最終更新:2026年8月30日(YMM4 v4.33〜v4.36系の仕様を反映)
結論から言うと、YMM4で「音が小さい」と感じたときにまずやるべきは、音量スライダーを上げることではなく「どの層で小さくなっているか」を切り分けることです。 YMM4の音量トラブルは、①編集画面の中で小さい、②書き出した動画ファイルが小さい、③YouTubeにアップすると小さく感じる、の3層のどこかで起きています。層が違えば犯人も対処も全部違うのに、多くの人が「YMM4の音量を上げる」という同じ操作を繰り返して、かえって症状を悪化させています。
特に厄介なのが第2層です。YMM4には出力時に動画全体の音量を自動で調整する機能があり、これが「タイムラインのどこかにある1つの大きすぎる音」に反応して、動画まるごとの音量を引き下げます。つまり音量を上げれば上げるほど、出力後の音が小さくなるという逆転現象が起きる。ここを知らずにスライダーを触り続けると、永遠に直りません。
この記事では、3層それぞれの見分け方・確認場所・具体的な操作を、実際の設定項目名に沿って整理します。あわせて、ボイス/BGM/効果音をそれぞれ何dBに置けばいいのかという数値の目安と、YouTube側のラウドネス正規化(-14LUFS)の実態も数値で示します。顔出しなしのゆっくり解説・雑学ショートを量産している人ほど、ここを一度仕組みで理解しておくと、以降の全動画で音量調整に悩まなくなります。
まず3層診断:あなたの「音が小さい」はどれか
最初にやることは、3つの環境で同じ動画を聴き比べて、どこから小さくなったかを特定することです。 所要時間は5分もかかりません。
診断手順は次の3ステップです。
- YMM4の編集画面でプレビュー再生する。 このとき音が十分に大きければ、第1層はシロ。小さいなら第1層が犯人です。
- 書き出したMP4を、YMM4以外のプレイヤー(Windowsのメディアプレーヤー、VLCなど)で再生する。 編集画面より明らかに小さければ第2層が犯人です。同じ音量ならシロ。
- YouTubeにアップして、他人のチャンネルの動画と交互に再生する。 ファイル単体では普通なのにYouTubeでだけ小さく感じるなら第3層です。
この3ステップを踏まずにいきなり設定をいじると、直ったのか直っていないのか判断できなくなります。特に②を飛ばして「YouTubeで小さい」だけを見ていると、実際は書き出しの問題なのにYouTubeのせいにしてしまい、いつまでも解決しません。
症状 × 原因 × 確認場所 × 対処の診断表
| 層 | 症状(こう感じる) | 主な原因 | 確認場所 | 最初にやる対処 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 編集画面のプレビューからすでに小さい | アイテム単位の音量が低い | タイムラインのアイテムをクリック→音量欄 | 音量を100%に戻し、下げるのは大きい側だけにする |
| 1 | キャラのセリフだけ全部小さい | キャラクター設定の基準音量が低い | ファイル→キャラクターを編集→音量 | キャラ設定側の音量を上げ、個別アイテムは触らない |
| 1 | 特定レイヤーだけ小さい/大きい | レイヤー単位の音量設定 | レイヤー名をクリック→詳細設定 | レイヤー音量を100%に戻してから個別調整 |
| 1 | YMM4だけ小さくPCの他アプリは普通 | Windows側のアプリ別音量 | 音量ミキサー(タスクバーのスピーカー右クリック) | YMM4の項目を100%に戻す(出力ファイルには影響しない) |
| 1 | 音源を重ねるほど全体が歪む/不自然 | 複数音源の合算でピークが飽和 | ピークメーター | 全部を上げるのではなく、大きい音を下げて相対差を作る |
| 2 | 編集中は普通なのに書き出すと激減する | 出力時の音量調整(音割れ対策/目標音量)が全体を引き下げた | ファイル→動画出力→音量調整・その他 | 極端に大きいアイテムを探して下げる、または設定を変更 |
| 2 | 音量というより「こもる」「ラジオみたい」 | 出力時のコンプレッサーが強くかかっている | 動画出力→音割れ対策→コンプレッサー | 先読みをON、それでもダメなら「圧縮しない」 |
| 2 | 音質が粗い(音量は普通) | 音声ビットレートが低い | 動画出力→音声設定 | 192kbps以上に戻す(音量ではなく音質の問題) |
| 3 | ファイルは普通なのにYouTubeで小さい | YouTubeのラウドネス正規化 | 再生画面右クリック→詳細統計情報 | content loudnessの値を見て判断(後述) |
| 3 | 他チャンネルより自分だけ小さく感じる | 元素材のラウドネスが基準を下回っている | YMM4のラウドネスメーター/音量解析 | 目標ラウドネスに寄せて書き出す |
