COEIROINK(コエイロインク)を使う前に押さえるべき結論は3つある。1つ目、スマホ単体では使えない。公式が配布しているのはWindows・Mac・Linux向けのデスクトップアプリだけで、2026年9月時点でAndroid/iOS向けの公式アプリもブラウザ版も存在しない。2つ目、ソフト本体は商用利用可だが、生成した音声の可否はキャラクターごとに違う。しかも「COEIROINK:合成音声名」というクレジット表記は公式規約で必須と定められている。3つ目、「COEIROINKの作り方」には2つの意味がある。動画の作り方と、自分の声の音声モデル(MYCOEIROINK)の作り方だ。後者は公式が「難易度が高く、開発者としての知識も一部必要」と明記している領域で、気軽に手を出すと数時間を溶かす。
この記事は、この3点を軸に「使い方・ダウンロード・スマホ・自分の声・キャラ一覧・商用利用・YMM4連携・Mac・API・v2」までを1本で通す。検索して出てくる解説の多くがv1(1.7.3以前)を前提にしていて手順が食い違う問題にも触れる。
COEIROINKはスマホで使えるのか|結論と4つの代替策
結論から言うと、COEIROINKをスマホ(Android/iPhone)単体で動かすことはできない。 公式ダウンロードページで配布されているのは、Windows(CPU版/GPU CUDA版/GPU DirectML版)、Mac(Intel/Apple Silicon)、Linux(CPU版)の6系統だけで、モバイルアプリは用意されていない。ブラウザで動く公式のWeb版も存在しない。
ここを最初に書いたのは、「COEIROINK スマホ」で検索している人が、実際には2種類の困りごとを抱えているからだ。
- A:PCを持っておらず、スマホしかない。 この場合、COEIROINKという選択肢自体を一度外して考えた方が早い。
- B:PCは持っているが、外出先や寝る前にスマホから作業を進めたい。 この場合は、PC側でCOEIROINKを動かす前提の回避策が使える。
タイプ別に現実的な代替策を整理する。
| 状況 | 代替策 | 現実的な難易度 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| B:PCはあるが外から触りたい | PCにリモートデスクトップで接続してCOEIROINKを操作 | 中 | 音声プレビューに遅延が出る。GPU版はリモートセッションで不安定になる報告があり、CPU版の方が素直に動くことが多い |
| B:PCで音声だけ作る | PCでwavを書き出し、クラウド経由でスマホに渡して編集アプリで合成 | 低 | 台本修正のたびにPCに戻る往復が発生する |
| A:スマホしかない | スマホで動く別の音声合成アプリ・クラウドTTSを使う | 低 | COEIROINKのキャラクターの声は使えない。規約も別物になる |
| A:スマホしかない | ブラウザ完結型の動画生成ツールを使う | 低 | 無料枠の制約が厳しいことが多く、長尺には向かない |
4つ目の選択肢について1つだけ補足しておく。当サイトが開発・運営しているShortyは、ブラウザ上で台本から字幕付きのショート動画までを作れるツールで、PCのセットアップをせずに手を動かしたい人にとっての選択肢の1つになる。ただし無料プランには1本30秒まで・30日で5本まで・保存は7日間・ショート形式のみという制約があり、COEIROINKのように長尺の解説動画を本数制限なく作る用途には向かない。COEIROINK+PCの構成とは守備範囲が違うだけで、どちらが優れているという話ではない。スマホしかない状態で「まず1本出す」ことを優先するなら検討に値する、という位置づけで読んでほしい。
なお、リモートデスクトップ経由の運用は「動く」だけで「快適」ではない。イントネーションを1文ずつ聴き比べて詰める作業は、遅延が0.5秒でも入ると集中力が持たない。筆者の実感としては、スマホからやるのは台本の執筆と修正までにとどめ、音声の生成と詰めはPCの前でまとめてやる分業の方が、結局は早く終わる。
COEIROINKの使い方①|ダウンロードとインストール手順
まず版を選ぶ
COEIROINKは公式サイトのダウンロードページから入手する。配布はBOOTHまたはDropbox経由で、インストーラー形式ではなくZIP解凍型、管理者権限も不要だ。最新版は v2.13.0(2026年3月23日公開)で、GPU(DirectML)版は2026年8月11日に追加されている。
どの版を落とすかで最初に迷うので、判断軸を表にする。
| 版 | 向いている人 | 補足 |
|---|---|---|
| Windows CPU版 | 迷ったらこれ。初めて触る人、ノートPCの人 | GPUが無くても動く。生成は1文あたり数秒程度 |
| Windows GPU版(CUDA) | NVIDIA製GPUを積んでいて、長尺台本を一気に合成したい人 | ダウンロードサイズが大きく、BOOTHからだと分割ファイルの結合が必要 |
| Windows GPU版(DirectML) | NVIDIA以外のGPU環境で高速化したい人 | 2026年8月公開の比較的新しい版。情報が少ないぶん自己解決力が要る |
