Shorty(ショーティー)

AivisSpeechがMacでインストールできない原因と対処法2026

公開: 2026-09-13 更新: 2026-09-21 約36分 AivisSpeechMac音声合成インストール
AivisSpeechがMacでインストールできない原因と対処法2026のアイキャッチ画像

結論、AivisSpeechのmacOS版は公式配布中(macOS 13 Ventura以降・Apple Silicon/Intel両対応)。入らない原因の大半は未署名アプリのGatekeeper警告と、GitHubのLatestから旧1.0.0を掴む配布ミスです。症状別に解説。

雑学ショート動画を、テーマ入力だけで1本作る 台本・AI音声・字幕・BGMまで自動生成。顔出しなしで副業を始める人向け。無料プランは30日5本まで(1本30秒)。 無料で作ってみる
目次

「AivisSpeech が Mac に入らない」——結論から言うと、AivisSpeech の macOS 版は公式に配布されており、入らない原因のほぼすべては「配布経路の選び間違い」か「未署名アプリに対する macOS 側のブロック」のどちらかです。ソフト自体が Mac 非対応というわけではありません。ここを取り違えて「Mac は諦めて Windows を買う」という判断に走るのは、完全に早すぎます。

そのうえで、この記事はよくある「システム設定から許可しましょう」だけの解説とは意図的に距離を置きます。実際に GitHub の Issue を追うと、Gatekeeper の許可手順を全部やっても直らない、署名まわりのビルド不具合が 2026年6〜7月に発生していたことが確認できます。しかも公式サイトが配っているビルドと、GitHub のリリースページで「Latest」バッジが付いているビルドは別物です。この2点は、Mac で詰まっている人の体感的にかなりの割合を説明します。

以下、公式ドキュメント・GitHub リリースのメタデータ・実際の Issue のやり取りという一次情報だけを根拠に、症状別の切り分け表 → 正しい入手手順 → 打つべきコマンド、の順で並べました。顔出しなしの動画制作で音声合成を使いたい人が、最短で作業に戻れることをゴールにしています。

同じ音声を使ってずんだもんのキャラ動画を作るなら、ずんだもん動画の作り方:台本・音声・立ち絵・編集の順番が全体の地図になります。

まず結論:AivisSpeech の macOS 版は公式配布されている

まず前提をはっきりさせます。AivisSpeech の公式ドキュメント(GitHub の README および Q&A)には、動作環境として次のように明記されています。

項目 公式が明記している内容
対応 OS Windows 10(22H2 以降)・Windows 11 / macOS 13 Ventura 以降
メモリ 起動に 1.5GB 以上の空きメモリ(RAM) が必要
Intel Mac 「Intel CPU 搭載 Mac での動作は積極的に検証していません」。Apple Silicon 搭載 Mac の利用を推奨
初回起動 モデルデータのダウンロードのためインターネット接続が必要(2回目以降はオフライン可)
GPU モード Mac は GPU モード非対応(CPU モードのみ。公式は「CPU モードでも十分高速に動作します」と記載)

つまり「Mac 版が存在しない」わけでも「Apple Silicon 非対応」でもありません。配布ファイルも、GitHub のリリースアセットを実際に見ると AivisSpeech-macOS-arm64-〇〇.dmgAivisSpeech-macOS-x64-〇〇.dmg両方が存在します(.zip 版も別途あり)。

ここで最初の独自視点を1つ置きます。Mac 版が「入らない」と言われる最大の構造的理由は、AivisSpeech が Apple の公証(Notarization)を取得していないことです。 公式 Q&A はこう書いています。

AivisSpeech は、いち早くユーザーのみなさんにお届けするため、現時点ではコード署名(プログラムの正当性を証明する電子署名)を行えていない状況です。

そして macOS 15 Sequoia 以降は、未署名アプリを「右クリック →『開く』」で通す従来の抜け道が塞がれました。つまり「Sequoia 以降の Mac + 未署名アプリ」という組み合わせでは、何もしなければ100%起動できないのが仕様どおりの挙動です。あなたの Mac が壊れているのでも、ダウンロードが失敗しているのでもありません。

なお AivisSpeech 本体は LGPL-3.0 のオープンソースで、ソフトウェア本体についてはクレジット表記不要・個人法人商用問わず利用可とされています(成果物に使う音声合成モデル側のライセンスは別途確認が必要)。このあたりの線引きは AivisSpeech 安全性 商用利用 で詳しく整理しています。未署名であることと、ソフトが危険であることは別の話です。