この表の使い方はシンプルで、上の3ステップ診断で層を特定したら、その層の行だけを上から順に潰していきます。層をまたいで手を出さないのが最短ルートです。
第1層:YMM4の編集画面で音が小さいとき
編集画面のプレビュー時点で小さいなら、原因はYMM4の中の「音量が掛け算されている」構造にあります。 YMM4の音量は1か所で決まっているわけではなく、複数の設定が重なって最終的な音量になります。どれか1つが低ければ、他をいくら上げても効きが悪くなります。
音量が掛け算される4つの場所
音量を決めている場所は、おおむね次の4段です。
- アイテム単位の音量 — タイムライン上の音声アイテムや動画アイテムをクリックすると出てくる音量欄。個別の1つに対する設定です。
- レイヤー単位の音量 — レイヤー名の部分をクリックすると詳細設定が開き、そのレイヤーに乗っている音を一括で上下できます。BGMレイヤーをまとめて下げるときに使う場所です。
- キャラクター設定の音量 — 「ファイル」→「キャラクターを編集」から入るキャラクター設定に、そのキャラのボイスの基準音量があります。ここを設定しておくと、以降そのキャラで作ったボイスアイテムは全部この音量で生成されるため、1本ずつ直す必要がなくなります。
- 素材そのものの録音レベル — 効果音やBGMのファイル自体が小さく作られている場合。ここはYMM4の設定では解決しません。
「霊夢の声だけ全部小さい」なら3番、「BGMだけ小さい」なら2番か4番、「この1個だけ小さい」なら1番です。症状の範囲から逆算すると、どの段を触ればいいかが一発で決まります。
PCの音量ミキサーは出力ファイルに影響しない
見落とされがちなのが、Windows側の音量ミキサー(タスクバーのスピーカーアイコンを右クリックして開く、アプリごとの音量)です。ここでYMM4だけが下げられていると、編集画面のプレビューだけが小さく聞こえます。
ただしこれは書き出したファイルには影響しません。音量ミキサーはあくまで再生時の音量であって、エンコードされる音声データそのものを変えるものではないからです。つまり「編集画面では小さいが、書き出したファイルは普通」という症状が出たら、ほぼ音量ミキサーが犯人だと判断できます。逆に言えば、音量ミキサーが下がった状態で編集していると、耳の基準がズレて全部を上げすぎてしまい、第2層のトラブルを自分で作り込むことになります。編集前に音量ミキサーを100%に戻しておくのが安全です。
メーターを出して「耳」ではなく「数値」で調整する
第1層の調整は、耳だけでやると必ず失敗します。理由は単純で、ヘッドホンやスピーカーの音量つまみの位置ひとつで印象が変わるからです。YMM4には数値で見るための道具が2つあります。
- ピークメーター — 瞬間の音の大きさを表示します。0dBを超えると音割れ(クリッピング)が発生します。
- ラウドネスメーター — 一定区間の「体感的な音の大きさ」を表示します。単位はLUFS(LKFSとほぼ同義)。
どちらも設定画面の表示オプションからオンにできます(筆者が確認した情報では「ファイル」→「設定」内の全般カテゴリに表示のオン/オフがあります。バージョンによってタブ名が変わる可能性があるため、見つからない場合は設定内を「メーター」で探してください)。
さらに、「ツール」→「音量解析」を開くと、動画全体のピークとラウドネスをまとめて解析できます。「すべて解析」を実行すると、どこでピークが飛び出しているかがグラフで見えるので、第2層の犯人(極端に大きい1発)を探すのにそのまま使えます。
効果音の音量が原因でバランスが崩れているケースは非常に多いので、効果音の入れ方そのものを見直したい人はYMM4 効果音の入れ方もあわせて確認してください。
第2層:書き出した動画ファイルが小さいとき
ここが本命です。「編集中は普通なのに書き出すと激減する」なら、犯人はほぼ確実にYMM4の出力時音量調整機能です。 これは不具合ではなく、音割れを防ぐための正常な動作です。
仕組み:1発の大きい音が動画全体を引きずり下ろす
YMM4には、出力時に音割れを防ぐための音量調整が入っています。公式のFAQでも、出力後の音量が小さくなる原因として音割れ対策機能が挙げられており、動画全体の音量が引き下げられると説明されています。
重要なのは「全体が」という部分です。タイムラインのどこか1か所に極端に大きい音(爆発音のSE、正規化されていないBGMの頭、間違って音量200%にしたアイテムなど)があると、その1発が0dBを超えないように、動画全体が一律で下げられます。1秒のSEのために10分の解説が全部小さくなる、ということが普通に起きます。
だから対処は「音量を上げる」ではなく「一番大きい音を探して下げる」です。ここが一般的な感覚と逆で、多くの人がハマるポイントです。
公式FAQが挙げている対処は次の2つです。
- 極端に大きい音量のアイテムを削除する、または音量を下げる
