定で有償対応として挙げられているのは主に2つだ。ひとつは「素材を21点以上使った商用デザイン(重複はまとめて1点)」、もうひとつは「素材の高解像度データの作成」である。よくあるご質問側では、点数超過時の利用料の目安として「一点につき1,100円(税込)」が示されている。ここでいう「1点につき」は21点目以降の枚数ではなく、全体の合計点数に対して計算されるという解説が広く流通しているが、実際の金額と算定方法は個別条件によるため、必ず公式に見積もりを取ってほしい。
禁止されている利用。利用規定は、公序良俗に反する目的での利用、素材のイメージを損なうような攻撃的・差別的・性的・過激な利用、反社会的勢力や違法行為に関わる利用、そして「素材を主体としたコンテンツ・商品の再配布・販売」を挙げている。加えて、制作者が不適切と判断した利用も断られうる、という包括的な条項がある。
クレジット表記。公式には表記義務は課されていない。任意でサイト名を記載することは妨げられないが、必須ではない。ここは多くのフリー素材サイトと異なる点なので、逆に「クレジットを入れたから大丈夫」という誤解を生みやすい。クレジットは点数制限を免除しない。
以下は、雑学・解説動画の制作でよく出てくるケースを、公式記載から判定できる範囲で整理したものだ。判定できない欄は正直に「要問い合わせ」としてある。
| 利用ケース | 公式記載からの判定 | 根拠・注意点 |
|---|---|---|
| 収益化していない個人チャンネルの動画で21点以上使う | 可能とされている | FAQに「収益化していない動画であれば21点以上のご利用が可能」の記載 |
| 収益化済みチャンネルの動画で20点以内に収める | 無料の範囲 | FAQ「サムネイルを含め20点以内であれば問題ありません」 |
| 収益化済みチャンネルの動画で21点以上使う | 有償対応の対象 | 利用規定「素材を21点以上使った商用デザイン」 |
| Canvaのみで作成した動画をそのままアップロード | 21点以上も可能とされている | FAQに明示。Canva外で編集を加える場合は前提が変わる |
| 映像作品をDVDやネット配信で商品化する | 可能。ただし1商品(1番組)につき20点まで | FAQ「1映像ではなく1商品(1番組)につき20点まで」 |
| イラストそのものを主役にしたグッズ・スタンプ化 | 禁止事項に該当 | 「素材を主体としたコンテンツ・商品の再配布・販売」 |
| 収益化申請中・審査待ちの段階での利用 | 要問い合わせ | 公式に明示的な区分が確認できない |
| 広告収益はないがアフィリエイト誘導している動画 | 要問い合わせ | 「収益化していない」の範囲が公式文言から一義に定まらない |
「要問い合わせ」と書いた2行は、この記事で最も強調したい部分だ。規約は誤読すると読者側に実害が出る領域であり、公式文言から一義に読み取れないものを推測で埋めるべきではない。判断が割れる論点に当たったら、いらすとや公式のお問合せフォームから確認するのが唯一の正解になる。ネット上の解説記事は(本記事も含めて)二次情報であり、規約改定に追随している保証はない。
YouTube収益化は商用利用に当たるのか
このキーワードで検索する人が本当に知りたいのは、ほぼこの問いだ。順に整理する。
まず、公式のよくあるご質問には「Youtubeで利用できますか?」という項目が存在し、次のように回答されている。「一つの動画にサムネイルを含め20点以内であれば問題ありません。公共機関や非営利の個人・団体の投稿など収益化していない動画であれば21点以上のご利用が可能です。またCanvaのみを利用し作成した動画をそのままアップロードする場合も21点以上のご利用が可能です」。
この文言から確実に読み取れることは3つある。
- YouTube動画での利用は明確に想定されており、禁止されていない。
- 点数の上限は「一つの動画」単位で、サムネイルも点数に含まれる。
- 「収益化していない動画」は21点以上が可能とされている。裏を返せば、収益化している動画は20点以内が無料の前提になる。