症状 → 原因 → 対処の切り分け表(Mac で詰まる8パターン)

ここが記事の中核です。「インストールできない」という一言の中に、まったく別の8種類の問題が混ざっています。 自分がどれなのかを先に確定させてください。順番に試すのではなく、表で該当箇所に飛ぶのが最短です。

# 症状(画面に出るもの) 主な原因 対処
1 ダウンロードしたが .dmg を開けない/途中で止まる ブラウザのダウンロード保護、または回線切断(Mac 版 dmg は約390〜400MB) ブラウザの「保持する」を選択。再ダウンロードでファイルサイズを確認
2 「開発元が検証できないため開けません」 未署名アプリに対する Gatekeeper のブロック システム設定 →「プライバシーとセキュリティ」→ 下部の「このまま開く」
3 「Apple は “AivisSpeech” に…マルウェアが含まれていないことを検証できませんでした」 macOS Sequoia 以降の強化された Gatekeeper。右クリック「開く」は無効 同上。設定画面から明示的に許可する必要あり(後述の手順)
4 アプリは開くが「音声合成エンジン起動中...」から進まない 初回のモデルデータ(約250MB+約650MB)をダウンロード中、または通信がブロックされている 数分待つ。プロキシ/社内ネットワークを外す。ドメインをホワイトリスト登録
5 「音声合成エンジンの起動に失敗しました」 空きメモリ 1.5GB 未満/初回モデル取得失敗/一時的な起動失敗 メモリ解放して再起動。数回リトライ。手動でモデルを配置
6 同上だが、リトライしても100%再現する(macOS 26 Tahoe 系) ビルド側の署名不一致(エンジンの Python 共有ライブラリが Team ID 不一致でロード不可) 2026年7月12日以降に再ビルドされたナイトリーを再ダウンロード(後述)
7 Intel Mac でアプリ自体が起動しない arm64 版を掴んでいる(アーキテクチャ不一致) AivisSpeech-macOS-x64-〇〇.dmg を入手し直す
8 そもそもアイコンがグレーアウト/「サポートされていません」 macOS 12 Monterey 以前を使用している macOS 13 Ventura 以降へアップデート(不可なら代替手段へ)

この表で一番見落とされやすいのが #6 です。#2〜#3 のセキュリティ系対処を全部やって、xattrcodesign も叩いて、それでも直らない——という人は、ほぼ確実に #6 に該当します。逆に言えば、署名まわりの対処を3つ以上試して改善しないなら、それ以上コマンドを打つ意味はありません。 ファイルを取り直すフェーズに切り替えてください。

もう1点。#5 と #6 は画面に出るメッセージが同一(「音声合成エンジンの起動に失敗しました」)なので、GUI だけでは区別できません。区別にはエンジンログを見る必要があります。ログの場所は後述します。

正しいダウンロード手順:GitHub の「Latest」を踏むと旧版を掴む

ここが、他の解説記事がほぼ触れていない落とし穴です。AivisSpeech は、公式サイトが配布しているバージョンと、GitHub リリースページで「Latest」バッジが付いているバージョンが一致していません。

GitHub の API で確認できる事実は次のとおりです(2026年9月14日時点)。

入手経路 配布されるバージョン 状態
公式サイト(aivis-project.com)のダウンロードボタン 1.1.0-dev(ナイトリービルド) アセットは 2026年7月12日に再ビルド済み
GitHub リリースページの「Latest」バッジ 1.0.0(2024年11月19日公開) 安定版扱いだが、リリースノート自体に警告あり

そして、その 1.0.0 のリリースノートには開発元自身がこう書いています。

AivisSpeech 1.0.0 には多数のバグが発見されています。メモリやディスク使用量が後のバージョンより多い上、動作も不安定です。上記問題は AivisSpeech 1.1.0 にて修正されています。1.1.0 以降のバージョンへのアップデートを強く推奨します。

つまり「GitHub で最新版らしきものを取る」という一見正しい行動が、開発元が非推奨と明言しているビルドを掴む結果になります。 1.0.0 は起動時に2GB近いメモリを消費するという開発者コメントも Issue に残っており、メモリに余裕のない Mac では #5 の症状が出やすくなります。1.1.0 系の正式安定版はまだ出ておらず、実質的な最新は「1.1.0-dev」というローリングのナイトリータグです。少々ややこしいですが、公式サイトのボタンから落とすのが正解、と覚えてください。