- 「ファイル(F)」→「動画出力(V)」を開き、「その他」→「音割れ対策」をオフにして出力する(音割れの発生を許容し、出力時の音量調節機能を無効化する)
後者は即効性がありますが、文字どおり音割れを許容する設定なので、先に前者(大きい音を探して下げる)をやるのが筋です。
v4.33.0.0で設定名が変わった:旧名と新名の対応表
ここで混乱の元になるのが、バージョンによる項目名の変更です。v4.33.0.0で音量調整まわりが刷新され、旧「音割れ対策」「音量の最大化」が削除されて、目標音量ベースの設定に置き換わりました。
| 旧バージョンの項目 | v4.33.0.0以降の相当する項目 | 何をするか |
|---|---|---|
| 音割れ対策 | 最大音量を0dB以下にする | ピークが0dBを超えないように全体を下げる |
| 音量の最大化 | 最大音量を0dBにする | ピークがちょうど0dBになるまで全体を上げ下げする |
| (なし) | 目標音量まで下げる | 指定ラウドネスを超えている場合だけ下げる |
| (なし) | 目標音量にする | 指定ラウドネスちょうどに合わせる(小さい場合は上げる) |
つまり、古い解説記事に書かれている「音割れ対策をオフにする」という手順は、新しいバージョンでは項目名がそのまま存在しないことがあります。ネットの情報が食い違って見える最大の理由がこれです。自分のYMM4のバージョンを確認し、動画出力画面に「音割れ対策」があるのか「目標音量にする」があるのかを先に見てください。
新しい版で「書き出すと小さい」を根本から直したいなら、「目標音量にする」を選び、目標ラウドネスをYouTube基準に設定するのが最も素直な解決策です。この設定なら、元が小さい場合はYMM4側が引き上げてくれます。
「こもる」はコンプレッサーが原因(音量とは別問題)
「小さい」ではなく「こもる」「ラジオみたい」「音がモコモコする」という症状は、音量ではなくコンプレッサーの問題です。v4.33.1.0では音割れ対策のコンプレッサーが初期設定で自動的にかかるようになっており、これが音のこもりとして知覚されるケースが報告されています。
検証記事では、コンプレッサーのアタックタイムを20ms(0.02秒)程度に設定すると改善したとされています。また、v4.36.0.0以降では初期設定が変更され、先読み機能をONにすることでこもりを改善できるとされています。それでも改善しない場合は、コンプレッサーを「圧縮しない」に設定するのが推奨されています。
対処の優先順は次のとおりです。
- まず先読みをONにして書き出し直す
- 改善しなければコンプレッサーを「カスタム」にしてアタックタイムを20ms前後に伸ばす
- それでもダメなら「圧縮しない」を選び、代わりに素材側で大きい音を下げる
音声ビットレートを上げても音量は上がらない(よくある誤解)
ここは一般論への反論として明確に書いておきます。「音が小さいから音声ビットレートを上げる」は的外れです。 ビットレートは1秒あたりに使う情報量、つまり音「質」のパラメータであって、音「量」のパラメータではありません。192kbpsを320kbpsにしても、音量は1dBも上がりません。
ビットレートが効くのは「声がラジオのように圧縮されて聞こえる」「シャリシャリする」といった音質側の症状です。YMM4の音声ビットレートの初期値は192kbpsで、これはクリアな音質として十分な水準です。過去に容量削減のために64kbpsや96kbpsまで落としていた場合だけ、192kbps以上に戻す価値があります。サンプリングレートは44.1kHzまたは48kHz、コーデックはAACが標準的な選択です。
出力設定の全体像(解像度・フレームレート・映像ビットレートを含む)を一度きちんと整えたい場合は、ゆっくりムービーメーカー 動画出力設定で個別に確認できます。
第3層:YouTubeにアップすると小さく感じるとき
ファイル単体では普通なのにYouTubeでだけ小さく感じるなら、原因はYouTubeのラウドネス正規化です。そして、この仕様は片側にしか働きません。
-14LUFSの一方通行ルール
YouTubeはアップロードされた動画のラウドネスを測定し、基準値である-14LUFSを超えるものは自動的に-14LUFSまで下げます。ここまでは多くの記事に書いてあります。
問題は次の一文です。YouTubeは、元の音声が-14LUFSを下回っている場合、自動的に引き上げてはくれません。 大きい音は下げられ、小さい音はそのまま小さいまま公開されます。
この非対称性が「他のチャンネルより自分の動画だけ小さい」の正体です。基準を超えている他人の動画は全員-14LUFSに揃えられるのに、-20LUFSで作った自分の動画だけが-20LUFSのまま並ぶ。視聴者が前の動画から自分の動画に移った瞬間、明確に音が小さくなったと感じます。
プラットフォーム別のラウドネス基準