つまり実務的な結論は、収益化しているチャンネルの動画は商用利用として扱い、1本あたり20点以内に収めるのが安全、ということになる。公式が「収益化していない動画であれば21点以上」とわざわざ区別している以上、収益化している動画をその例外に読み込むのは無理がある。
一方で、公式文言だけでは決まらない領域も確かにある。よくあるご質問の商用・非商用の説明では、社外に出さない社内資料や、学校のバザー・学園祭のような小規模で期間の限られた催しは非商用寄りに扱われる旨が示されている。ここから「小規模なら非商用」という一般則を導きたくなるが、YouTubeチャンネルは公開範囲も公開期間も無制限であり、同じ理屈をそのまま当てはめられる保証はない。ネット上には「確定申告が不要な規模のビジネスなら非商用でよい」という趣旨の記述も流通しているが、筆者が公式の2ページを確認した範囲では、この基準を明示した記載は見つけられなかった。出所が確認できない緩和条件に頼るのは、規約領域では最もやってはいけない判断だ。緩い方向の情報ほど、一次情報で裏が取れるまで採用しない。
自分のチャンネルが商用に当たるかを整理する手順は、次の順で考えると迷いにくい。
- その動画から、直接・間接を問わず金銭的利益が発生する可能性があるかを確認する。広告収益、チャンネルメンバーシップ、スーパーチャット、アフィリエイト、自社サービスへの送客のいずれかが該当すれば、商用と考えて設計する。
- 収益発生が現時点でない場合でも、将来的に収益化する予定があるかを確認する。あるなら、最初から20点以内で作っておく。あとから点数を減らす作業は、動画を作り直すのとほぼ同じコストになる。
- 判断がつかない場合は、20点以内という安全側に倒す。そのうえで、どうしても21点以上必要ならお問合せフォームで確認する。
- 収益化していない教育・公共目的の利用であれば、21点以上も可能とされている。ただしその前提が崩れたら、点数を再点検する。
- 判断した結果を、動画ごとに「商用/非商用」のフラグとして記録に残す。あとで見返したときに、当時どちらの前提で作ったかが分かる状態にしておく。
「収益化していないから大丈夫」という前提は、収益化した瞬間に過去の全投稿へ遡って効いてくる。 収益化前に投稿した動画も、収益化後は広告が表示されうる。ここを見落としたまま登録者要件を突破し、あとから数十本の過去動画を点検する羽目になるパターンは珍しくない。チャンネルを伸ばす前提で運用するなら、最初の1本から商用基準で作るのが結局いちばん安い。
なお、収益化の可否そのものや再利用コンテンツ判定といったYouTube側のルールは、素材の権利処理とはまったく別の審査軸だ。素材のライセンスをクリアしていても、動画の作り方によっては収益化審査で引っかかることがある。素材の権利処理とプラットフォーム側の審査は、両方を独立にクリアする必要があると考えておきたい。
素材点数「20点」の数え方と、実務での管理方法
点数ルールは単純に見えて、実際に数え始めると迷いどころが多い。公式記載から確定できるものと、確定できないものを分けて整理する。
確定できること。利用規定は「重複はまとめて1点」と明記している。同じイラストを動画内で10回登場させても、点数は1点だ。またYouTubeについては「サムネイルを含め」と明示されているため、本編に使わずサムネイルだけに使ったイラストも1点として数える。映像作品の商品化については「1映像ではなく1商品(1番組)につき20点まで」とされており、複数話をまとめて1商品として販売する場合はエピソード単位ではなく商品単位で数える扱いになる。
確定できないこと。同じキャラクターの別ポーズ・別表情のイラストが「重複」なのか「別素材」なのか、シリーズものの色違い素材をどう数えるのか、といった細部は、公式文言だけでは一義に定まらない。素直に読めば、配布ページが別ならば別素材として1点ずつ数えるのが自然だ。安全側に倒すなら別カウントで計算し、どうしても点数が厳しくなるならお問合せで確認する。ここを希望的観測で「たぶんまとめて1点だろう」と処理するのは、あとから最も後悔する種類のミスになる。
実務上の手順は、次の5ステップで固定しておくと破綻しない。
- 台本を書く段階で、各シーンに使うイラストの枠を先に決める。動画尺ではなくシーン数から逆算すると、点数が読める。60秒のショートでシーンを12個に割るなら、素材は最大12点前後に収まる計算になる。