ステップ:Mac に正しく入れる7手順

  1. ブラウザ(Safari でも可)で公式サイト aivis-project.com を開き、AivisSpeech のダウンロードセクションまでスクロールする。
  2. 自分の Mac のチップを確認する。 アップルメニュー →「この Mac について」で「チップ: Apple M◯」と出れば Apple Silicon、「プロセッサ: Intel Core ◯」と出れば Intel。
  3. Apple Silicon なら arm64、Intel なら x64 のインストーラー版(.dmg)を選ぶ。ファイル名は AivisSpeech-macOS-arm64-1.1.0-dev.dmg のような形式になる。
  4. ダウンロードが完了したらファイルサイズを確認する。arm64 版で約390MB、x64 版で約400MB が目安。極端に小さい場合は途中で切れているので取り直す。
  5. .dmg をダブルクリックしてマウントし、表示された AivisSpeech アイコンを「アプリケーション」フォルダにドラッグする。
  6. マウントした dmg を取り出し(イジェクト)してから、アプリケーションフォルダの AivisSpeech を起動する。dmg の中から直接起動しないこと。macOS の隔離属性が残ったままになり、余計なトラブルの原因になります。
  7. 初回起動時はセキュリティ警告が出る前提で、次章の手順に進む。

なお、brew install --cask aivisspeech のような Homebrew 経由のインストールはできません。Homebrew の公式 cask には AivisSpeech は登録されていません(同じく VOICEVOX も登録されていません)。「brew で入らないから Mac 非対応」と誤解しないでください。

うまくいかない条件も書いておきます。 社内 Mac や学校支給の Mac で MDM(モバイルデバイス管理)が有効な場合、未署名アプリの実行そのものがポリシーで禁止されていることがあります。この場合は次章の許可手順を踏んでも「このまま開く」ボタン自体が現れません。管理者に相談するか、後述の代替手段に切り替えてください。

Gatekeeper 警告の突破手順:Sequoia 以降は右クリック「開く」が効かない

macOS 14 Sonoma までは「Finder で Control キーを押しながらアプリを右クリック →『開く』」で未署名アプリを通せました。macOS 15 Sequoia でこの抜け道が廃止されています。 AivisSpeech の公式 Q&A も、この点を明示して外部記事へリンクしています。

出る可能性のあるメッセージは主に次の3種類です。いずれも同じ原因(公証なし)で、対処も同じです。

3番目の文言は、2026年6月に MacBook Pro(M4 Pro / macOS 26.5.1)のユーザーが GitHub Issue に投稿した実際のメッセージです。開発者からは「現状 AivisSpeech は公証を通せていないため、macOS Sequoia 以降では初回起動時にこの警告が表示されます」と回答され、報告者は公式 FAQ の手順で解決しています。つまりこのメッセージ自体は「想定内の挙動」であり、不具合ではありません。

ステップ:GUI だけで許可する(推奨・6手順)

  1. 警告ダイアログの「キャンセル」「OK」「完了」のいずれかをクリックして、いったんダイアログを閉じる。ここで「ゴミ箱に入れる」を押さないよう注意。
  2. アップルメニュー →「システム設定」を開く。
  3. 左サイドバーの「プライバシーとセキュリティ」をクリックする。
  4. 右ペインを一番下までスクロールする。「セキュリティ」セクションに、たった今ブロックされたアプリについて「"AivisSpeech" は開発元を確認できないため、使用がブロックされました」という行が現れている。
  5. その行の右にある「このまま開く」をクリックする。管理者パスワード(または Touch ID)を求められるので認証する。
  6. 再度 AivisSpeech を起動する。もう一度確認ダイアログが出たら「開く」を選ぶ。

重要な前提条件:同じ画面の「ダウンロードしたアプリケーションの実行許可」が「App Store」のみになっていると、この「このまま開く」が出ません。「App Store と確認済みの開発元からのアプリケーションを許可」または「すべてのアプリを許可」に設定されている必要があります。ここは公式 Q&A にも明記されています。

また、「このまま開く」の行は、ブロックされた直後にしか表示されません。 何日か経ってから設定画面を開いても項目が消えていることがあります。その場合は一度アプリを起動してブロックを発生させ直してから、設定画面に移動してください。

ステップ:ターミナルで隔離属性を外す(GUI で解決しない場合)

