最終更新日:2026年9月23日
AviUtlにゆっくり音声を入れる方法は、大きく分けて3つのルートがあります。①ゆっくりMovieMaker4(YMM4)で作ってexo出力しAviUtlで受け取る、②AquesTalkPlayerなどでwavファイルを作ってAviUtlのタイムラインに置く、③PSDToolKitに付属・連携する「かんしくん」で音声と字幕を自動配置する、の3つです。YMM4を入れずにAviUtlだけで完結させたいなら②か③、とにかく早く1本仕上げたいなら①が基本の選び方になります。
この記事では、上位の解説記事で手薄になりがちな「YMM4を使わずにAviUtlだけでゆっくり音声を入れる手順」を中心に、3ルートを比較表で整理します。あわせて、見落とすと動画を消すことになりかねないAquesTalk(ゆっくりボイスの音声合成エンジン)のライセンス境界も、2026年9月時点の公式情報を確認したうえでまとめました。
先にひとつだけ独自の注意点を書いておきます。ネット上の古い解説には「SofTalkでゆっくりボイスを作る」と書かれたものが多く残っていますが、SofTalkは2022年7月にAquesTalkへの対応を終了しています。 今のSofTalkをダウンロードしても霊夢・魔理沙のあの声は出ません。古い手順をそのまま追って詰まる人が多いので、本記事ではゆっくりボイスの作成元をAquesTalk公式の「AquesTalkPlayer」を前提に説明します。
ゆっくり動画全体の流れを先に押さえたい方は、ゆっくり動画の作り方(無料で始める手順)も併せて読むと、この記事の位置づけがわかりやすくなります。
結論:AviUtlにゆっくり音声を入れる3ルートの比較
結論から言うと、台本が短く1キャラなら②wav手動配置、2キャラ以上の掛け合いを毎週作るなら③かんしくん、編集の大半をYMM4で済ませて仕上げだけAviUtlでやりたいなら①exo出力が向いています。どれが上ということはなく、制作本数とキャラ数で決めるのが現実的です。
| 比較項目 | ①YMM4でexo出力→AviUtl | ②AquesTalkPlayerでwav→AviUtlに配置 | ③PSDToolKit+かんしくんで自動配置 |
|---|---|---|---|
| YMM4のインストール | 必要 | 不要 | 不要 |
| 初期設定の手間 | 小(AviUtl.exeの場所を指定するだけ) | ほぼなし | 大(設定ファイルの編集が必要) |
| 1セリフあたりの作業 | YMM4側で入力するだけ | 保存→ドラッグ&ドロップ | 保存するだけで自動配置 |
| 字幕の同時配置 | exoに含まれる | 手動で別途テキストを置く | 字幕準備オブジェクトで連動 |
| 口パク連動 | YMM4側で作ったものが入る | 手動 | 口パク準備で連動可能 |
| つまずきやすい点 | exoが読み込めない・レイアウト崩れ | セリフ数が増えると配置が重労働 | 監視フォルダとレイヤー設定のミス |
| 向いている人 | YMM4に慣れていて仕上げだけAviUtlで行いたい人 | まず1本作ってみたい人・短尺中心の人 | 掛け合い動画を継続的に量産する人 |
表のとおり、②は準備がいらない代わりに、セリフが50個、100個と増えると「保存してドラッグ」の繰り返しが最大の負担になります。逆に③は最初の設定で1〜2時間つまずくことがありますが、一度動けばセリフを保存するたびにタイムラインへ勝手に並ぶので、10分超の解説動画では時間差がはっきり出ます。
なお、工程そのものを減らしたい場合の選択肢として、当サイトが開発・運営している自社ツールShortyもあります。台本から音声と字幕付きのショート動画をまとめて作る方向のツールで、AviUtlでの細かい手作業を省きたい人向けです。ただし無料プランは1本30秒まで・30日で5本まで・保存期間7日・ショート形式のみという制約があるため、10分級のゆっくり解説を作るなら本記事のAviUtlルートの方が合っています。用途に応じて使い分けてください。
始める前に確認すること(AviUtlのバージョンと環境)
最初に確認すべきなのは、自分が使っているのが従来のAviUtl(本体1.10+拡張編集0.92)なのか、2026年に正式版になったAviUtl2(AviUtl ExEdit2)なのかです。どちらかで使えるプラグインと手順が変わります。