- ダウンロード時に、素材のファイル名を「連番_配布ページのタイトル」の形にリネームする。あとから出典を辿れる状態を作ることが目的だ。
- 動画ごとに素材台帳(スプレッドシート1行1素材)を作り、素材名・配布ページURL・取得日・素材源・商用フラグを記録する。
- 編集完了時に、台帳のユニーク件数を数える。サムネイル用の素材も忘れず1行として入れる。
- 20点を超えた場合は、公開前に素材を差し替えるか、お問合せで有償対応を相談する。公開してから減らすより、公開前に調整するほうが常に安い。
この手順を勧めるのには理由がある。筆者が運営している雑学ショートのチャンネルは、投稿60本で総再生281万回、登録者1,120人という規模になった。もう1本の睡眠系チャンネルは投稿110本で総再生12.5万回、登録者121人だ。合わせて170本という本数になると、「どの動画にどの素材を何点使ったか」は記憶ではまったく管理できない。実際、規模が小さいうちに台帳を作らなかったチャンネルのほうは、あとから全動画を遡って素材を確認する作業が発生し、これが本編制作より重い作業になった。逆に、最初から台帳を回していたチャンネルでは、点数チェックが1本あたり数分で終わっている。差が出るのは制作力ではなく、記録の有無だけだ。
素材ライセンスの管理コストは、動画の本数ではなく、使っている素材源の種類数に比例して増える。 100本の動画をすべていらすとや1本で作っているなら、確認すべき規約は1つで済む。一方、動画10本を5つの素材サイトから寄せ集めて作っていると、規約は5つ、点数ルールも5通り、クレジット要否も5通りになる。本数が少ないうちから素材源を絞っておくほうが、長期的な運用は圧倒的に軽い。素材の見た目のバリエーションを増やすことと、管理可能性を保つことは、実はトレードオフの関係にある。
制作の流れ自体をテンプレート化したい場合は、雑学 ショート 自動生成 やり方で扱っている台本から書き出しまでの工程に、上記の素材台帳ステップを差し込む形が組み込みやすい。スライド形式で解説動画を作る場合の画面設計はスライド解説動画 顔出しなし 作り方が参考になる。スライド形式は1枚に1素材という構成になりやすく、点数が想定より早く積み上がるので特に注意したい。10分の解説動画をスライド30枚で構成すれば、素材を使い回さない限り20点はあっさり超える。
加工・改変と「素材を主体とした商品化」の線引き
いらすとやの利用規定では、規約の範囲内であれば素材を自由に編集・加工できるとされている。色を変える、一部を切り抜く、複数の素材を組み合わせる、といった編集は想定内の利用だ。動画制作では、背景色を動画のトーンに合わせたり、キャラクターだけを切り抜いて配置したりする場面が多いので、これは実務上ありがたい。
ただし、加工に関しては誤解が広がりやすい2点を明確にしておきたい。
第一に、加工しても著作権は移転しない。利用規定は、加工の有無や程度によって著作権が利用者側に移ることはない旨を示している。「自分で加工したから自分の素材になった」という理屈は成立しない。
第二に、加工しても点数は減らない。加工した素材は依然としていらすとやの素材であり、20点のカウント対象から外れるわけではない。むしろ加工を重ねるほど、あとから「これはどのサイトの素材だったか」が分からなくなる。
加工を重ねるほど安全になるという直感は逆で、加工は点数も規約上の義務も一切減らさないまま、出典の追跡だけを難しくする。 だからこそ前節の素材台帳が効く。加工前のオリジナルファイルと配布ページURLを残しておけば、加工後の画面から出典を逆算する必要がなくなる。編集プロジェクトのフォルダ内に「01_original」と「02_edited」を分けておくだけでも、追跡性は大きく変わる。
また、加工の程度についても限界はある。利用規定は「素材のイメージを損なうような攻撃的・差別的・性的・過激な利用」を禁止しており、これは加工そのものにも及ぶと読むのが自然だ。元の絵柄が持つ穏やかな印象を反転させるような改変、他者を攻撃する文脈への転用、素材の出所が分からなくなるほどの解体は、規約の範囲内という枠から外れていく可能性がある。雑学動画のトーンであれば通常問題になる場面は少ないが、煽り系のサムネイルを作るときは意識しておきたい。