GUI で通らないときの次善策が、ダウンロード由来の隔離属性(quarantine)を直接削除する方法です。ターミナル(アプリケーション → ユーティリティ → ターミナル)で次を実行します。

xattr -dr com.apple.quarantine /Applications/AivisSpeech.app

ユーザー領域にインストールした場合はパスが変わります。

xattr -dr com.apple.quarantine ~/Applications/AivisSpeech.app

実行後、パスワードを求められたら入力し、改めてアプリを起動します。このコマンドは Gatekeeper 全体を無効化するものではなく、指定したアプリ1つの隔離フラグを外すだけなので、spctl --master-disable のような全体無効化より安全です。ネット上には Gatekeeper を丸ごと切る手順も出回っていますが、他のダウンロードアプリまで無防備になるので推奨しません。

そして、ここが重要です。 この xattr を実行しても症状が変わらないケースが実在します。次章がその話です。

インストール後に起動しない:エラーの3系統を切り分ける

アプリ自体は開いた。しかし「音声合成エンジン起動中...」から進まない、あるいは「音声合成エンジンの起動に失敗しました」が出る——このフェーズはさらに3系統に分かれます。

系統A:初回モデルダウンロード中(正常)

AivisSpeech は初回起動時に、デフォルトの音声合成モデル(約250MB)と、推論に必要な BERT モデル(約650MB)を自動ダウンロードします。合計で約900MB。回線によっては数分かかるのが公式に想定された挙動です。公式ドキュメントも「起動完了まで最大数分ほどかかります」と記載しています。まずは待ってください。

系統B:通信がブロックされている

社内ネットワーク、HTTPS プロキシ、学校の Wi-Fi 経由だと、このモデルダウンロードが失敗して起動できないことがあります。公式 Q&A は、ホワイトリスト方式のネットワークでは以下のドメインを許可するよう案内しています。

自宅のテザリングなど、素の回線で一度だけ起動を通してしまえば、2回目以降はオフラインでも動作します。それも無理な場合の手動配置手順が公式に用意されています。

  1. AivisHub(hub.aivis-project.com)から任意の AIVMX ファイル(約250MB)を直接ダウンロードする。
  2. ダウンロードした .aivmx ファイルを、Mac の /Users/(ユーザー名)/Library/Application Support/AivisSpeech-Engine/Models に配置する。
  3. AivisSpeech を再起動する。

なお Library フォルダは Finder で通常は非表示です。Finder のメニューバーで「移動」を開き、Option キーを押すと「ライブラリ」が出現します。あるいは「移動」→「フォルダへ移動」に ~/Library/Application Support/AivisSpeech-Engine/Models を貼り付けてください。

系統C:メモリ不足・一時的な起動失敗

公式が挙げている原因はシンプルで、空きメモリが 1.5GB を切っていると起動に失敗するというものです。Chrome のタブを大量に開いた状態や、動画編集ソフトを同時起動している状態では普通に起こります。アクティビティモニタで空きメモリを確認し、他アプリを閉じてから再試行してください。

さらに、2025年1月の Issue では「初回起動から数回、エンジン起動に失敗する。しぶとく複数回試すと起動するようになる」という報告があり、報告者は5回ほど試して起動に成功しています。開発者は当時の 1.0.0 が起動時に2GB近いメモリを消費していたことを原因として挙げ、1.1.0 での修正を案内しました。「数回リトライすれば通る」というのは根性論ではなく、実際に記録として残っている挙動です。ただしこれは 1.0.0 系の話なので、まずは前章のとおり公式サイト版(1.1.0-dev)を使うのが先です。

エラーログの確認場所

系統B と系統C、そして次章の署名不一致を区別するには、ログを見るしかありません。Mac での保存先は次のとおりです。

ログ種別 パス
AivisSpeech 本体のログ /Users/(ユーザー名)/Library/Logs/AivisSpeech
音声合成エンジンのログ /Users/(ユーザー名)/Library/Application Support/AivisSpeech-Engine/Logs
設定ファイル(表示崩れ時に削除) /Users/(ユーザー名)/Library/Application Support/AivisSpeech/config.json