| Mac(Intel/Apple Silicon) | Macユーザー | 自分のMacのチップ種別に合わせて選ぶ |
| Linux(CPU) | サーバーでAPIだけ動かしたい人 | GUIを前提にしない使い方向け |
Windows版の手順(番号付き)
- 公式サイトのダウンロードページから、自分の環境に合うファイルをダウンロードする。
- ダウンロードしたZIPを解凍する。ここで展開先はパスに日本語やスペースを含まないフォルダ(例:
C:\coeiroink)にする。深い階層や日本語パスは起動トラブルの温床になる。 - 解凍したフォルダの中にあるexeを実行して、2回目の解凍を行う。COEIROINKは環境非依存と高圧縮・高速解凍を両立させるため、2段階の解凍を採用している。左下の進捗が100%になれば完了。
COEIROINKv2.exeを実行してソフトを起動する。初回起動はエンジンの立ち上げに時間がかかることがある。- 起動後、不要になったzip・exe・7zファイルは削除してよい(公式ヘルプにも記載がある)。
- 画面左上の人型アイコンから「キャラクターダウンロード」を開き、使いたいキャラクターを個別に追加する。
「2回解凍」を知らずに1回目の解凍だけで起動しようとして詰まるケースが多い。ここはCOEIROINK固有の作法なので、他ソフトの感覚で進めないこと。
coeiroink 使い方 mac|Mac版の手順と注意点
Macの場合は手順がさらに短い。
- 公式サイトから
COEIROINK_MAC_〜.zipをダウンロードする(Intel版とApple Silicon版があるので取り違えない)。 - ZIPを解凍する。
- 解凍後のフォルダ内にある
COEIROINKv2.appを「アプリケーション」フォルダにコピーする。 - アプリを実行する。初回はmacOSのGatekeeperにブロックされることがあるため、その場合はシステム設定のプライバシーとセキュリティから実行を許可する。
Mac特有の注意点として、追加のMYCOEIROINKを入れる場所がWindowsと違う。配布されているMYCOEIROINK内の「数値と文字で構成されるフォルダ」を、COEIROINK.app 内の Contents/MacOS/speaker_info に配置する必要がある。反映されない場合は、COEIROINK内の設定を初期化すると認識されることがある、と公式が案内している。
もう1点、Macユーザーが見落としやすいのは動画編集側だ。COEIROINK自体はMacで動くが、定番の連携先であるゆっくりムービーメーカー4(YMM4)はWindows向けソフトで、Macでそのまま動かせない。Macで完結させたい場合は、音声だけCOEIROINKで書き出して、別の編集ソフトにwavを読み込ませる構成になる。この「音声はMacで作れるが編集ソフトが無い」問題は、音声合成ソフト全般でMacユーザーがぶつかる壁でもある。
インストールでつまずいたときの切り分け
| 症状 | 考えられる原因 | 対処 |
|---|---|---|
| exeを実行しても何も起きない | 2回目の解凍が終わっていない | 解凍用exeを再実行し、進捗100%を確認する |
| 起動途中で落ちる | 日本語パス・深すぎる階層に置いている | 英数字のみの浅いパスに置き直す |
| ファイルが消えている | セキュリティソフトの誤検知で隔離された | 検疫フォルダを確認し、必要なら除外設定を追加して再展開 |
| 追加キャラが一覧に出ない | エンジンが起動時のキャラ情報を保持している | COEIROINKを再起動する。Macは配置先フォルダを再確認 |
| 音声生成が極端に遅い | CPU版で長文を一括処理している/他ソフトがエンジンを占有 | 文を短く分割する。エンジンを使う他ソフトを終了する |
COEIROINKの使い方②|テキスト入力から音声書き出しまで
インストールが終われば、基本操作はシンプルだ。
- エディタ画面のテキスト欄に、読ませたいセリフを1文ずつ入力する。
- 上部のキャラクター選択から、使うキャラクターとスタイル(感情)を選ぶ。
- 再生ボタンで試聴し、読み方が意図と違う箇所を確認する。
- アクセントやイントネーションを調整する。COEIROINKは文字単位でのイントネーション調整に加え、ピッチを線として描いて細かく整える「ピッチ描画」に対応しているのが特徴だ。
- 速度・音高・抑揚・音量、および前後の無音長を調整する。
- 納得したら音声ファイル(wav)として書き出す。複数行をまとめて書き出すこともできる。
読み間違いを潰す実務的なコツ
音声合成で棒読みに聞こえる原因の大半は、ソフトの性能ではなく入力テキストの書き方にある。COEIROINKで動画ナレーションを作るなら、次の4点だけは最初から徹底しておきたい。
- 数字は読み仮名で書く。 「2026年」は文脈によって「にせんにじゅうろくねん」とも「にーぜろにーろくねん」とも読まれうる。読ませたい方を平仮名で書いてしまうのが最も確実。
- アルファベットの略称は平仮名に開く。 「AI」「SNS」「API」などは意図しない読みになることがある。「えーあい」「えすえぬえす」と書く。