AviUtl ExEdit2は2025年7月にテスト版が公開され、2026年7月7日公開のversion2.0.54でベータ表記が外れて正式版になりました。執筆時点の最新は2026年9月19日公開のversion2.1.10です。AviUtl2はAviUtl本体と拡張編集を統合してゼロから作り直された64bitソフトで、従来の32bit用DLLプラグインはそのままでは使えません。そのため、PSDToolKitも従来版とは別にAviUtl2用の「PSDToolKit2」が用意されています。
作業前のチェックリストは次のとおりです。
- [ ] 使っているのがAviUtl 1.10+拡張編集0.92か、AviUtl2かを確認した
- [ ] 拡張編集のタイムラインが表示できる(設定→拡張編集の設定)
- [ ] 新規プロジェクトの音声レートを44100Hzか48000Hzのどちらかに決めた
- [ ] ゆっくりボイスの作成ソフト(AquesTalkPlayerなど)を公式サイトから入手した
- [ ] 収益化を予定しているかどうかを決め、必要ならライセンスを用意した
- [ ] 音声ファイルの保存先フォルダを1つに固定した(デスクトップ直置きは避ける)
- [ ] ファイル名のルール(例:連番_キャラ名_セリフ冒頭)を決めた
最後の2項目は軽く見られがちですが、実はかなり重要です。AviUtlは音声ファイルを「コピーして取り込む」のではなく「元の場所を参照する」ため、あとで保存フォルダを動かしたり名前を変えたりすると、プロジェクトを開いたときに音声が消えます。保存先とファイル名を最初に固定しておくことが、ゆっくり音声の扱いでいちばん効く予防策です。
また、音声レートは新規プロジェクト作成時に指定できます。AquesTalkPlayerは環境設定で出力のサンプリング周波数を44.1kHzか48kHzに固定できるので、プロジェクト側と音声側を同じ値にそろえておくと、後工程の音ズレや再生速度の違和感を減らせます。 YouTube向けなら48kHzにそろえておけば扱いやすいでしょう。
ゆっくりボイスのライセンス境界(2026年9月時点)
ゆっくりボイスは無料で使えるイメージがありますが、無料なのは「個人の非営利利用」だけで、収益化を目的とした動画には株式会社アクエストの商用ライセンス(使用ライセンス)が必要です。これはAviUtlに入れるかYMM4で使うかに関係なく、AquesTalkの声を使う限り同じです。
アクエスト公式ストアで確認できた内容を整理すると、次のようになります。
| 利用の形 | ライセンス | 費用の目安(公式ストア表記) |
|---|---|---|
| 趣味で非営利に動画を投稿する | 個人利用の範囲(購入・届け出不要) | 無料 |
| YouTubeの収益化を目指して動画を作る | 使用ライセンス(商用コンテンツ向け)が必要 | 6,380円(発行日から1年間) |
| 企業・学校・個人事業としての利用 | 使用ライセンスが必要 | 同上 |
| フリーソフトにライブラリを組み込んで開発する | 開発ライセンス(個人)など別枠 | 発行手数料1,980円 |
押さえておきたいポイントは3つです。
- 購入のタイミングは「収益化を目的としたコンテンツを作る時点」です。YouTubeの収益化審査に通ってから買えばよい、という考え方はアクエスト側の説明と合いません。広告収益を将来狙うつもりで作る動画なら、その時点で対象になると考えておくのが安全です。
- ライセンスの期限が切れると新しいコンテンツは公開できません。 期限内に公開したものはそのまま公開を続けられますが、更新しないなら新作の投稿は止める必要があります。
- 使用ライセンスには開発用のライブラリは含まれません。 動画を作るための権利と、ソフトを作るための権利は別物です。
ここから先は筆者の見解ですが、「今は趣味だけど、伸びたら収益化するかも」という人ほど判断が難しくなります。後から方針を変えたときに過去動画の扱いで悩まないよう、最初から収益化の可能性があるならライセンスを買う、完全に趣味と決めたなら非営利で通す、とどちらかに寄せておくのがおすすめです。費用を抑えたい場合は、商用利用の条件がキャラクターごとに定められているVOICEVOXなどの音声に切り替える手もあります。VOICEVOXの手順はVOICEVOXの使い方と動画への入れ方で解説しています。