アプリ内からは「ヘルプ・使い方 → お問い合わせ →『ログフォルダを開く』/『音声合成エンジンのログフォルダを開く』」で同じ場所を開けます。

ここまでの手順、1本ぶんまるごと自動でやりますShorty はテーマを入力するだけで、台本・AI音声・字幕・BGMを揃えた雑学ショート動画を生成します。無料プランは30日5本まで。無料で作ってみる

macOS Tahoe(26系)で起きた署名不一致と、その直し方

ここが2026年に Mac ユーザーが最も踏みやすかった地雷です。Gatekeeper の許可手順とはまったく別の、ビルド側の不具合でした。

2026年7月12日に GitHub へ投稿された Issue の内容を要約します。

これに対する開発者の回答が決定的です。要旨は「Sequoia 以降の公証まわりの強化でインストールしづらくなっていたため、v1.2.0 以降で Apple Developer ID を取得して公証を通す予定だった。しかし現状 ID を取得できておらず、さらに CI プロセスの実装が誤っていたために無効な署名が付与された状態でビルドされ、結果エンジン側の実行に失敗していたと思われる」というもので、「最新版ナイトリーでおそらく修正済み」と案内されています。

そして GitHub のリリースアセットのメタデータを見ると、1.1.0-dev の全アセットが 2026年7月12日に再ビルドされています。Issue がクローズされた当日です。

ここから導かれる実務的な結論はシンプルです。

  1. 2026年7月12日より前にダウンロードした dmg/zip を使っているなら、それが原因の可能性が高い。
  2. 一度アプリを完全に削除し、公式サイトから改めてダウンロードし直す。ブラウザのキャッシュが効くこともあるので、ダウンロード履歴から再利用せず、公式サイトのボタンを踏み直すこと。
  3. xattrcodesign を何度打っても直らないのは正常。署名の問題は配布物側にあるので、手元の操作では直せない。

これが2つ目の独自視点です。「未署名だから Gatekeeper で止まる」問題と、「無効な署名が付いていてライブラリのロードに失敗する」問題は、症状が似ていてもレイヤーがまったく違います。 前者はユーザー側の許可操作で解決し、後者は再ダウンロード以外に解決しません。ネット上の解説記事はほぼ全部が前者しか扱っていないため、後者に当たった人は延々と無駄なコマンドを打ち続けることになります。

注意点:開発元は公証取得を「予定」と表明した段階であり、2026年9月時点で正式な安定版 1.2.0(公証済み)はまだ配布されていません。したがって今後 macOS 側のセキュリティ仕様が変わった際に、同種の問題が再発する可能性は残っています。業務で使うなら、動いているバージョンの dmg をローカルに保管しておくことを勧めます。

Mac で詰まったときの現実的な代替手段

「今日中に動画を1本作りたい」という状況で、署名問題の解決に何時間もかける意味はありません。実際に使える逃げ道を、条件つきで並べます。

手段 Mac での入手性 向いているケース 注意点
AivisSpeech Engine 単体 GitHub Releases に AivisSpeech-Engine-macOS-arm64-1.2.0.7z(約194MB)/x64 版(約197MB) GUI が起動しないが音声だけ欲しい/自動化したい GUI エディタは付属しない。API を叩く前提
AivisSpeech Engine の Docker 版 ghcr.io/aivis-project/aivisspeech-engine:cpu-latest Docker Desktop がすでにある人 公式は Linux 前提で案内。Mac での動作は各自検証が必要
本体同梱エンジンの直接起動 /Applications/AivisSpeech.app/Contents/Resources/AivisSpeech-Engine/run 本体は入ったが GUI が不安定 アプリ本体のインストールが前提
VOICEVOX VOICEVOX.0.25.2-arm64.dmg(約1.9GB)等を公式配布 とにかく今すぐ日本語音声が要る 容量が AivisSpeech の約5倍。署名問題は VOICEVOX 側にも未解決 Issue あり
COEIROINK 公式サイト経由で Apple Silicon 版/Intel 版を配布 VOICEVOX 系の操作感が好みの人 配布経路が BOOTH / Dropbox 等に分かれる
ブラウザ完結型サービス インストール不要 ローカル環境の問題を丸ごと回避したい ローカルほど細かい調整はできない

エンジン単体を使う場合の具体的な流れは次のとおりです。ターミナルでエンジンを起動すると、デフォルトでポート 10101 で待ち受けます。起動後は http://127.0.0.1:10101/docs で API ドキュメント(Swagger UI)が開き、http://127.0.0.1:10101/setting で読み方辞書などの設定画面にアクセスできます。しかも AivisSpeech Engine は VOICEVOX ENGINE の HTTP API とおおむね互換なので、VOICEVOX 対応の外部ツールの API URL を http://127.0.0.1:10101 に差し替えるだけで流用できると公式が明言しています。ここは自動化派にとってかなり大きい情報です。