| プラットフォーム | 基準ラウドネス | 超過時の挙動 | 下回った時の挙動 |
|---|---|---|---|
| YouTube | -14LUFS | -14LUFSまで自動的に下げる | 引き上げない(小さいまま) |
| ニコニコ動画 | -15LUFS | 規定値に合わせる | 同上の考え方 |
| 共通の推奨 | -14LUFS / True Peak -1dBTP | — | YouTube・Spotify・TikTok・Instagramを横断してカバーできる水準 |
YMM4の出力設定に出てくる目標音量の既定値も、この考え方に沿っています。YouTube向けなら-14.0LKFS、ニコニコ向けなら-15.0LKFSが目安です。YouTube単独で運用するなら-14LUFSに寄せておけば大きく外しません。
自分の動画が何dB下げられたかを確認する方法
推測ではなく実測できます。PCのブラウザでYouTubeの再生画面を右クリックし、「詳細統計情報」を選ぶと、統計パネルの中に「Volume / Normalized」という行があります。
ここには例えば 100% / 45% (content loudness 6.9dB) のように表示されます。読み方は次のとおりです。
- 左の
100%— 再生ページの音量スライダーの位置 - 右の
45%— 正規化後に実際に鳴っている音量の割合 - 括弧内の
content loudness— 基準に対する超過量。プラス値なら、その分だけYouTubeに下げられている
つまり、content loudnessがプラスで表示されているなら、あなたの動画は「大きすぎて下げられた側」です。逆に、この値が0dBに近い、あるいは正規化後の割合が100%のままなのに他人の動画より小さく聞こえるなら、あなたの動画は「そもそも基準に届いていない側」ということになります。どちらなのかで対処が正反対になるので、必ず先に確認してください。
- 下げられている(プラス値が大きい)→ 出力側で目標音量を守り、コンプで潰さずにピークを整理する
- 届いていない → 出力設定の目標音量を-14LUFSに設定して書き出し直す
独自視点:-14LUFSに「合わせにいく」ことが最善とは限らない
ここは一般論に一言反論しておきます。「YouTubeは-14LUFSだから-14LUFSぴったりに上げるべき」という説明をよく見ますが、ゆっくり解説・雑学ショートの文脈では条件付きです。
合成音声のナレーションはもともとダイナミックレンジが狭く、平均音量を上げやすい素材です。そのため-14LUFSに寄せること自体は難しくありません。問題は、そこに派手なSEやドカンと来るBGMを重ねている場合で、ラウドネスを-14に持っていくためにコンプレッサーで強く潰すと、声の質感が犠牲になります。前述の「こもる」症状の多くは、この無理な持ち上げが原因で起きています。
現実的な落としどころは、-14LUFSちょうどを狙うのではなく、-16〜-14LUFSのレンジに収まっていれば十分と考えることです。この程度の差は視聴者にはほとんど知覚されません。それより、SE1発でピークが持っていかれて全体が下がる事故のほうが、体感への影響は圧倒的に大きいです。
ここまでの手順、1本ぶんまるごと自動でやりますShorty はテーマを入力するだけで、台本・AI音声・字幕・BGMを揃えた雑学ショート動画を生成します。無料プランは30日5本まで。無料で作ってみる音量の目安を数値で決める(ボイス/BGM/効果音)
「なんとなく良さそう」で調整するのをやめて、数値の枠を先に決めてしまうのが、最も再現性の高いやり方です。 以下は、ピークメーターとラウドネスメーターで確認する際の実用的な目安です。
| 要素 | ピーク目安(dB) | 役割 | 補足 |
|---|---|---|---|
| メインボイス(ナレーション) | -1〜-5dB | 主役。常に一番大きい | -1dBを超えさせない(音割れ直結) |
| 効果音(SE) | -5〜-15dB | 転換・強調 | 1発でも大きすぎると全体が下がる最大の事故要因 |
| BGM | -5〜-30dB(通常は-18〜-24dB付近) | 空気づくり | 声との差を15〜20dB確保する |
| 動画全体のラウドネス | -16〜-14LUFS | 公開時の体感音量 | YouTube基準は-14LUFS |
| True Peak | -1dBTP以下 | エンコード時の歪み防止 | 0dBギリギリを狙わない |
BGMの調整には「-20dBルール」と呼ばれる経験則があり、BGMをメイン音声より20dBほど低くすると、声が埋もれず、かつBGMが消えすぎないバランスになります。ナレーションが乗っている区間ではBGMを-15〜-25dB程度に置くという目安も広く使われています。