- 1文は40〜60字程度で切る。 長い一文は抑揚の山が単調になり、聞いていて眠くなる。読点で粘らず、文そのものを分ける。
- 固有名詞は必ず一度再生して確認する。 特に人名・地名・作品名は、辞書に無ければまず正しく読まれない。
ショート動画のようにテンポが命の企画では、文の長さを整えるだけで体感の聞きやすさが変わる。パラメータをいじる前に、まず台本の書き方を直した方が費用対効果が高い、というのが実際に何本か作ってみた上での率直な所感だ。
動画ナレーション向けの設定の考え方
「正解の数値」は企画によって変わるので断定はしないが、方向性としては次のように考えると迷いにくい。
- 解説・情報系の長尺:速度はやや遅め、抑揚は控えめ。聞き流されることを前提に、情報の詰め込みすぎを避ける。
- 雑学・クイズ系のショート:速度は速め、抑揚は強め。ただし速すぎると字幕が追いつかないので、字幕の表示時間と合わせて調整する。
- 朗読・怪談系:速度は遅め、前後の無音を長めに取って「間」を作る。COEIROINKは前後の無音長を個別に指定できるので、ここが効く。
無音区間を長く取りすぎると視聴維持率が落ちやすいのも事実なので、「間を取る=良い」と単純に考えないこと。書き出したwavを実際に動画に乗せてから、通しで一度聴き直すのが唯一確実な検算になる。
COEIROINKのキャラ一覧|14キャラ・76スタイルの中身
COEIROINKには、公式に提供されている音声キャラクターが複数用意されている。2026年1月時点の集計で14キャラクター・合計76スタイルが利用できるとされている(スタイルはキャラクターごとの感情・トーンのバリエーション)。
公開情報で確認できる公式キャラクターは以下の通り。
| キャラクター | 声の方向性 | 向いている企画の例 |
|---|---|---|
| つくよみちゃん | 落ち着いた中性的な女性声。れいせい/おしとやか/げんきの3スタイル | 解説・情報系全般。COEIROINKの入口として最も情報が多い |
| MANA | VTuber由来の配信寄りのテンション | 実況風、掛け合い、テンポの速い雑学 |
| KANA | MANAと同系統の別ボイス | 2人掛け合いの相方役 |
| おふとんP | 音楽プロデューサー提供の男性声 | 男性ナレーション、落ち着いた語り |
| ディアちゃん | 幼さの残る柔らかい女性声 | 癒し系、ASMR寄り、キャラ寄りの語り |
| アルマちゃん | ダウナー気味の低音の少女声 | 怪談・ミステリー、淡々とした語り |
| AI声優-朱花 | 生意気で強気な方向性 | ツッコミ役、キャラ立ちが必要な掛け合い |
| AI声優-青葉 | 落ち着いた青年声 | 男性ナレーション、解説の主軸 |
| AI声優-銀芽/金苗 | AI声優シリーズの別ボイス | 3人以上の掛け合い構成 |
| リリンちゃん/クロワちゃん/アンジーさん/アメノちゃん | 個別提供のキャラクターボイス | 企画に合わせて選択 |
キャラクター名や提供元は変わりうるので、使う前に必ず公式のキャラクターページで最新の情報を確認してほしい。特に後述する利用規約はキャラクターごとに異なり、この記事で全14キャラ分を検証できたわけではない。
キャラ選びで実際に効く判断軸
キャラクター数だけを見るとVOICEVOXなど他ソフトの方が多いが、COEIROINKの選び方は少し違う軸で考えた方がいい。
- 1キャラで何トーン出せるか。 つくよみちゃんのように3スタイル持つキャラなら、同一キャラのまま「落ち着いた解説→テンションを上げる山場」という緩急が付けられる。掛け合い動画を1キャラで回すこともできる。
- 商用利用の条件が自分の運用に合うか。 後述するが、法人商用が「要相談」のキャラクターがある。企業案件や外注として作る可能性があるなら、最初からそこを避けた方が手戻りが少ない。
- 立ち絵などのビジュアル素材が手に入るか。 音声だけあっても、動画には画が要る。つくよみちゃんのように公式が素材を整備しているキャラは、そこで詰まりにくい。
COEIROINKの商用利用|キャラ別の可否とクレジット表記【最重要】
ここがCOEIROINKで最も誤解されている部分だ。規約は2層構造になっていると覚えてほしい。
- 第1層:COEIROINK全体の利用規約。 ソフトウェア自体は「商用・非商用を問わず利用できます」とされている。ただし生成された音声については「各音声ライブラリの利用規約に従う」と明記されており、音声ライブラリ側が商用利用を禁止していれば、その音声は商用利用できない。
- 第2層:キャラクター(音声ライブラリ)ごとの利用規約。 非商用/個人商用/法人商用/アダルト作品/グロテスク作品/他キャラへの流用/声質加工の可否が、キャラクターごとに個別に定められている。
つまり「COEIROINKは商用利用OK」という一行だけを信じて制作を始めると、キャラクターによっては足元をすくわれる。
クレジット表記は公式規約で必須
COEIROINK公式の利用規約では、生成音声を使う際のクレジット表記が必須と定められている。表記には「COEIROINK」と「合成音声名」を含める必要があり、COEIROINK:合成音声名 の形が基本形になる。
表記場所についても指定がある。
- 「コンテンツ内、もしくは、コンテンツ概要欄のいずれか」