そして、雑学・解説動画の制作者が実際に踏みやすいのが「素材を主体としたコンテンツ・商品の再配布・販売」の禁止規定だ。これは素材の再配布やスタンプ・グッズ化を主に想定した条項だが、動画制作でも無関係ではない。判断の軸は「イラストが従なのか、主なのか」にある。
| 動画の作り方 | 素材の位置づけ | 評価の方向性 |
|---|---|---|
| 雑学・解説のナレーションが主で、イラストは内容の補助として挿入される | 従(挿絵) | 通常の利用として想定されている形 |
| いらすとやのイラストそのものを紹介・鑑賞させることが動画の主目的 | 主 | 「素材を主体としたコンテンツ」に近づく |
| いらすとやのキャラクターを固定の主人公に据えたシリーズ作品を展開する | 主に寄る | 判断が分かれる。事前に問い合わせるべき領域 |
| イラストを素材集としてまとめて視聴者に配布・販売する | 主 | 明確に禁止事項に該当 |
| 素材を使った動画テンプレートを他者に販売する | 主 | 素材の再配布に近づくため要確認 |
「情報が主役で、イラストは理解を助ける挿絵」という関係を保っている限り、雑学動画は想定内の利用に収まる。逆に、イラストのかわいさそのものがコンテンツの価値になっているなら、その動画は素材を主体としたコンテンツに近づいている。この線引きは程度問題であり、公式文言から機械的に判定できるものではない。シリーズのマスコットとして固定的に使うような設計を考えているなら、着手前にお問合せで確認しておくのが確実だ。企画が育ってから方向転換するより、企画段階で確認しておくほうが失うものが小さい。
いらすとや以外の素材源とライセンスの型を読み分ける
いらすとや1本で運用できるなら、それが最も管理コストが低い。とはいえ、20点の制約や絵柄の統一の都合で、他の素材源を併用する場面は出てくる。そのとき重要なのは、サイト名を覚えることではなく、ライセンスの「型」を見分けることだ。型さえ分かれば、初見のサイトでも規約の読み方が決まる。
素材のライセンスは、おおむね次の4つの型に分類できる。
- 独自ライセンス型:サイト運営者が独自に条件を定める。点数制限やクレジット、禁止用途が個別に決まっている。いらすとやはここに属する。読むべきは規約ページ全文で、他サイトの常識は通用しない。
- CC0・パブリックドメイン型:権利者が可能な限り権利を放棄している。使い方の自由度は最も高いが、素材内に写り込んだ商標・実在人物・建築物に別の権利が残ることがある。「ライセンスがCC0であること」と「素材の中身に権利問題がないこと」は別だ。
- プラットフォーム独自ライセンス型:CC0に似ているが独自条項を持つ。Pixabayは2019年1月9日以降、CC0ではなく独自の「Pixabayライセンス」に移行している。素材の再配布や、素材そのものを競合サービスとして提供する行為には制限がかかる。過去の解説記事が「CC0だから自由」と書いているケースがあるので、情報の日付を確認したい。
- 生成AI型:生成したデータの利用条件はツールの規約に従う。学習データの適法性と、出力物が既存著作物に類似していないかは別問題として残る。
これを、動画制作で使う代表的な素材源に当てはめると次のようになる。
| 素材源 | ライセンスの型 | 商用利用 | 点数・数量の制限 | クレジット | 特に注意すべき点 |
|---|---|---|---|---|---|
| いらすとや(イラスト) | 独自ライセンス | 可(条件付き) | 商用は1制作物20点まで、21点以上は有償(目安1点1,100円税込) | 不要 | 素材を主体とした商品化は禁止。動画はサムネイル込みで数える |
| Pixabay(画像・動画) | プラットフォーム独自 | 可 | 明示的な点数制限なし | 原則不要 | 2019年からCC0ではない。素材内の商標・人物・建築物に別権利が残りうる |
| YouTubeオーディオライブラリ(音楽・効果音) | プラットフォーム独自 | 可 | 明示的な数量制限なし | トラックにより必要/不要(フィルタで絞り込める) | 音源を動画から切り離して単体で配布・使用することはできない |