ここで重要なのは、この表は「上げる」ためではなく「差をつける」ために使うという点です。全部を上げると相対関係は変わらないまま、第2層の自動音量調整に引っかかるだけです。声を基準に、BGMとSEを下げて相対差を作る。この順番を守るだけで、音量トラブルの大半は起きなくなります。
ナレーションとBGMの比率をもっと細かく詰めたい場合は、ナレーションとBGMの音量バランスで数値と実例を確認できます。また、そもそもBGM素材のラウドネスがバラバラだと毎回調整し直すことになるので、音量が比較的そろっている配布元を選ぶのも有効です。YouTubeオーディオライブラリの使い方も参考になります。
「音量(dB)」エフェクトを使う理由
YMM4のアイテム音量はパーセント表記ですが、dB表記で調整したい場合は音声エフェクトの「音量(dB)」を使います。パーセントとdBは対数関係にあるため、「50%にしたから半分の音量」という直感は当てになりません。メーターがdBで表示されている以上、調整もdBで行ったほうが、狙った数値に一発で合わせられます。
3層をまとめて潰す実践手順
ここまでの内容を、1本の動画に対して順番に実行する手順にまとめます。 上から順にやってください。順番に意味があります。
- Windowsの音量ミキサーでYMM4を100%に戻す。 耳の基準を正常化する。この時点でプレビューが十分な音量になるなら、第1層は解決。
- ピークメーターとラウドネスメーターを表示する。 設定画面の表示オプションからオンにする。以降はメーターを見ながら作業する。
- キャラクター設定の音量を確認する。 「ファイル」→「キャラクターを編集」。ここで基準音量を決めておくと、以降のボイスアイテムが全部そろう。
- 「ツール」→「音量解析」で全体を解析する。 グラフで飛び出しているピークを探す。これが第2層の犯人。
- 飛び出しているアイテムだけを下げる。 全体を上げない。SE、BGMの頭、効果音の重なりを疑う。
- ボイス→SE→BGMの順に、上の数値表のレンジに収める。 声を先に決めて、そこからの差でSEとBGMを決める。
- 出力設定を開き、音量調整の項目を確認する。 「目標音量にする」があればYouTube基準(-14LKFS)に設定。旧版で「音割れ対策」しかない場合は、まず5番の処理をしてから必要に応じてオフを検討する。
- コンプレッサー設定を確認する。 こもりが出ているなら先読みをON、改善しなければアタックタイムを20ms前後、それでもダメなら「圧縮しない」。
- 音声ビットレートが192kbps以上か確認する。 音質側の保険。音量とは無関係。
- 書き出して、YMM4以外のプレイヤーで再生する。 編集画面と同程度の音量なら第2層クリア。
- 限定公開でYouTubeにアップし、詳細統計情報でcontent loudnessを確認する。 プラス値が大きすぎないか、正規化後の割合が極端に低くないかを見る。
- 他チャンネルの動画と交互再生して体感を確認する。 ここまでやって差を感じないなら完了。
書き出し前チェックリスト
毎回この5項目だけ見れば、音量事故はほぼ防げます。
- [ ] ピークメーターで0dBに触れている箇所がない(最大でも-1dB以下)
- [ ] ラウドネスが-16〜-14LUFSのレンジに入っている
- [ ] 声とBGMの差が15〜20dB確保されている
- [ ] SEの中に明らかに突出した1発がない(音量解析で確認済み)
- [ ] 出力設定の音量調整・コンプレッサーの設定が意図したものになっている
このチェックリストを1本目でテンプレ化しておくと、2本目以降は30秒で済みます。ゆっくり解説を継続的に作るなら、音量の設定値をプロジェクトテンプレートに焼き込んでおき、新作は必ずその複製から始めるのが最も手戻りが少ない運用です。
それでも直らないときに疑うこと
ここまでやっても直らないケースは実在します。うまくいかない条件を正直に挙げておきます。
素材そのものが小さく録れている
配布サイトによっては、効果音やBGMが-30LUFSクラスで収録されていることがあります。この場合、YMM4側でいくら上げてもノイズごと持ち上がるだけで、音質は改善しません。素材を差し替えるのが唯一の解決策です。「上げると同時にサーッというノイズが目立つ」なら、これを疑ってください。
再生環境側の問題
- Bluetoothイヤホン/スピーカー — デバイス側に独自の音量制御があり、有線と体感が変わることがあります。判定は必ず有線または内蔵スピーカーで行ってください。
- 視聴者側の「安定した音量」設定 — YouTubeのプレーヤー設定で音量正規化を無効にしている視聴者もいます。つまり、視聴者全員が同じ音量で聴いているわけではありません。これは制作側からは制御できない条件です。
- スマホ視聴 — ショート動画の主戦場はスマホの内蔵スピーカーです。低音がほぼ再生されないため、PCのヘッドホンで整えたバランスがそのまま通用しません。書き出したファイルは必ず一度スマホで確認してください。