なお、ライセンスの細かな条件は変わる可能性があります。本記事はあくまで執筆時点の公開情報の整理なので、購入前には必ずアクエストの公式サイトで最新の条件を確認してください。
ルート②:AquesTalkPlayerでwavを作ってAviUtlに配置する(YMM4なしの基本手順)
YMM4を使わずにゆっくり音声を入れるいちばん素直な方法は、AquesTalk公式のAquesTalkPlayerでセリフをwavファイルに書き出し、それをAviUtlの拡張編集タイムラインへドラッグ&ドロップする方法です。追加のプラグインが要らないので、まず1本作ってみたい人はここから始めるのが確実です。
AquesTalkPlayerはAquesTalkエンジンを使ったアクエスト公式の読み上げアプリで、キャラクター名のプリセットに「れいむ」「まりさ」が用意されています。テキストを入力してPlayで試聴し、Wav Saveで保存するというシンプルな作りです。
手順
- アクエスト公式サイトからAquesTalkPlayerのZIPをダウンロードし、任意のフォルダに展開して「AquesTalkPlayer.exe」を起動する
- 環境設定で「WAV出力先フォルダ」を、先ほど決めた音声専用フォルダに指定する
- 同じく環境設定で「サンプリング周波数を一定にする」にチェックし、AviUtlのプロジェクトと同じ44.1kHzか48kHzを選ぶ
- 「WAV出力時に自動でファイル名をつける」にチェックを入れる(1セリフごとに保存ダイアログが出るのを防げる)
- プリセットから「れいむ」または「まりさ」を選び、テキスト欄にセリフを1つ入力する
- Playで試聴し、読み間違いがあればひらがなやカタカナに直して読みを調整する
- Wav Saveで保存する
- AviUtlで拡張編集のタイムラインを開き、保存したwavファイルを置きたい位置にドラッグ&ドロップする
- 音声ファイルのオブジェクトが配置されたら、その下のレイヤーにテキストオブジェクトを置いて字幕を入力する
- 次のセリフも同じように保存し、前のセリフの直後に並べていく
配置のコツ
セリフを並べるときは、霊夢と魔理沙で使うレイヤーを分けておくと後の編集が格段に楽になります。たとえば「レイヤー1=霊夢の音声」「レイヤー2=魔理沙の音声」「レイヤー3=霊夢の字幕」「レイヤー4=魔理沙の字幕」のように固定しておくと、どちらのセリフかが一目でわかり、あとでまとめて音量を変えるときも迷いません。
セリフ同士の間隔は、ぴったりくっつけると早口に聞こえます。句点の後は数フレーム空ける、話題が変わるところは少し長めに空ける、というように間を意識すると聞きやすくなります。音声の書き出しを1文ずつにしておけば、この間の調整がタイムライン上でできるのもルート②の利点です。
ルート②が向かないケース
このやり方は、セリフが20〜30個程度のショート動画や短い解説なら問題なく回ります。一方で、10分を超える掛け合い動画ではセリフが100を超えることも珍しくなく、「保存→ドラッグ→字幕入力」を100回繰り返すことになります。字幕の打ち直しで誤字が混入しやすいのも弱点です。この段階まで来たら、次のルート③への移行を検討する価値があります。
また、AquesTalkPlayerはコマンドラインからの書き出しにも対応しており、テキストとプリセット、出力ファイルを指定して画面を出さずにwavを作ることができます。台本を1行ずつ処理する簡単なバッチを組めば、セリフの書き出しだけはまとめて自動化できます。ただし配置と字幕は結局手作業になるので、そこまで手間をかけるなら③の方が素直です。
ここまでの手順、1本ぶんまるごと自動でやりますShorty はテーマを入力するだけで、台本・AI音声・字幕・BGMを揃えた雑学ショート動画を生成します。無料プランは30日5本まで。無料で作ってみるルート③:PSDToolKitとかんしくんで音声と字幕を同時配置する
AviUtlだけでゆっくり動画を量産するなら、PSDToolKitと「かんしくん」を組み合わせて、音声ファイルの保存と同時にタイムラインへ音声・字幕の準備・口パクの準備を自動で並べる方法がいちばん効率的です。YMM4を使わずに本格的なゆっくり動画を作っている人の多くがこの構成です。