VOICEVOX と COEIROINK の使い勝手や、どのキャラクターが動画向きかについては VOICEVOX 使い方 動画COEIROINK 使い方 動画 にそれぞれまとめてあります。ローカル環境が不安定な間の「つなぎ」としては十分実用に耐えます。

そしてもう1つ、インストール自体を回避するという選択肢があります。当サイトが開発・運営している Shorty は、ブラウザ上でショート動画を生成できるツールで、Mac にソフトを入れる必要がありません。Gatekeeper も署名も Rosetta も関係なく、macOS のバージョンにも依存しないため、「今まさにローカルが直らない」状況とは相性が良い選択肢です。ただし無料プランには明確な制約があり、1本あたり30秒まで・30日間で5本まで・生成物の保存は7日間・ショート形式(縦型)のみとなります。長尺のナレーション動画を作りたい、細かくイントネーションを調整したい、生成物を長期保管したい——という用途には向きません。その場合は AivisSpeech をローカルで動かすほうが確実です。用途で使い分けてください。

なお、どのツールを使うにせよ、AI 音声を使った動画には表示や告知のルールが関わってきます。この点は AI音声 表示 必要 で整理しているので、公開前に一度確認しておくと安全です。ルールを踏み外した結果として何が起きるかは YouTube違反警告の種類と確認方法 にまとめてあります。インストールでつまずいている段階では遠い話に見えますが、実際に動画を出し始めてから慌てる人が非常に多い領域です。

インストール前チェックリストと、Mac 特有の落とし穴

最後に、作業前の確認事項と、インストール後に効いてくる Mac 固有の注意点をまとめます。

インストール前チェックリスト

Mac 特有の落とし穴4つ

1. GPU モードを探しても存在しない。 公式ドキュメントは「Mac: GPU モードはサポートされていませんが、CPU モードでも十分高速に動作します」と明記しています。「設定に GPU モードがないのは壊れているからでは」と疑って設定を触り回るのは時間の無駄です。M シリーズの Mac なら CPU モードで実用速度が出ます。

2. Safari では AivisHub から音声合成モデルを直接インストールできない。 これは公式ドキュメントに書かれた仕様です。macOS の Safari はセキュリティ上の制限により、Web サイトからローカルで動作しているアプリへのアクセスを禁止しているためです。モデル追加のときだけは Chrome などの Chromium 系ブラウザか Firefox を使ってください。 また AivisHub を開いた際に許可ダイアログが出たら必ず「許可する」を選びます。ここで「ブロック」を押すと、以後 AivisHub から起動中のエンジンにアクセスできなくなります。モデルの追加手順そのものは AivisSpeech モデル 配布 追加 で詳しく解説しています。

3. Intel Mac は「動かない」のではなく「検証されていない」。 公式の表現は「積極的に検証していません」であり、非対応とは書かれていません。ただし現実として、GitHub のダウンロード数を見ると arm64 版の dmg が約2,100件に対し、x64 版の dmg は約320件(2026年9月時点)。実ユーザー数に7倍近い差があり、Intel 環境固有のバグが見つかりにくい構造になっています。Intel Mac で不具合に当たった場合、報告が少ないぶん解決情報も出てきにくいと考えておくべきです。

4. Apple Silicon で x64 版を掴むと Rosetta 経由になる。 ファイル名を確認せずに x64 版を入れてしまうと、Apple Silicon 上では Rosetta 2 による変換実行となり、動いたとしても本来の性能が出ません。ファイル名に arm64 が入っているかを、ダウンロードの時点で必ず目視確認してください。 なお AivisSpeech の公式ドキュメントに Rosetta に関する記載は見当たらないため、これは macOS 一般の挙動として押さえておく話です。

アンインストール(完全削除)の手順

再インストールで直すときは、アプリを捨てるだけでは設定やモデルが残ります。完全に消したい場合は次の4か所を削除してください。

  1. アプリ本体:/Applications/AivisSpeech もしくは /Users/(ユーザー名)/Applications/AivisSpeech
  2. 設定:~/Library/Application Support/AivisSpeech/
  3. エンジン・モデル:~/Library/Application Support/AivisSpeech-Engine/
  4. ログ:~/Library/Logs/AivisSpeech/

ただし 3 を消すと約900MB のモデルを再ダウンロードすることになります。 通信環境が悪い場所で作業しているなら、まず 2(config.json)だけを消して起動し直すのが軽量です。公式 Q&A も、バージョンアップ後に表示がおかしくなった場合の対処として config.json の削除を案内しています。

音声合成が通ったあとの実制作の流れ——台本づくりから字幕、投稿までの手順は 雑学動画 作り方 にまとめてあります。環境構築で消耗しすぎず、早めに1本出すことを優先してください。

よくある質問

AivisSpeech に Mac 版はありますか?