バージョン差で項目が見つからない
前述のとおり、v4.33.0.0を境に音量調整の項目名が変わっています。さらにv4.33.1.0でコンプレッサーの初期挙動が、v4.36.0.0で初期設定がさらに変更されています。バージョンが違えば、他人の手順どおりの画面にはなりません。 記事どおりの項目が見つからない場合は、まずYMM4のバージョンを確認するのが先です。なお、本記事で扱っていない細かなUIの位置や、各バージョンの中間挙動については、筆者環境で網羅的に確認できていないため、断定を避けています。公式のFAQとリリースノートを一次情報として確認するのが確実です。
独自視点:音量調整は「毎回やる作業」にしてはいけない
見落とされがちですが、音量調整は本来「1本目で決めて、以降は使い回す」種類の作業です。キャラクター設定の基準音量、レイヤーの初期音量、出力設定の目標音量。この3つを最初に決めてテンプレート化すれば、2本目以降で音量を触る必要はほぼなくなります。
にもかかわらず、毎回スライダーを触っている人が多い。理由は、1本目のときにメーターを見ずに耳だけで決めてしまい、「正しい状態」が数値として残っていないからです。数値で決めておけば再現できる、耳で決めると毎回ゼロからになる。 これが、量産する人と1本で燃え尽きる人の分かれ目になります。
雑学ショートのように本数で勝負するジャンルでは、この差が数か月で決定的になります。1本あたり10分の音量調整でも、月30本出すなら5時間です。その5時間は、台本や題材選びに回したほうが再生数への影響がはるかに大きい。音量は「一度決めて二度と触らない項目」に分類すべき作業です。
そもそも音量調整の工程を持たない選択肢
工程を減らす方向の選択肢も一応挙げておきます。YMM4のようなタイムライン編集ソフトは自由度が高い代わりに、音量・尺・字幕をすべて自分で管理する必要があります。一方、テキストから短尺動画を組み立てるタイプのツールは、音量まわりを自動処理する代わりに自由度が下がります。
- YMM4 — 無料、自由度が最も高い。音量・立ち絵・字幕を細かく制御できるが、本記事のような知識が要る
- 一般的な動画編集ソフト(有料) — ラウドネスメーターや自動ノーマライズを標準搭載しているものが多い。ただし有料で、ゆっくり解説特有の機能はない
- Shorty — 当サイトが開発・運営しているツールです。テキストから縦型ショートを組み立てる用途に絞ってあり、音量の設計を自分でやらなくて済むぶん、細かい制御はできません。無料プランは1本30秒まで・30日で5本まで・保存7日・ショート形式のみという制約があるので、長尺のゆっくり解説には向きません
どれが最良ということはなく、作りたいものの尺と、音の細かい制御にどれだけ時間を割きたいかで選ぶべきです。10分の解説動画を作るならYMM4一択ですし、30秒の雑学ショートを数多く出すなら工程を削る方向にも合理性があります。
そもそもYMM4を何のために使うのか、前後の工程まで含めた全体像を確認したい場合はずんだもん動画の作り方:台本・音声・立ち絵・編集の順番を見てください。音量調整は9工程のうち8番目にあたる作業です。
音量とは別系統で相談が多いのが、素材動画に元から入っている音の扱いと、YMM4本体のバージョン更新です。前者はYMM4で動画の音声を分離する方法、後者はYMM4のアップデートができない原因を7症状で切り分ける手順にそれぞれまとめています。音量の設定項目はバージョンで名称が変わるため、更新が止まっていると記事どおりの画面にならないことがあります。
よくある質問
YMM4で音量を200%にしても大きくなりません。なぜですか?
出力時の音量調整が、その大きくなった音を検出して動画全体を引き下げているためです。上げるほど下げ返される構造なので、音量を上げる方向では解決しません。
対処は逆方向です。まず「ツール」→「音量解析」で全体を解析し、ピークが突出しているアイテムを特定して、そのアイテムだけを下げます。全体の音量を上げるのではなく、大きすぎる音を削って相対的に声を目立たせる。これが正しい手順です。200%まで上げた設定は、いったん100%に戻してから作業を始めてください。
「音割れ対策」という項目が出力設定に見当たりません。
v4.33.0.0で音量調整まわりが刷新され、旧「音割れ対策」「音量の最大化」が削除されたためです。新しい版では別名の項目に置き換わっています。
対応関係は、旧「音割れ対策」が「最大音量を0dB以下にする」、旧「音量の最大化」が「最大音量を0dBにする」です。加えて「目標音量まで下げる」「目標音量にする」というラウドネス基準の選択肢が増えています。YouTube向けなら「目標音量にする」を選び、目標値を-14LKFSに設定するのが最も分かりやすい運用です。
YouTubeの音量正規化はオフにできますか?