かんしくんは、指定したフォルダを監視し、新しく作られたwavファイル(と同名のtxtファイル)を検知すると、AviUtlの現在のカーソル位置へ自動で投入するツールです。PSDToolKit側の「口パク準備」「字幕準備(セリフ準備)」の仕組みと組み合わせることで、音声・口パク・字幕が1回の保存で連動します。
設定の流れ(従来版AviUtl+PSDToolKitの場合)
- AviUtl 1.10+拡張編集0.92の環境にPSDToolKitを導入する
- AviUtl.exeのあるフォルダ内にあるかんしくんのフォルダを開き、テンプレートの設定ファイル(setting.txt-template)をコピーしてsetting.txtを作る
- setting.txtで、監視する音声フォルダ(basedir・dir)、対象ファイル(例:*.wav)、音声を置くレイヤー番号(layer)を自分の環境に合わせて書き換える
- かんしくんのフォルダにある実行ファイル(forcepser.exe)を起動し、エラーが出ずに確認画面が出ることを確かめる
- PSDToolKitの環境設定で「口パク準備を生成」「字幕準備を生成」を有効にする
- 音声合成ソフト側で、wavと同名のtxtファイルを一緒に保存する設定があれば有効にする
- AviUtlで字幕を出したい位置に「字幕表示」オブジェクトを置き、字幕準備のあるレイヤーを参照するよう設定する
- 音声合成ソフトでセリフを保存し、タイムラインに音声と準備オブジェクトが並ぶことを確認する
PSDToolKitの公式チュートリアルでは、同名のwavとtxtを用意しておくと、字幕準備に同じ名前のtxtの内容が書き込まれた状態で配置される、と説明されています。つまり「字幕の文字」をAviUtlで打ち直す必要がなくなるのが最大のメリットです。
AquesTalkPlayerと組み合わせるときの注意
ここは他の解説であまり触れられていない点です。AquesTalkPlayerの公式マニュアルを確認した範囲では、wavと同時にセリフのtxtを自動で書き出す機能の記載は見当たりませんでした。 VOICEROIDなどには「テキストファイルを音声ファイルと一緒に保存する」設定がありますが、AquesTalkPlayer単体では同じことができない可能性が高いということです。
その場合、かんしくんで音声と口パク準備は自動配置できても、字幕の文字は別の手段で用意する必要があります。対応策としては、テキストと音声をまとめて扱える有志の支援ツールを併用する、字幕だけ手入力する、あるいは字幕の扱いに強い別の音声ソフトを使う、といった選択肢があります。支援ツールは個人が配布しているものが多く、更新状況や対応バージョンはまちまちなので、導入前に配布元で最新情報を確認してください。
AviUtl2(PSDToolKit2)の場合
AviUtl2向けには、PSDToolKit2と、それに対応したかんしくんが用意されています。解説記事によると、音声合成ソフトで音声を書き出すと、AviUtl2のタイムラインに音声オブジェクトとセリフ準備オブジェクトの2つが追加され、字幕表示オブジェクトのidにキャラクター名を入れることでセリフ準備と字幕表示がリンクされる仕組みです。設定ファイルでファイル移動の設定をオフにする、といった独特の注意点もあります。
AviUtl2は正式版になって間もなく、プラグインやスクリプトの更新も続いています。手順の細部はバージョンで変わる可能性があるので、PSDToolKit2の配布ページ(GitHub)の説明を一次情報として確認するのが確実です。
ルート③で失敗しやすいポイント
- 監視フォルダと音声の保存先が1文字でも違うと何も起きない
- 設定ファイルのレイヤー番号が、既に立ち絵などを置いているレイヤーと重なっている
- AviUtlのタイムラインでカーソルが意図しない位置にあり、変な場所に投入される
- 字幕表示が参照するレイヤー番号と、字幕準備が置かれたレイヤー番号がずれている
かんしくんは動き出すまでがいちばん難しいツールです。ただ、上の4つを順に確認すれば原因はだいたい絞れます。立ち絵の口パクまで連動させたい場合は、立ち絵用PSDファイルのレイヤー設定とあわせて進めると、音声・口パク・字幕が1回の保存でそろう状態を作れます。