- SNSの場合は「コンテンツが含まれるツイートのリプ欄」
- 概要欄が無い音声作品の場合は「クレジットの読み上げ」
音楽サービスへの登録などで概要欄が無く情報登録が難しい場合は、COEIROINK運営と音声提供者の許諾により例外的にクレジット表記なしが認められる、という但し書きもある。裏を返せば、例外は許諾を取ってはじめて成立するもので、自己判断で省略していいものではない。
ここでもう一段踏み込んだ実務上の注意を書いておく。YouTubeの概要欄は「もっと見る」を押さないと全文が見えない。規約の文面上は概要欄への記載でよいとしても、クレジットを概要欄の最下部に埋めると、視聴者にも権利者にも見えにくくなる。筆者としては、概要欄の上部3行以内、もしくは動画内のテロップに置くことを勧めたい。これは規約の要求を超える運用だが、後から指摘を受けたときに「見える場所に置いていた」と言えるかどうかは実務上の差になる。
キャラ別の商用利用可否・クレジット表記要否(公式ページ確認分)
以下は2026年9月時点で、COEIROINK公式のキャラクターページに掲載されている内容を確認して整理したものだ。規約は改定されうるので、制作前に必ず各キャラクターの公式ページを自分の目で確認してほしい。
| キャラクター | 非商用 | 個人商用 | 法人商用 | アダルト作品 | クレジット表記 | 必須表記の例 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| つくよみちゃん | 可 | 可 | 可 | ― | 必須 | 「COEIROINK:つくよみちゃん」/「CV:つくよみちゃん@COEIROINK」 |
| MANA | 可 | 可 | 可 | 不可 | 必須 | 「COEIROINK:MANA」/「CV:MANA@COEIROINK」/「声:MANA@COEIROINK」 |
| ディアちゃん | 可 | 可 | 要相談 | 可(ゾーニング必須) | 必須 | 「COEIROINK:ディアちゃん」/「CV:ディアちゃん@COEIROINK」 |
| アルマちゃん | 可 | 可 | 要相談 | 可(ゾーニング必須) | 必須 | 「COEIROINK:アルマちゃん」/「CV:アルマちゃん@COEIROINK」 |
| AI声優-朱花 | 可 | 可 | 可 | 不可 | 必須 | 「COEIROINK:AI声優-朱花」/「CV:AI声優-朱花@COEIROINK」 |
| 上記以外のキャラクター | 個別確認 | 個別確認 | 個別確認 | 個別確認 | 必須 | 各キャラクターページ参照 |
この表から読み取ってほしいポイントは3つある。
- クレジット表記は全キャラ共通で必須。 確認した範囲では例外なく「クレジット表記なしでの利用」が禁止事項に入っていた。ここは迷う余地がない。
- 法人商用で分かれる。 つくよみちゃんとAI声優-朱花は法人商用まで可、ディアちゃん・アルマちゃんは要相談だった。この差は見落とされやすい。
- アダルト・グロテスクの扱いも分かれる。 MANAとAI声優-朱花はアダルト作品での利用が不可、ディアちゃん・アルマちゃんはゾーニングを行えば可、という違いがあった。
なお、KANA・おふとんP・リリンちゃん・AI声優-青葉/銀芽/金苗・クロワちゃん・アンジーさん・アメノちゃんについては、本記事では個別ページの規約を確認できていないため、可否は「公開情報では確認できない」として空欄にしている。憶測で埋めるべき項目ではないので、使う前にご自身で公式ページを確認してほしい。
「個人商用」と「法人商用」の境目という落とし穴
ここは独自に強調しておきたい。YouTubeで個人がチャンネルを運営して広告収益を得るのは、通常「個人としての商用利用」に当たる。だが、動画制作を外注として請け負った場合や、法人名義のチャンネルに納品する場合は、実質的に法人商用の領域に入る可能性がある。
顔出しなしチャンネルの運営者は、副業として始めて、後から案件を受けたり、法人化したりする流れをたどることが少なくない。そのとき、初期に選んだキャラクターが「法人商用は要相談」だったら、過去の動画をすべて作り直すか、個別に許諾を取るかの二択になる。将来の運用を少しでも想定するなら、法人商用まで明示的に可とされているキャラクターから選んでおくのが、最もコストの低いリスク回避策になる。
規約違反と著作権申し立てが起きたときの実務
クレジット表記の漏れやキャラクター規約の逸脱は、一次的には権利者との問題だが、YouTube上では著作権の申し立てやコミュニティガイドライン違反として表面化することがある。仕組みを知らないまま通知を受け取ると、必要以上に慌てて誤った操作をしがちだ。事前にYouTube違反警告の種類と確認方法を読んで、「何が来たのか」を落ち着いて判別できる状態にしておくことを勧める。
また、音声の規約を守っていても、立ち絵・BGM・効果音・引用画像といった他素材のライセンス違反は別枠で発生する。音声だけ確認して安心しないこと。
公開前チェックリスト
- [ ] 使用したキャラクターの個別ページで、非商用/個人商用/法人商用の可否を確認した
- [ ] 自分の使い方が「個人商用」か「法人商用」かを判定した(外注・法人納品は要注意)