投稿者側からオフにすることはできません。基準を超えた動画は自動的に-14LUFSまで下げられます。この仕様は変更できないため、基準を前提に作るしかありません。
ただし覚えておくべきは、正規化が一方通行だという点です。基準を超えれば下げられますが、基準を下回っていても引き上げてはもらえません。だから「大きく作りすぎて下げられる」より「小さく作って放置される」ほうが、実害としては大きくなります。
自分の動画がどれくらい下げられたか調べられますか?
調べられます。PCのブラウザでYouTubeの再生画面を右クリックし、「詳細統計情報」を開くと確認できます。
パネル内の「Volume / Normalized」の行に、100% / 45% (content loudness 6.9dB) のような表示があります。左が音量スライダーの位置、右が正規化後の実際の再生音量の割合、括弧内のcontent loudnessが基準に対する超過量です。プラス値ならその分だけ下げられています。他人の動画で同じ操作をすれば、自分と競合の音量設計を数値で比較できます。
音量ではなく「こもった音」になります。どうすればいいですか?
音量ではなくコンプレッサーの問題です。v4.33.1.0以降、音割れ対策のコンプレッサーが初期状態で自動的にかかる仕様になっており、これが音のこもりとして知覚される場合があります。
対処は3段階です。まずv4.36.0.0以降であれば先読み機能をONにして書き出し直します。改善しなければコンプレッサーをカスタムにしてアタックタイムを20ms(0.02秒)前後に伸ばします。それでも解消しないなら「圧縮しない」を選び、代わりに素材側で大きすぎる音を手動で下げてください。
音声ビットレートを上げれば音量も上がりますか?
上がりません。ビットレートは音質のパラメータであり、音量とは無関係です。192kbpsを320kbpsにしても音量は変わりません。
ビットレートを見直すべきなのは「声がラジオのように圧縮されて聞こえる」「高音がシャリつく」といった音質の症状が出ているときだけです。YMM4の初期値は192kbpsで、これは十分クリアな水準です。容量削減のために96kbps以下に落としていた場合のみ、192kbps以上に戻す価値があります。
ボイス・BGM・効果音はそれぞれ何dBにすればいいですか?
ピークの目安は、メインボイスが-1〜-5dB、効果音が-5〜-15dB、BGMが-5〜-30dB(通常は-18〜-24dB付近)です。動画全体のラウドネスは-16〜-14LUFSに収めます。
重要なのは絶対値より差です。声とBGMの差を15〜20dB確保すると、声が埋もれず、BGMも消えません。この差さえ守れば、全体の音量は出力設定の目標音量で最後に合わせられるので、個別の絶対値に神経質になる必要はありません。
編集画面では大きいのに書き出すと小さい。設定を変えずに直せますか?
変えずに直せるケースがあります。原因が「タイムライン上の1つの過大な音」である場合、その音を下げるだけで、出力設定は一切触らずに全体の音量が戻ります。
「ツール」→「音量解析」で全体を解析し、グラフで突出している箇所を探してください。多くの場合、犯人は爆発音・ドラムロール・登場SEといった短い効果音か、正規化されていないBGMの冒頭部分です。それを-10dB程度下げるだけで、動画全体の音量が体感で大きく戻ることは珍しくありません。
キャラごとに声の大きさがバラバラです。1本ずつ直すしかないですか?
1本ずつ直す必要はありません。「ファイル」→「キャラクターを編集」から入るキャラクター設定に、そのキャラの基準音量があります。ここを設定すれば以降のボイスは全部その音量で生成されます。
ただし、すでに配置済みのアイテムには遡って適用されないケースがあるため、既存分はレイヤー単位の音量でまとめて調整するのが現実的です。新規プロジェクトを作る前にキャラクター設定を整えておくのが、最も手戻りの少ない運用です。
スマホで見ると音が小さく感じます。PCでは問題ないのですが。
スマホの内蔵スピーカーは低音がほとんど再生されないため、低域を含むBGMの分だけ体感音量が下がります。PCのヘッドホンで整えたバランスは、スマホでは同じに聞こえません。
ショート動画はスマホ視聴が主戦場なので、書き出したファイルは必ず一度スマホの内蔵スピーカーで確認してください。対処としては、BGMの低域を少し削って声の帯域を空ける、BGMをさらに数dB下げる、という方向が効きます。全体音量を上げるのは、第2層の自動調整に引っかかるので逆効果になりがちです。
YMM4のバージョンによって手順が違うのはなぜですか?