ルート①:YMM4でexo出力してAviUtlで受け取る
YMM4に慣れている人や、ゆっくり音声の入力だけは手早く済ませたい人は、YMM4でセリフと字幕を作り、ファイルメニューの「Exo出力」でexoファイルに書き出してAviUtlで開くのが最短ルートです。音声・字幕・立ち絵がまとめてAviUtlのタイムラインに展開されます。
手順
- YMM4の設定で「全般」→「外部連携」を開き、AviUtl.exeの場所をフォルダボタンから指定する
- 必要なら「Exo出力後に起動する」をオンにしておく(出力後に自動でAviUtlが開く)
- YMM4でプロジェクトを作り、ゆっくりボイスでセリフを入力して字幕・立ち絵を整える
- 「ファイル」→「Exo出力」を実行する
- AviUtlが起動し、exoファイルが読み込まれたことを確認する
- AviUtl側でエフェクトやBGM、効果音などの仕上げを行い、動画として出力する
ルート①のメリットと限界
メリットは、セリフの入力や読みの調整をYMM4の使いやすい画面で済ませられることです。一方で、YMM4自体が単体で動画出力できるようになっているため、「わざわざAviUtlに持っていく意味があるのか」という疑問も出てきます。AviUtlへ持っていく価値があるのは、AviUtl側にしかない独自スクリプトやプラグインのエフェクトを使いたい場合、または既存のAviUtlのテンプレートで仕上げたい場合です。そうでなければYMM4だけで完結させる方がシンプルです。
もうひとつの限界は、exoファイルは従来のAviUtl(拡張編集0.92)向けの形式として使われてきたものだという点です。AviUtl2でYMM4のexoがどこまで再現されるかについては、執筆時点で確認できた公開情報が限られていました。AviUtl2を使っている人は、短いテストプロジェクトで一度読み込みを試してから本番に使ってください。
exoを読み込んだときに「何も表示されない」「エラーが出る」「位置がずれる」といったトラブルが起きた場合は、AviUtlでexoが読み込めないときの原因と対処法で原因別に切り分け方をまとめています。YMM4側の書き出しでつまずいている場合は、YMM4でexo出力できないときの対処法が参考になります。
音声を入れた後の調整(音量・間・字幕・声の聞き分け)
ゆっくり音声は入れただけでは聞きにくいことが多く、音量のそろえ方、セリフ間の間、字幕の見やすさ、2キャラの声の差の4点を整えると一気に見やすい動画になります。ここはどのルートを選んでも共通の工程です。
音量をそろえる
AquesTalkの声はBGMより前に出やすい反面、キャラによって体感音量が少し違って聞こえることがあります。拡張編集の音声ファイルオブジェクトには音量の項目があるので、霊夢と魔理沙のどちらかを基準にしてもう一方を合わせます。BGMとのバランスは、声を100としたときにBGMを大きく下げるのが基本です。具体的な目安はナレーションとBGMの音量バランスの決め方で詳しく解説しています。
間を整える
1文ずつ音声を作っている場合は、タイムライン上でオブジェクトの間隔を調整するだけで間を作れます。目安としては、同じキャラが続けて話すときは短く、キャラが入れ替わるときは少し長く空けると会話らしく聞こえます。ボケとツッコミのように反応の速さが面白さになる場面では、あえて間を詰めるのも有効です。
字幕を見やすくする
字幕はキャラごとに色を分け、縁取りを付けるのが定番です。字幕のフォントやサイズ、配置の具体的な作り方はAviUtlで字幕を入れる方法にまとめています。縁取りがうまく付かない場合は、テキストオブジェクトの装飾設定を見直してください。
声を聞き分けやすくする
霊夢と魔理沙はプリセットの時点で声質が違いますが、BGMや効果音が入ると差が埋もれることがあります。AquesTalkPlayerでは話速や高さ、声質などをバーや数値で調整できるので、片方の話速を少しだけ変えるなど、キャラの役割(解説役・質問役)に合った差を付けると聞き取りやすくなります。キャラの掛け合いを作り込む方法は霊夢と魔理沙のゆっくり解説の作り方も参考にしてください。
独自視点:ゆっくり音声は「1文1ファイル」を崩さない