- [ ] 「COEIROINK:合成音声名」形式のクレジットを、概要欄上部または動画内に入れた
- [ ] 複数キャラを使った場合、使った全キャラ分のクレジットを書いた
- [ ] MYCOEIROINKを使った場合、その配布者の規約も別途確認した
- [ ] 立ち絵・イラスト素材の商用利用可否と改変可否を確認した
- [ ] BGM・効果音のライセンス表記を入れた
- [ ] セリフに他者攻撃・特定思想の押しつけ・ゾーニング違反の表現が無いか読み返した
COEIROINKの「作り方」=MYCOEIROINKで自分の声のモデルを作る
「COEIROINK 作り方」「COEIROINK 自分の声」で検索して辿り着くのが、MYCOEIROINKだ。これは自分(または許諾を得た第三者)の声を録音して学習させ、COEIROINK上で使える音声モデルを作る仕組みを指す。
最初に率直に書くと、公式サイト自身が「難易度が高く、開発者としての知識も一部必要とします」と明記している。「無料で自分の声が作れる」という部分だけが先に広まりがちだが、実態は数時間〜十数時間を投じる作業だ。軽い気持ちで始めて途中で止まる人が多い領域なので、着手前に全体像を把握しておきたい。
全体の流れ
公式は、作り方と利用規約の詳細をGoogle Colab(Googleが提供するクラウド上のコード実行環境)のコードページで案内している。制作報告として公開されている複数のブログを突き合わせると、工程はおおむね次の5段階に整理できる。
- 利用規約の確認。 MYCOEIROINK自体の規約と、録音に使うコーパス(読み上げ用の文章セット)の規約を確認する。他人の声を使う場合は本人の許諾が前提になる。
- 音声の録音。 無料の録音支援ソフト「OREMO」を使い、決められた文章を1文ずつ読み上げて録音する。ITAコーパス424文とMANAコーパス228文を合わせた最大652文が使われることが多い。少ない本数でも動くが、本数が少ないほど品質は落ちる。
- 音声ファイルの整理。 録音した大量のwavをファイル名の規則どおりに並べ、無音やノイズを整える。
- Google Colabでの学習。 用意されたノートブックを実行して、録音データから音声モデルを学習させる。
- 完成モデルの導入。 できあがったフォルダをCOEIROINKの
speaker_infoに配置して、ソフト上から選べるようにする。
必要なものと所要時間の目安
ここから先の数値は公式の公表値ではなく、制作報告ブログで共通して語られている目安なので、そのつもりで読んでほしい。
| 項目 | 目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 録音文数 | 最大652文(ITA 424+MANA 228) | 最低10文程度からでも動くが、品質は本数に比例して安定する |
| 録音時間 | 数時間〜 | 声の調子を揃えるため、日をまたぐと質が落ちやすい |
| Googleドライブ空き容量 | 7GB程度 | 学習データとモデルの保存先として必要 |
| 学習時間 | 数時間〜10時間規模 | 無料版Colabは連続12時間で切断されるため、途中再開の設計が要る |
| 学習エポック数 | 最低30程度で安定、最大100 | 無料枠では3〜6時間(およそ15エポック)で打ち切られるという報告が多い |
| 課金の要否 | 必須ではない | Colab Proを使うと学習が速く安定するという報告がある |
うまくいかない条件を先に知っておく
MYCOEIROINKは「やれば必ず良い声ができる」ものではない。次のような条件では、時間をかけても満足な結果になりにくい。
- 録音環境が悪い。 エアコンの音、キーボードの打鍵音、部屋の反響がそのまま学習される。マイクの良し悪しよりも、まず静かな環境と一定の距離を保つことの方が効く。
- 声の調子が録音中にぶれている。 652文を何日にも分けて録ると、テンションや声量の差がモデルに混ざり、読み上げが不安定になる。
- 無料枠だけで完走しようとしている。 学習が途中で切れると、そこまでの成果が中途半端なモデルとして残る。再開の手順を理解していないと、そこで止まる。
- PCやネット環境が不安定。 アップロードとダウンロードだけで数GBを動かす前提になる。
それでも取り組む価値があるのは、「声がかぶらない」ことそのものが差別化になるからだ。ここはCOEIROINKを選ぶ最大の理由になりうるので、次の節で改めて書く。
配布されているMYCOEIROINKを使うという選択肢
自分で作らなくても、有志が制作したMYCOEIROINKが個人単位で配布されている。2026年3月時点で547件・合計1,555スタイルという集計もあり(公式の公表値ではなく有志によるカウント)、公式14キャラだけを見た印象よりも、実際の選択肢はずっと広い。
ただし、配布されているMYCOEIROINKの利用規約は配布者ごとに完全に別物だ。商用利用可のものもあれば、非商用限定のもの、クレジット表記の文言を指定しているものもある。COEIROINK公式の規約とは別に、配布ページの規約を必ず読むこと。ここを読まずに収益化チャンネルで使うのが、最もありがちな事故の形になる。