| CC0系の海外イラスト素材 | CC0・パブリックドメイン | 可 | 通常なし | 不要 | 商標的な図案や実在人物の描写は別途権利確認が必要 |
| 生成AIによる画像 | 生成AI型 | ツール規約による | 通常なし(プラン上限は別) | 通常不要 | 出力が既存著作物に類似しないか、ツールの商用条項がどうかを個別確認 |
この表は「どれが優れているか」ではなく「どこを読むべきか」を示すためのものだ。素材源を追加するたびに、点数制限・クレジット要否・禁止用途の3列を自分で埋められるかを確認する。埋められないなら、その素材源はまだ運用に入れないほうがいい。表の空欄を埋められないまま使い始めた素材が、あとで一番トラブルの種になる。
生成AIで画像を用意する選択肢については、日本では学習段階と生成・利用段階を分けて考える整理が示されており、既存の著作物の表現上の特徴を再現しようとするプロンプト指定はリスクが上がるとされている。ツールごとに商用条項も大きく異なり、無料プランでは商用利用が認められないサービスもある。「AIで作ったから権利関係はクリア」という理解は誤りだ。動画向けの生成のコツと確認ポイントはAI画像生成 動画用 コツで整理している。
なお、素材のライセンス管理そのものを減らす方向の選択肢として、動画生成ツールを使い、素材の調達と配置をツール側に寄せる方法もある。当サイトが開発・運営しているShortyもそのひとつだ。無料プランには、1本30秒まで・30日で5本まで・生成した動画の保存は7日間・ショート形式のみ、という制約がある。ツールを経由すればライセンス上の安全が保証されるわけではなく、どの経路を選んでも利用条件を自分で確認する必要がある点は変わらない。いらすとやを手作業で管理する運用が劣るわけでもなく、素材源を絞って台帳で管理するなら、それは十分に堅い運用だ。ここでは判断材料として選択肢を並べておく、という位置づけで捉えてほしい。
使用前の自己点検チェックリスト
投稿ボタンを押す前に、次のチェックリストを通す。所要時間は慣れれば3分程度で、これを習慣にしておくと、あとから遡って点検する必要がほぼなくなる。
| # | 確認項目 | 判定基準 | 未クリア時の対応 |
|---|---|---|---|
| 1 | この動画は商用に当たるか判定したか | 広告・メンバーシップ・アフィリエイト・自社送客のいずれかがあれば商用として扱う | 判定できないなら商用として設計する |
| 2 | 使用したいらすとや素材のユニーク点数を数えたか | 重複は1点、サムネイルは1点として計上 | 台帳を作り直してから数える |
| 3 | 商用の場合、点数は20点以内か | 20点以内であること | 素材を差し替えるか、公式に有償対応を相談する |
| 4 | サムネイル用の素材を数え忘れていないか | サムネイル素材が台帳に1行あること | 台帳に追加して再集計 |
| 5 | 禁止事項に触れる表現を含んでいないか | 攻撃的・差別的・性的・過激な文脈で素材を使っていない | 該当箇所を削除・差し替え |
| 6 | イラストが「主」になっていないか | 情報が主、イラストは補助という関係が保たれている | 構成を見直すか、事前に問い合わせる |
| 7 | いらすとや以外の素材を混在させていないか | 混在している場合、各素材源の規約を個別に確認済み | 未確認の素材源は使わない |
| 8 | クレジット表記が必要な素材が混じっていないか | 表記必須の素材はすべて説明欄に記載済み | 説明欄に追記してから公開 |
| 9 | BGM・効果音のライセンスも確認したか | 音源側の規約と帰属表示の要否を確認済み | 音源を確認済みのものに差し替え |
| 10 | 素材台帳(素材名・URL・取得日・素材源)を保存したか | 動画IDと紐づく形で保存されている | 公開前に作成する |
このうち9番については、音源側のルールが画像と別建てで存在する点を忘れないでほしい。特にYouTubeオーディオライブラリは、トラックによってクレジット表記の要否が異なり、音源を動画から切り離して配布することも認められていない。詳細は顔出しなし動画 BGM 著作権フリーにまとめている。