あります。公式が macOS 13 Ventura 以降に対応と明記しており、Apple Silicon(arm64)版と Intel(x64)版の両方が dmg / zip で配布されています。

GitHub のリリースアセットを見ると、AivisSpeech-macOS-arm64-〇〇.dmgAivisSpeech-macOS-x64-〇〇.dmg および対応する zip が実際に存在します。「Mac 版がない」という情報は誤りです。ただし後述のとおり Intel 版は積極的な検証対象から外れています。

M1・M2・M3・M4 の Mac ではどのファイルを選べばいいですか?

すべて Apple Silicon なので AivisSpeech-macOS-arm64-〇〇.dmg を選びます。ファイル名に arm64 が入っているかを必ず確認してください。

「この Mac について」で「チップ: Apple M◯」と表示されればすべて arm64 版です。x64 版を入れても Rosetta 2 経由で動作する可能性はありますが、本来の性能が出ないため選ぶ理由がありません。逆に Intel Mac に arm64 版を入れると起動しません。

Intel Mac でも使えますか?

x64 版が配布されているので入手はできますが、公式は「Intel CPU 搭載 Mac での動作は積極的に検証していません」と明記しています。動作保証はないと考えてください。

理由として公式は「Intel CPU 搭載 Mac はすでに製造が終了しており、検証環境やビルド環境の用意自体が難しくなってきている」と説明しています。実際のダウンロード数も arm64 版の1割台にとどまっており、Intel 固有の不具合は発見も修正も遅れやすい構造です。業務利用なら Apple Silicon 機を推奨します。

macOS 12 Monterey では動きますか?

動作対象外です。公式の要件は macOS 13 Ventura 以降なので、Monterey 以前ではサポートされません。

OS をアップデートできない機種の場合は、この記事の代替手段の章を参照してください。ブラウザ完結型のサービスや、別マシンでの生成に切り替えるほうが現実的です。無理に古い OS で動かそうとすると、原因の切り分けがさらに難しくなります。

「開発元が検証できないため開けません」と出たらどうすればいいですか?

システム設定 →「プライバシーとセキュリティ」を開き、一番下までスクロールして「このまま開く」をクリックします。これは AivisSpeech が公証を取得していないための想定内の警告です。

前提として、同じ画面の「ダウンロードしたアプリケーションの実行許可」が「App Store と確認済みの開発元からのアプリケーションを許可」または「すべてのアプリを許可」になっている必要があります。「App Store」のみの設定だと「このまま開く」が現れません。また、この行はブロック直後にしか表示されないため、時間を置いた場合は一度起動し直してから設定画面へ移動してください。

右クリック →「開く」が効かないのはなぜですか?

macOS 15 Sequoia で、コンテキストメニューから Gatekeeper を上書きする方法が廃止されたためです。Sequoia 以降はシステム設定から明示的に許可する必要があります。

古い解説記事は Sonoma 以前を前提にしているため、「右クリックで開く」と書かれていることが多く、混乱の原因になっています。AivisSpeech の公式 Q&A も「特に macOS Sequoia ではセキュリティが強化された関係で、従来の手順では起動できなくなっています」と明記しています。

xattr コマンドで直りますか?

Gatekeeper の隔離属性が原因なら直ります。ただし署名そのものが無効なケースでは直りません。xattr -dr com.apple.quarantine /Applications/AivisSpeech.app を試して変化がなければ、別の原因です。

2026年7月に報告された事例では、xattr -rd com.apple.quarantinecodesign --force --deep --sign - も効かず、原因はビルド時に無効な署名が付与されていたことでした。ユーザー側の操作では解決できない種類の問題なので、コマンドを重ねるより配布ファイルを取り直すほうが早いです。

「音声合成エンジンの起動に失敗しました」が消えません。

まず空きメモリが 1.5GB 以上あるか確認し、Mac を再起動して数回リトライしてください。それでも100%再現するなら、公式サイトから dmg を再ダウンロードします。

このメッセージは「メモリ不足」「初回モデルダウンロード失敗」「配布物の署名不一致」という別々の原因で同じ文言が出ます。区別するには ~/Library/Application Support/AivisSpeech-Engine/Logs のログを確認してください。Failed to load Python shared librarydifferent Team IDs が出ていれば署名系なので、再ダウンロードが必要です。

初回起動で「音声合成エンジン起動中...」から進みません。

初回のみモデルデータを自動ダウンロードするため、数分かかるのが正常です。まずはそのまま待ってください。5分以上変化がなければ通信を疑います。

ダウンロードされるのはデフォルトモデル約250MB と BERT モデル約650MB の計約900MB です。HTTPS プロキシや社内ファイアウォール配下では失敗することがあるため、可能なら別回線で一度起動を通してください。二度目以降はオフラインでも動作します。

Homebrew(brew install)でインストールできますか?