独自視点:COEIROINKの本当の差別化はキャラ数ではない
音声合成ソフトの比較記事は「キャラクターが何人いるか」で語られがちだが、顔出しなしチャンネルを運営する立場で見ると、差が出るのは別のところにある。
VOICEVOXの人気キャラクターは、同ジャンルのチャンネルで大量に使われている。声を聞いた瞬間に「またこの声か」と思われる状態は、視聴者からの新規性の評価という点では不利に働きうる。一方、COEIROINKはMYCOEIROINKという「声を足せる」仕組みを持っているため、配布モデルを使うか自作するかで、他チャンネルと声がかぶらない状態を作りやすい。
これは「COEIROINKの方が伸びる」という主張ではない。実際には企画とサムネイルの方が再生数への影響は大きく、声だけで数字が変わるわけではない。ただ、同質化した量産ジャンルで戦うときに、手札として持っておく価値がある差別化軸であることは確かだ。
COEIROINKとYMM4の連携設定|v1とv2で手順が違う
顔出しなし動画で定番の組み合わせが、COEIROINK+ゆっくりムービーメーカー4(YMM4)だ。YMM4側でセリフを打ち込むだけで、音声と字幕が同時に生成される。
設定手順
- COEIROINKを先にダウンロード・展開しておく(パスは英数字のみが安全)。
- YMM4を起動し、「ファイル」→「設定」から設定ウィンドウを開く。
- 「音声合成」のカテゴリで、使っているCOEIROINKのバージョンに応じた項目を選ぶ。
- v2の場合:「COEIROINK v2」を選び、
COEIROINKv2.exeのパスを指定する。 - v1(1.7.3以前)の場合:「VOICEVOX」を選び、アプリケーション一覧からCOEIROINKを指定して、COEIROINK.exeまたはCOEIROINKonVOICEVOX.exeを選ぶ。 - 「ファイル」→「キャラクター編集」でキャラクター設定ウィンドウを開く。
- 「ボイス」の「声質」欄で、COEIROINK配下のキャラクターとスタイルを選ぶ。
- 同じ画面で字幕のフォント・サイズ・位置・縁取りを設定しておく。
- タイムラインにセリフを入力して追加すると、音声と字幕が自動生成される。
新しく追加したキャラクターが声質一覧に出てこない場合は、声質一覧の右側にある更新ボタンをクリックする。 これを知らずに「COEIROINKが使えない」と判断してしまう人が多い、典型的なつまずきポイントだ。
併用時の制約
1つ実務上の制約がある。他のソフトがCOEIROINKのエンジンを使用している間は、COEIROINK本体や別のソフトで音声を合成できない。 エンジンは1つしか立ち上がらないため、YMM4から使っている最中にCOEIROINKのGUIで試聴しようとすると詰まる。片方を閉じてから、もう片方で作業する運用にすること。
立ち絵と口パク
YMM4は立ち絵素材を読み込ませると、音声に合わせて自動で口パクさせられる。ただし立ち絵が表示されない、口パクしない、というトラブルは素材側の構造やキャラクター設定の紐づけに起因することが多い。詰まったらYMM4で立ち絵が口パクしない原因を参照して、症状別に切り分ける方が早い。
なお、立ち絵の利用規約は音声の規約とは完全に別である点は繰り返しておきたい。音声はCOEIROINKの規約、立ち絵は配布元の規約、という二重管理になる。
COEIROINK v2とAPI|VOICEVOX互換が切れた影響を理解する
v1とv2の決定的な違い
COEIROINKは2023年6月にv2へ移行し、そこで内部構造が大きく変わった。
| 項目 | v1(〜1.7.3) | v2(2023年6月〜) |
|---|---|---|
| UI | VOICEVOXのUIを流用(LGPLでソース公開) | 独自開発のUI |
| API | VOICEVOX互換 | 独自API |
| VOICEVOX対応ソフトとの連携 | VOICEVOXとして接続できた | VOICEVOX互換は終了 |
| YMM4の設定項目 | 「VOICEVOX」枠から指定 | 「COEIROINK v2」枠から指定 |
| 後方互換 | ― | v1で作った音声モデルの利用は引き続きサポート |
ここが、ネット上の解説記事と実際の画面が食い違う最大の原因だ。 「COEIROINKはVOICEVOXとAPI互換だから、VOICEVOX対応を謳うソフトならどれでも繋がる」という説明は、v1時代には正しかったが、v2ではそのまま成り立たない。v2を入れたのにVOICEVOX対応ソフトから見つからない、という状況は故障ではなく仕様変更の結果である。
この点を知らずに「バグだ」と判断して再インストールを繰り返すのは、時間の無駄になる。連携先のソフトがCOEIROINK v2に個別対応しているかを、そのソフトの公式情報で確認するのが正しい手順だ。VOICEVOX側の使い方や連携を比較したい場合はVOICEVOXの使い方も合わせて見ておくと、どちらの手順の話をしているのか混乱しにくい。
COEIROINK APIで自動化する
COEIROINKはGUIから操作するローカルAPIサーバーとして動いており、GUIを介さずAPIを直接叩くことができる。ここが、読み上げbotや台本の一括音声化といった自動化の入口になる。