また、編集アプリのテンプレートを使っている場合、テンプレート自体に別のライセンスが乗っていることがある。テンプレートに含まれるフォント、エフェクト、音源が商用利用可能かは、イラストの点数管理とはまた別の確認項目だ。この論点はCapCut テンプレート 商用利用 注意で扱っている。テンプレートを使うと制作は速くなるが、確認すべきライセンスの層はむしろ増える、という理解を持っておきたい。
規約違反が発覚したときに何が起きるか
「たぶん大丈夫だろう」で処理してしまう人が多いのは、違反した場合に何が起きるかを具体的に想像できていないからだ。ここは冷静に整理しておきたい。リスクは3層ある。
第1層:権利者からの請求。素材を規約外で使っていた場合、権利者から利用停止や使用料相当額の支払いを求められる可能性がある。実際に、フリー素材と誤認して有料素材を使っていた自治体が、数年分の使用料相当額として20万円台の支払いで示談した事例が報道されている。写真を無断で改変して利用していた企業に対し、裁判で70万円台の賠償が命じられた事例もある。金額の大小より重要なのは、「フリー素材サイトから入手したから責任を免れる」という主張が通らなかった点だ。素材の入手経路がどうであれ、利用者側に確認の責任が残るという前提で運用するしかない。
第2層:プラットフォーム側の措置。権利者がYouTubeに著作権侵害の申し立てを行えば、動画の削除や著作権侵害の警告につながる。警告が累積すればチャンネル自体が停止されうる。警告の種類と対処の流れはyoutube 違反警告 種類 対処で詳しく扱っている。ここで痛いのは、削除されるのが「違反した1本」とは限らないことだ。同じ素材の使い方を全動画で踏襲していれば、指摘は全動画に及ぶ。テンプレート化された制作フローは効率を上げるが、間違いも同じ速度で複製する。
第3層:収益とチャンネル資産への影響。動画が削除されれば、その動画が積み上げていた再生数・視聴維持率・関連動画からの流入がすべて消える。伸びている動画ほど失うものが大きく、しかも伸びている動画ほど人目に触れて指摘されやすい。この非対称性は見落とされがちだ。総再生281万回という規模を作ってから主力動画を失う損失は、点数を数える手間とは比較にならない。
万一、指摘や連絡を受けたときの対応手順は次のとおり。
- 該当動画を非公開または限定公開に切り替え、被害の拡大を止める。いきなり削除するより先に非公開にしておくと、後述の事実確認がしやすい。
- 素材台帳を確認し、どの素材を何点、どの動画に使っていたかを特定する。台帳がない場合は、編集プロジェクトファイルから素材リストを書き出す。
- 連絡元が権利者本人か、代理人か、プラットフォーム経由の申し立てかを確認する。窓口によって対応先も対応方法も変わる。
- 事実関係を整理したうえで、素材提供元の公式窓口へ誠実に連絡する。認識違いがあった点は率直に伝え、是正案(差し替え・削除・有償対応の申し込み)を具体的に示す。
- 同じ原因の動画が他にないかを全件点検し、再発防止として台帳運用とチェックリストを導入する。
- 対応の経緯を記録に残す。同種の問い合わせが再度来たときに、経緯を示せることは有効に働く。
金銭や法的な請求を伴う話に発展した場合は、自己判断で応答を重ねる前に専門家へ相談してほしい。本記事はあくまで、そこに至らないための予防手順を示すものであり、個別の紛争についての判断を提供するものではない。
よくある質問
YouTubeで収益化しているチャンネルでいらすとやを使うのは商用利用か?
商用利用として扱うのが妥当だ。公式FAQは「収益化していない動画であれば21点以上のご利用が可能」と区別しており、収益化している動画は1本20点以内が無料の前提になる。
この読み方の根拠は、公式が「収益化していない」を例外条件として明示している点にある。例外条件をわざわざ設ける以上、原則側、つまり収益化している動画は20点以内という枠に入ると読むのが自然だ。広告収益だけでなく、メンバーシップやアフィリエイトなど何らかの収益が発生している場合も、安全側に倒して商用として設計しておきたい。判断が微妙な形態であれば、公式のお問合せフォームで確認するのが確実だ。
1本の動画に何点まで無料で使えるのか?