音量調整まわりの仕様が複数回変更されているためです。v4.33.0.0で設定項目そのものが刷新され、v4.33.1.0でコンプレッサーの初期挙動が変わり、v4.36.0.0で初期設定がさらに調整されています。
そのため、ネット上の解説記事は書かれた時期によって内容が食い違って見えます。手順を試す前に、自分のYMM4のバージョンと、記事が想定しているバージョンを照合してください。項目が見つからない場合は、公式のFAQとリリースノートを一次情報として確認するのが確実です。
複数の効果音を重ねたら全体が不自然になりました。
同じタイミングで鳴る音は足し算されるため、個別には適正でも合算でピークを超えることがあります。重ねた瞬間だけ音量解析で確認してください。
対処は、重なる音のうち主役を1つ決めて、それ以外を-6〜-10dB下げることです。全部を同じ音量で重ねると、どれも主役にならず、ただ全体が大きくなるだけで、結果として第2層の自動調整に引っかかります。効果音は「同時に鳴らす数を減らす」ほうが、音量を下げるより効果的な場合が多いです。
音量以外でYMM4がつまずきやすいところ
音量の次に問い合わせが多いのが立ち絵まわりです。キャラクター設定に登録したのに プレビューに映らない、一部の表情だけ出ない、といった症状は原因がまったく別なので、 YMM4 立ち絵 表示されない 対処 で 「リストに出てこない/プレビューに映らない/一部パーツだけ出ない」の3分岐から 切り分けてください。再インストールは最後の手段です。
音量以外にも、YMM4は「原因が複数あるのに1つの症状として語られる」トラブルが多いツールです。関連する切り分け記事をまとめておきます。
- 入れたはずのフォントがYMM4の一覧に出てこない・字幕に反映されない場合は、権限・キャッシュ・表記ズレの3系統で切り分けるYMM4 フォント 追加されない 対処を先に確認してください
- ショート用に字幕を詰め込んだら画面からはみ出す・改行位置がおかしい場合は、折り返し設定と台本の文字数設計から見直すYMM4 字幕 改行 設定にまとめています
- 音量とは別に「プチッ」というノイズや音割れが混ざる場合は、録音段階・編集段階・出力段階のどこで発生したかを切り分けるYMM4 音声 ノイズ除去 やり方を参照してください
- 編集画面のプレビューや書き出したmp4が黒いだけで音は出る場合は、音量ではなく素材のコーデック側が原因です。どの画面が黒いかで原因が分かれるのでymm4 動画 真っ黒の4症状の切り分け表から確認してください
- 音量調整を終えたのに書き出しが特定の%で固まる・いつまでも終わらない場合は、詰まっている位置から原因素材を特定する手順をymm4 出力 止まるにまとめています
- YMM4ではなくAviUtl側で編集していて動作が重い場合は、システムの設定の推奨値と素材の中間ファイル化から見直すaviutl 重い 対処法が参考になります
まとめ
YMM4の「音が小さい」は、単一の原因を持つ1つの症状ではなく、3つの別々の問題が同じ言葉で語られているだけです。だから、切り分けずに対処すると必ず遠回りになります。
要点を整理します。
- まず3層診断:編集画面/書き出したファイル/YouTube上、の3か所で聴き比べて、どこから小さくなったかを特定する
- 第1層:アイテム・レイヤー・キャラクター設定・Windowsの音量ミキサーの4段を確認。音量ミキサーは出力ファイルには影響しない
- 第2層が本命:出力時の音量調整が、1発の過大な音に反応して動画全体を引き下げている。対処は「上げる」ではなく「一番大きい音を下げる」
- バージョン差に注意:v4.33.0.0で「音割れ対策」「音量の最大化」が削除され、目標音量ベースの設定に置き換わった
- 「こもる」は別問題:コンプレッサーが原因。先読みON→アタックタイム20ms→圧縮しない、の順で試す
- 第3層:YouTubeの正規化は一方通行。基準超過は-14LUFSまで下げられるが、基準未満は引き上げられない。詳細統計情報のcontent loudnessで実測できる
- 数値で決める:声-1〜-5dB、SE -5〜-15dB、BGMは声より15〜20dB下、全体は-16〜-14LUFS
- 1本目でテンプレ化する:キャラクター設定の基準音量・レイヤー音量・出力の目標音量を決めれば、以降は音量を触らずに済む
最後にもう一度強調しておきます。音量調整で最も費用対効果が高いのは、上げる操作ではなく「突出した1発を見つけて下げる」操作です。「ツール」→「音量解析」を1回走らせるだけで、何時間もスライダーを往復していた原因が一目で見つかることがあります。次に書き出す前に、まずそこから確認してみてください。