- エンドポイントは
http://localhost:50032/ - 話者一覧の取得は
GET /v1/speakers - 音声合成は
/v1/synthesis - 韻律の推定は
/v1/estimate_prosody
/v1/synthesis に渡す主なパラメータには、speakerUuid(話者ID)、styleId(スタイルID)、text(読ませる文章)、speedScale(速度)、pitchScale(音高)、intonationScale(抑揚)、volumeScale(音量)、prePhonemeLength / postPhonemeLength(前後の無音長)、outputSamplingRate(サンプリングレート)などがある。GUIのスライダーと対応していると考えればよい。
典型的な用途は次の3つだ。
- 台本ファイルの一括音声化。 テキストファイルを1行ずつ読み込み、連番のwavとして書き出す。手作業のコピペを丸ごと消せるので、量産チャンネルでは効果が大きい。
- Discordの読み上げbot。 チャットの発言をCOEIROINKで読み上げさせる実装が、GitHubなどで複数公開されている。MYCOEIROINKで作った自分の声を使う例もある。
- 配信・アプリへの組み込み。 Dockerでエンジンだけを起動する構成も知られており、GUIを立ち上げずに音声合成機能を持たせられる。
注意点として、APIで生成した音声にもクレジット表記の義務はそのまま適用される。自動化するとクレジットの話が抜け落ちやすいので、出力先の説明文に自動で差し込む仕組みまで含めて設計しておきたい。また、APIを使う場合もエンジンは1つなので、複数プロセスから同時に叩くと競合する。
COEIROINKと他の無料音声合成ソフトの違い
無料の日本語音声合成ソフトは複数ある。どれか1つが万能ということはなく、企画と運用条件で選ぶものだ。要点だけ表にまとめ、個別の使い方は各記事に譲る。
| ソフト | 料金 | 特徴 | 商用利用 | 向いている人 |
|---|---|---|---|---|
| COEIROINK | 無料 | 14キャラ・76スタイル。ピッチ描画による細かい調整。MYCOEIROINKで声を追加できる | ソフトは可。音声はキャラごとに個別規約 | 他と声をかぶらせたくない人、細かく抑揚を詰めたい人 |
| VOICEVOX | 無料 | キャラクター数が多く、対応ソフト・解説情報が最も豊富 | ソフトは可。キャラごとに個別規約 | 情報量の多さを重視する人、連携先を広く取りたい人 |
| AivisSpeech | 無料 | 音声モデルを追加して声のバリエーションを増やせる | モデルにより異なる | 自然な抑揚と新しめの声質を探している人 |
| SHAREVOX | 無料 | 操作感がVOICEVOXに近く、独自キャラを収録 | キャラごとに個別規約 | 別系統のキャラクターを試したい人 |
比較で本当に見るべきは、キャラクター数よりも「自分の企画で使うキャラクターの規約が、自分の運用形態に合っているか」だ。ソフト単位の「商用利用可」という表記は、どのソフトでも音声ライブラリ単位の規約に上書きされる。無料ソフト全体の比較は無料音声合成ソフト比較に、モデル追加型の使い勝手はAivisSpeechの使い方にそれぞれまとめてある。
COEIROINKとVOICEVOXは、v2以降はAPI互換が無いため、かつて言われていたほど「気軽に乗り換えられる」わけではない点も押さえておきたい。台本の作り方や編集フローは共通しているので学習コストは低いが、連携ツールの設定はやり直しになる。
よくある質問
COEIROINKはスマホだけで使えますか?
使えません。公式配布はWindows・Mac・Linux向けのデスクトップアプリのみで、Android/iOS向けアプリもブラウザ版も公式には存在しません(2026年9月時点)。
PCを持っているならリモートデスクトップで操作する回避策はありますが、音声プレビューに遅延が出るため快適とは言えません。スマホしかない場合は、別のスマホ対応TTSやブラウザ完結型のツールを検討した方が早く形になります。
COEIROINKは本当に無料で商用利用できますか?
ソフト本体は商用・非商用を問わず利用できますが、生成音声の商用可否はキャラクターごとの規約に従います。さらにクレジット表記は公式規約で必須です。
確認した範囲では、つくよみちゃんとAI声優-朱花は法人商用まで可、ディアちゃんとアルマちゃんは法人商用が要相談でした。「COEIROINKは商用OK」という一行だけを根拠に制作を始めないでください。
クレジット表記はどう書けばいいですか?
「COEIROINK」と「合成音声名」を含める形が基本で、COEIROINK:つくよみちゃん や CV:つくよみちゃん@COEIROINK のように書きます。使ったキャラクター全員分が必要です。
表記場所は「コンテンツ内、もしくは概要欄のいずれか」、SNSなら投稿のリプ欄、概要欄が無い音声作品ならクレジットの読み上げ、と公式規約に定められています。概要欄の最下部に埋めるより、上部や動画内テロップに置く方が実務上は安全です。
COEIROINKで自分の声は作れますか?