商用の場合はサムネイルを含めて20点までが無料。21点以上を商用で使う場合は有償対応となり、目安は一点につき1,100円(税込)と示されている。
点数の単位は「一つの動画」であり、チャンネル全体ではない。10本の動画があれば、それぞれが20点の枠を持つ。逆に、1本の動画に凝った演出を詰め込むと、意外なほど早く20点に届く。台本段階でシーン数から点数を逆算しておくと、編集の終盤で作り直す事態を避けられる。金額は目安であり、実際の条件は用途と規模によるため、公式に見積もりを取ってほしい。
サムネイルに使ったイラストも点数に数えるのか?
数える。公式FAQは「一つの動画にサムネイルを含め20点以内」と明記しており、サムネイル用の素材も本編と同じ枠で計上される。
見落としが最も多いのがここだ。本編を20点ちょうどで作り、サムネイルで1点追加して21点になっている、というケースは実際に起こる。素材台帳を作るときは、サムネイル用素材を必ず1行として登録し、集計対象に入れておくこと。サムネイルは編集の最後に作ることが多く、その時点で点数の意識が抜けているのが原因だ。
同じイラストを何度も登場させたら何点になるのか?
1点だ。利用規定に「重複はまとめて1点」と明記されている。同じ素材を動画内で何十回使っても、点数は増えない。
ここは制作上のヒントにもなる。特定のキャラクターや小物を繰り返し使う構成にすれば、点数を抑えながらシーン数を増やせる。一方、同じキャラクターでも別ポーズ・別表情の配布ページから取得したものは、別素材として数えるのが安全側の解釈になる。細かい判定に迷う場合は、推測せず公式に確認してほしい。
イラストを加工・色変更してもよいのか?
規約の範囲内であれば自由に編集・加工できるとされている。ただし加工しても著作権は移転せず、点数のカウント対象からも外れない。
加工が許されているのは、あくまで規約の範囲内での編集だ。素材のイメージを損なうような攻撃的・差別的・性的・過激な改変は禁止事項に触れる。また「加工したから自分の素材」「加工したから点数に入らない」という理解は明確な誤りなので、ここは切り分けておきたい。加工前のファイルと出典URLを残す運用にしておけば、あとから確認を求められても答えられる。
クレジット表記は必要か?
必須ではない。いらすとやは表記義務を課していない。任意で記載することは可能だが、クレジットを入れても点数制限が免除されるわけではない。
注意したいのは、他の素材サイトと混在させた場合だ。クレジット必須の素材源を併用しているなら、そちらの表記義務は残る。素材源ごとに要否が違うため、チェックリストの8番で必ず確認する運用にしておきたい。「1つでもクレジットを書いておけば全体をカバーできる」という発想は通用しない。
21点以上使いたい場合、どう手続きすればよいのか?
いらすとや公式サイトのお問合せフォームから相談する。よくあるご質問では利用料の目安として一点につき1,100円(税込)が示されている。
金額はあくまで目安であり、用途や規模によって条件が変わる可能性がある。動画を公開してから相談するのではなく、公開前に見積もりと可否を確認するほうが安全だ。継続的に21点以上使う構成なら、そもそも構成を見直して20点以内に収める設計に変えるほうが、コストも管理負荷も軽くなる。
収益化していない趣味チャンネルなら点数制限はないのか?
公式FAQは「収益化していない動画であれば21点以上のご利用が可能」としている。ただし将来収益化する予定があるなら、最初から20点以内で作るほうがよい。
収益化した時点で、過去に投稿した動画にも広告が表示されうる。その段階で数十本を遡って点検し、素材を差し替える作業は現実的に重い。伸ばす前提で運用するなら、非収益化期間中も商用基準で作っておくのが結果的に安く済む。趣味として続けると決めているなら制限は緩いが、その方針が変わる可能性は織り込んでおきたい。
Canva経由なら点数制限がないというのは本当か?