できません。Homebrew の公式 cask に AivisSpeech は登録されていないため、公式サイトから dmg を落とす方法のみです。

同様に VOICEVOX も公式 cask には登録されていません。非公式の tap を使う方法が紹介されていることがありますが、配布物の同一性を自分で検証できない限り推奨しません。公式サイトからの入手が最も安全です。

Mac で GPU モードは使えますか?

使えません。公式ドキュメントに「Mac: GPU モードはサポートされていませんが、CPU モードでも十分高速に動作します」と明記されています。

設定画面に GPU モードが見当たらないのは不具合ではなく仕様です。Windows では DirectML を使った GPU モードがありますが、Mac は CPU モードのみです。Apple Silicon なら CPU モードでも実用的な速度が出るので、生成が遅い場合は同時起動アプリを減らすほうが効果的です。

Safari で AivisHub からモデルを追加できないのはなぜですか?

macOS の Safari が、Web サイトからローカルで動作中のアプリへアクセスすることをセキュリティ上禁止しているためです。Chrome などの Chromium 系ブラウザか Firefox を使ってください。

これは公式ドキュメントに明記された制限です。また AivisHub を開いた際に許可ダイアログが表示されたら必ず「許可する」を選択してください。「ブロック」を押すと、以後そのブラウザから起動中の AivisSpeech Engine にアクセスできなくなります。

まとめ

Mac で AivisSpeech が入らないとき、確認すべきことは絞られます。

  1. macOS 版は公式に存在する。 macOS 13 Ventura 以降、Apple Silicon / Intel の両方に dmg が用意されている。「Mac 非対応」は誤情報。
  2. 入手経路を間違えない。 GitHub の「Latest」バッジは 1.0.0(2024年11月公開)を指しており、開発元自身が「多数のバグ」「1.1.0 以降へのアップデートを強く推奨」と警告している。公式サイトのダウンロードボタンを使う。
  3. 警告は仕様。 公証を取得していないため、macOS Sequoia 以降では初回起動時に必ずブロックされる。システム設定 →「プライバシーとセキュリティ」→「このまま開く」で通す。右クリック「開く」は Sequoia 以降では効かない。
  4. 署名対処が効かないなら再ダウンロード。 2026年6〜7月には、ビルド側に無効な署名が付与されエンジンが起動しない不具合が発生していた。xattrcodesign も効かないのが特徴で、2026年7月12日に再ビルドされたナイトリーで修正されたとアナウンスされている。
  5. 起動しない原因の切り分けはログで行う。 「音声合成エンジンの起動に失敗しました」はメモリ不足・通信失敗・署名不一致の3系統で同じ文言が出る。~/Library/Application Support/AivisSpeech-Engine/Logs を見る。
  6. 詰まったら手段を切り替える。 エンジン単体、Docker、VOICEVOX、COEIROINK、ブラウザ完結型サービスなど選択肢はある。環境構築に何時間もかけるより、1本出すことを優先したほうが結果は出やすい。

最後に、この記事の内容には限界もはっきりあります。AivisSpeech は2026年9月時点でまだ Apple の公証を取得しておらず、正式な安定版 1.1.0 もリリースされていません。今後 macOS 側のセキュリティ仕様が更新されれば、同種の起動トラブルが再発する可能性は残っています。 業務で使うなら、動作確認済みの dmg をローカルに保管しておく、あるいは音声生成の手段を2系統持っておく、といった保険を掛けておくのが現実的です。

この記事の手順、1本ぶんまるごと自動化できます

台本づくり・音声合成・字幕入れ・BGM 選びを工程ごとに手作業でやると、慣れても1本30分は消えます。Shorty はテーマを入力するだけで、この記事で解説した工程をまとめて1本のショート動画にします。無料プランは30日で5本まで(1本30秒・保存7日)。

無料で1本作ってみる