作れます。MYCOEIROINKという仕組みで、自分の声を録音してGoogle Colab上で学習させ、COEIROINK上で使える音声モデルを作れます。
ただし公式が「難易度が高く、開発者としての知識も一部必要」と明記しているとおり、録音だけで数時間、学習にさらに数時間〜10時間規模かかります。静かな録音環境と、途中で中断しない時間の確保が前提になります。
MYCOEIROINKで作った声は商用利用できますか?
自分の声で自分が作ったモデルであれば、COEIROINK全体の規約に従う範囲で使えます。ただし他人が配布しているMYCOEIROINKは、配布者ごとに規約が完全に別物です。
商用可のものも非商用限定のものもあり、クレジット文言を指定している配布者もいます。収益化チャンネルで使うなら、必ず配布ページの規約を読んでから使ってください。
COEIROINKはYMM4で使えますか?
使えます。YMM4の「ファイル→設定→音声合成」で、v2なら「COEIROINK v2」を選んで COEIROINKv2.exe のパスを指定すれば連携できます。
追加したキャラクターが声質一覧に出てこない場合は、声質一覧右側の更新ボタンを押してください。また、他ソフトがCOEIROINKのエンジンを使っている間は本体側で合成できないので、同時起動は避けます。
COEIROINKはVOICEVOX対応ソフトなら何でも繋がりますか?
繋がりません。v1(1.7.3まで)はVOICEVOXのUIとAPIを利用していましたが、v2からは独自UI・独自APIに変わり、VOICEVOX互換は終了しています。
ネット上の解説記事の多くがv1時代の前提で書かれているため、ここが手順の食い違いの最大の原因になっています。連携したいソフトが「COEIROINK v2対応」を明示しているかを、そのソフトの公式情報で確認してください。
COEIROINKのAPIは無料で使えますか?
COEIROINK自体が無料なので、ローカルで動くAPIの利用に追加費用はかかりません。http://localhost:50032/ に対して GET /v1/speakers や /v1/synthesis を叩く形です。
ただしAPI経由で生成した音声にも、キャラクターごとの規約とクレジット表記の義務はそのまま適用されます。自動化するほどクレジットが抜けやすいので、出力の仕組みに組み込んでおくことを勧めます。
Macでも同じように使えますか?
COEIROINK本体はMac(Intel/Apple Silicon)版が配布されているので、音声の生成はMacでも問題なくできます。COEIROINKv2.app をアプリケーションフォルダにコピーして起動します。
注意点は連携先で、定番のYMM4はWindows向けのため、Macでそのまま使えません。Macの場合は音声をwavで書き出し、別の編集ソフトに読み込ませる構成になります。MYCOEIROINKの配置先も Contents/MacOS/speaker_info とWindowsと異なります。
音声が棒読みに聞こえるのはなぜですか?
多くは台本側の問題です。数字やアルファベット略称が意図しない読みになっている、1文が長すぎて抑揚の山が単調になっている、という2つが典型的な原因です。
数字と略称は平仮名で書き、1文を40〜60字程度に切るだけで体感は大きく変わります。その上でイントネーション調整やピッチ描画を使い、最後に動画へ乗せた状態で通し聴きして確認してください。
COEIROINKを使えばYouTubeで稼げますか?
音声合成ソフトの種類が収益を決めることはありません。収益に効くのは企画の切り口、タイトルとサムネイル、投稿の継続性であり、COEIROINKはあくまで制作コストを下げる手段です。
むしろ注意すべきは逆方向のリスクで、規約を確認せずに収益化を進めると、後から動画の作り直しや差し替えが発生します。「無料ソフトを使えば稼げる」という説明は誇大で、この記事でもそうした断定はしません。
まとめ
COEIROINKは無料で使える日本語音声合成ソフトで、ピッチ描画による細かい調整と、MYCOEIROINKで声そのものを追加できる拡張性が持ち味だ。最後に、この記事で確認した要点を整理しておく。
- スマホ単体では使えない。 公式配布はWindows・Mac・Linuxのみ。スマホしかないなら、別の手段を検討した方が早い。
- 商用利用は2層構造で判断する。 ソフトは商用可でも、音声はキャラクターごとの規約に従う。法人商用が「要相談」のキャラクターがあり、外注や法人納品では特に注意が要る。
- クレジット表記は必須。
COEIROINK:合成音声名の形で、概要欄または動画内に入れる。使った全キャラ分が必要。 - 「作り方」は2義。 動画の作り方と、MYCOEIROINKによる音声モデルの作り方は別物。後者は公式自身が難易度が高いと明記している。
- v2でVOICEVOX互換は終了した。 古い解説記事との食い違いはここが原因であることが多い。YMM4の設定項目もバージョンで変わる。
そして、最も見落とされやすい点をもう一度書いておく。無料ソフトを使うこと自体は、再生数にも収益にも直結しない。 COEIROINKが下げてくれるのは制作コストであって、企画力と継続の代わりにはならない。規約を確認する手間を惜しまず、声で差別化できる手札として使いこなす——その順番で取り組んでほしい。