筆者が作業効率の面で強くすすめたいのは、どのルートでも音声は1文につき1ファイルで作るというルールです。複数の文を1ファイルにまとめると、途中の1語だけ読み間違えていても全体を作り直すことになり、間の調整や字幕の切り替えもできなくなります。ファイル数は増えますが、修正のしやすさと音ズレの切り分けやすさを考えると、結果的にこちらの方が早く仕上がります。
つまずきポイントと切り分け方
AviUtlでゆっくり音声を扱うときのトラブルは、「音声が入らない」「音がずれる」「出力すると音が消える」の3系統に分けて考えると原因を見つけやすくなります。よくある症状と確認ポイントを表にまとめました。
| 症状 | よくある原因 | まず確認すること |
|---|---|---|
| wavをドラッグしても何も起きない | 拡張編集のタイムラインではなく本体ウィンドウにドロップしている | 拡張編集のタイムライン上にドロップしているか |
| 声が出ないのに波形はある | オブジェクトの音量が0、またはミュート | 音声ファイルオブジェクトの音量と再生状態 |
| SofTalkでゆっくり声にならない | 2022年以降のSofTalkはAquesTalk非対応 | AquesTalkPlayerなど公式アプリを使っているか |
| プロジェクトを開き直したら音声が消えた | 音声ファイルの移動・名前変更 | 保存フォルダとファイル名を変えていないか |
| 声が徐々に映像とずれる | サンプリング周波数の不一致など | プロジェクトと音声のHz、動画側のフレームレート |
| かんしくんが反応しない | 監視フォルダの指定ミス | 設定ファイルのフォルダと実際の保存先が一致しているか |
| YMM4のexoが開けない | バージョンや設定の不一致 | exoの読み込み手順と対応バージョン |
音声が映像より遅れる、あるいは途中からずれていく場合は、音声そのものより動画素材側の可変フレームレートが原因になっていることもあります。詳しい切り分けはAviUtlの音ズレの直し方で手順を追って解説しているので、そちらで確認してください。
独自視点:古い解説記事を読むときの見分け方
ゆっくり音声まわりは、2022年のSofTalkのAquesTalk対応終了、2026年のAviUtl2正式版公開と、前提が大きく変わる出来事が続いています。そのため、記事の公開日が2022年7月より前で、ゆっくりボイスの作成にSofTalkや棒読みちゃんを前提にしている手順は、そのままでは再現できない可能性があります。 また「AviUtl」とだけ書かれた記事が、従来版とAviUtl2のどちらを前提にしているかも確認が必要です。手順が合わないと感じたら、まず前提となっているソフトとバージョンを疑うのが近道です。
よくある質問
AviUtlだけでゆっくりボイスを直接作れますか?
AviUtl単体にはゆっくりボイスを生成する機能はありません。AquesTalkPlayerなどで音声を作り、そのファイルをAviUtlに読み込む形になります。
AviUtlはあくまで編集ソフトなので、音声合成は外部のソフトが担当します。かんしくんなどの連携ツールを使うと、音声を保存した瞬間にタイムラインへ自動で入るため、体感としては「AviUtlだけで作っている」に近い操作感になります。
YMM4を使わずにゆっくり実況は作れますか?
作れます。AquesTalkPlayerでwavを作ってAviUtlに並べる方法か、PSDToolKitとかんしくんで自動配置する方法の2つが代表的です。
短い動画なら手動配置で十分です。掛け合いの長い動画を定期的に作るなら、最初に時間をかけてもかんしくんの設定を済ませておく方が、長い目で見て作業時間を大きく減らせます。
SofTalkでゆっくりボイスは使えなくなったのですか?
使えません。SofTalkは2022年7月にAquesTalkへの対応を終了し、AquesTalkを同梱しない版に切り替わっています。
現在のSofTalkで出せるのはAquesTalk以外の音声のみです。霊夢や魔理沙のゆっくりボイスを使いたい場合は、アクエスト公式のAquesTalkPlayerなど、AquesTalkを正式に扱えるソフトを使ってください。
収益化していなければ商用ライセンスは不要ですか?