公式FAQには、Canvaのみを利用して作成した動画をそのままアップロードする場合は21点以上の利用が可能、という趣旨の記載がある。ただし条件は限定的だ。
「Canvaのみを利用し作成した動画をそのまま」という条件が付いている点が重要になる。Canvaで作った素材を他の編集ソフトに持ち込んで加工したり、Canva外の素材と合成したりすると、この条件から外れる可能性がある。実際の制作フローが条件に当てはまるかは、自分の工程を書き出したうえで判断し、微妙であれば公式に確認してほしい。
いらすとやのキャラクターを主役にしたシリーズ動画は作れるか?
判断が分かれる領域であり、事前に公式へ問い合わせるべきだ。利用規定は「素材を主体としたコンテンツ・商品の再配布・販売」を禁止しており、素材が主役になる構成はこの規定に近づく。
情報や解説が主で、イラストが理解を助ける挿絵という関係であれば、通常の利用に収まる。一方、特定キャラクターの存在自体が視聴の目的になっているなら、素材を主体としたコンテンツに寄っていく。程度問題であり、公式文言から機械的に線引きできるものではないため、企画段階で確認するのが最も確実だ。
動画を有料販売やDVD化する場合はどう数えるのか?
公式FAQは映像作品の商品化について「問題ありません。DVD、Blu-ray、ネット配信など媒体も問いません。ただし1映像ではなく1商品(1番組)につき20点まで」としている。
つまり、複数エピソードをまとめて1商品として販売する場合、エピソードごとに20点ではなく、商品全体で20点という枠になる。オンライン講座やまとめ販売を考えているなら、この差は大きい。企画段階で商品単位の点数設計をしておきたい。
規約は改定されることがあるか。どのタイミングで確認すべきか?
改定されうる。素材サイトの規約は運営者の判断で変更されるため、本記事のような二次情報だけに頼るのは危うい。制作前と、運用方針を変えるタイミングで一次情報を確認するのが基本だ。
具体的には、新しいシリーズを始めるとき、収益化を申請するとき、動画を商品化するときの3つのタイミングで、公式の「ご利用について」と「よくあるご質問」を読み直すことを勧める。過去に確認したときのスクリーンショットや日付を台帳に残しておくと、当時どの条件で判断したかを示せる。
まとめ
いらすとやのイラストを雑学・解説動画で使うこと自体は、公式に想定された利用だ。問題になるのは、「無料」と「商用利用できる」を同じ意味だと思い込み、点数と商用判定を放置したまま本数を積み上げてしまうケースに限られる。
押さえるべき軸は4つだけだ。第一に、収益化しているチャンネルの動画は商用として設計し、サムネイルを含め1本20点以内に収める。第二に、重複は1点、サムネイルも1点という数え方を守り、動画ごとに素材台帳を残す。第三に、加工は許容されているが、加工しても著作権も点数も変わらないと理解する。第四に、公式文言から一義に読み取れない論点は推測で埋めず、公式のお問合せフォームで確認する。
繰り返しになるが、本記事は法的助言ではない。最終的な判断は、いらすとや公式の「ご利用について」と「よくあるご質問」、および権利者への確認によるものであり、規約は改定されうる。制作前に必ず一次情報を自分の目で確認してほしい。
次に取り組む順序としては、以下の流れを推奨する。
- まず雑学 ショート 自動生成 やり方で制作フローを固め、その工程に素材台帳のステップを組み込む。
- 画面構成を詰めるためにスライド解説動画 顔出しなし 作り方を読み、1枚あたりの素材点数を設計する。
- イラスト以外の素材が必要になったら無料 動画素材 サイト 商用可で映像素材を、顔出しなし動画 BGM 著作権フリーで音源の条件を確認する。
- 編集テンプレートを使うならCapCut テンプレート 商用利用 注意でテンプレート側のライセンスを点検する。
- 生成AIを併用する場合はAI画像生成 動画用 コツでツール規約の確認ポイントを押さえる。
- 万一の指摘に備えてyoutube 違反警告 種類 対処に目を通し、対応手順を先に知っておく。
素材の権利処理は、伸びてから慌てて整えるものではなく、1本目から仕込んでおくものだ。台帳とチェックリストという地味な2つを最初に導入しておけば、100本を超えたあとの自分が確実に助かる。