収益化を目的として作る動画なら、収益化前でも商用ライセンスが必要と考えるべきです。無料なのは個人の非営利利用に限られます。
アクエストの説明では、購入のタイミングは収益化を目的としたコンテンツを作る時点とされています。完全な趣味で今後も収益化しないなら個人利用の範囲ですが、将来の収益化を少しでも考えているなら最初から用意しておくのが安全です。
商用ライセンスの料金と有効期間はどれくらいですか?
アクエスト公式ストアの表記では、使用ライセンス(商用コンテンツ向け)は6,380円で、発行日から1年間有効です。
期限が切れると新しいコンテンツは公開できませんが、期限内に公開したものは公開を続けられます。料金や条件は変わる可能性があるため、購入前に公式ストアで最新の情報を確認してください。
ゆっくり音声を入れると字幕も自動で付きますか?
ルートによって違います。YMM4のexo出力とかんしくんの連携では字幕も一緒に扱えますが、wavを手動で置く方法では字幕は別に入れる必要があります。
かんしくんで字幕まで自動化するには、wavと同名のtxtファイルが必要です。AquesTalkPlayerの公式マニュアルではtxtの同時保存機能を確認できなかったため、字幕は手入力にするか、支援ツールを併用する方法を検討してください。
AviUtl2でもゆっくり音声は入れられますか?
入れられます。wavファイルをタイムラインに置く基本は同じで、AviUtl2用のPSDToolKit2と対応するかんしくんも用意されています。
ただし、従来の32bitプラグインはAviUtl2ではそのまま使えないため、PSDToolKitなどはAviUtl2対応版に入れ替える必要があります。YMM4のexoがAviUtl2でどこまで再現されるかは、本番前に短いテストで確認するのが安全です。
ゆっくり音声と映像がずれるのはなぜですか?
よくある原因は、プロジェクトと音声のサンプリング周波数の不一致や、動画素材の可変フレームレートです。音声より映像側に原因があるケースも少なくありません。
まずプロジェクトの音声レートとAquesTalkPlayerの出力周波数をそろえ、それでもずれる場合は動画素材を固定フレームレートに変換して試すと原因を切り分けやすくなります。
ゆっくり動画の作り方全体を知りたいときはどこから読めばよいですか?
音声の入れ方は工程の一部なので、全体像はずんだもん動画や雑学動画の作り方の記事から押さえるのがおすすめです。
キャラクターを使った解説動画の全体の流れはずんだもん動画の作り方で、ネタ選びから構成までは雑学動画の作り方でまとめています。キャラ素材がまだない場合はゆっくり立ち絵素材の入手方法も確認してください。
まとめ
AviUtlにゆっくり音声を入れる方法は、YMM4のexo出力、AquesTalkPlayerで作ったwavの手動配置、PSDToolKitとかんしくんによる自動配置の3ルートです。要点を振り返ります。
- YMM4なしで完結させたいなら②か③。 まず1本作るなら②、掛け合いを量産するなら③が向いている
- YMM4で作り慣れているなら①。 ただしexoは従来版AviUtl向けの形式として使われてきたもので、AviUtl2では事前のテストが必要
- SofTalkは2022年7月にAquesTalk対応を終了。 ゆっくりボイスはAquesTalkPlayerなど公式アプリで作る
- 収益化を目的とするならAquesTalkの使用ライセンスが必要。 公式ストア表記で6,380円・1年間、購入は収益化目的のコンテンツを作る時点
- 保存フォルダとファイル名は最初に固定し、1文1ファイルで作る。 音声消失や修正の手戻りを防げる
- プロジェクトと音声のサンプリング周波数をそろえる。 音ズレの予防になる
ゆっくり音声の入れ方で迷う原因の多くは、手順そのものよりも「古い前提の記事」と「AviUtlのバージョン違い」にあります。自分の環境がどのバージョンで、どの音声ソフトを使うのかを最初に決めてから手順を選べば、遠回りせずに1本目を完成させられるはずです。