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ゆっくり解説の作り方|無料ツールとAIで始める手順とライセンス注意点2026

公開: 2026-07-26 約30分 ゆっくり解説作り方AI無料ツール
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ゆっくり解説の作り方を無料ツールYMM4の9ステップとAI台本術で解説。東方Project二次創作ガイドラインと立ち絵素材の規約、AquesTalkの商用ライセンス(税込6,380円/年)まで、収益化前に必ず押さえるべき論点を整理した。

目次

「ゆっくり解説 作り方 AI 無料」で検索する人が本当に知りたいのは、突き詰めると三つに絞られる。顔も声も出さずに霊夢と魔理沙が喋る動画をどう組み立てるのか、それは本当に0円で完結するのか、そしてAIを使えばどこまで手間が減るのか、である。

先に結論を書く。制作そのものは無料で完結する。定番編集ソフトのゆっくりMovieMaker4(YMM4)は無料で、立ち絵素材にも「収益化・商用利用・改変まで完全自由」を明言しているものがある。しかし、収益化した瞬間に「無料」の前提は崩れる。ゆっくりボイスの正体である音声合成エンジン AquesTalk は、広告付き動画に使うなら商用コンテンツ向けの使用ライセンスが必要になり、公式ストアの表示は税込6,380円・期間1年である(2026年7月時点)。さらにAIは台本の下書きと構成整理には強く効くが、キャラの掛け合いの温度と、権利まわりの最終判断は肩代わりしてくれない。

この記事が並の手順記事と違う点を先に宣言しておく。筆者は顔出しなしのYouTube副業を実際に運営している側で、雑学ショートのチャンネルは登録者1,120人・総再生281万回・投稿60本まで来ている。そのうえで、自社チャンネルではゆっくり形式を採用していない。採用しなかった理由には、品質でも流行でもなく「借り物の権利の上に在庫を積む怖さ」という、手順記事があまり書かない論点がある。その判断材料も含めて書く。

射程はこうだ。ゆっくり解説の構成要素と無料/有料の境界、キャラ素材と音声という二系統のライセンス、YMM4での実制作手順、AIで置き換えられる工程とできない工程、ゆっくり形式を選ばない代替案との比較、そして2025年7月のYouTube収益化ポリシー改定への対応。なお規約は変わる。本記事は2026年7月時点で公開されている情報の整理であり、断定できない箇所はその旨を明記した。最終判断は必ず各一次情報を自分の目で確認してほしい。

ゆっくり解説とは何か——「形式」を3層に分解する

ゆっくり解説とは、東方Projectのキャラクター(博麗霊夢・霧雨魔理沙など)をデフォルメした「ゆっくり」の立ち絵に、合成音声と字幕を組み合わせて特定テーマを解説する動画形式を指す。ニコニコ動画発祥の文化がYouTubeへ流れ込み、いまでは歴史・雑学・都市伝説・ゲーム・投資・怖い話まで、あらゆるジャンルに広がっている。

顔出しなしの副業として選ばれる理由は明快だ。顔も地声も要らない。立ち絵が画面内に常時いるので視線の置き場ができ、無音視聴でも字幕で成立する。しかも制作がテンプレ化しやすいため、2本目以降の制作時間が落ちていく。

制作を考えるときは、この形式を次の3層に分解しておくと迷わない。

重要なのは、この3層がそれぞれ別々の権利者に属しているという点だ。編集ソフトの作者、立ち絵を描いた素材配布者、音声エンジンの開発企業、そしてキャラクターの原作者。ゆっくり解説は「無料で作れる」と言われる一方でライセンスの話が延々と付きまとうのは、この多層構造が理由である。手順だけ覚えて走り出すと、収益化の直前でつまずく。

なお「ゆっくり実況」はゲームプレイ映像に掛け合いを乗せる形式で、本記事の対象である「ゆっくり解説」は映像素材が静止画・図解中心という違いがある。素材調達の負荷は解説のほうが軽いが、そのぶん構成と台本の質がそのまま再生数に出る。

尺の相性も先に押さえたい。掛け合いは「問い→答え→反応」で最低3セリフを消費するので、時間を食う。長尺(8〜15分)とは相性が良いが、ショート(〜60秒)では掛け合いを2往復させるのが限界に近い。ショート主軸で始めるつもりなら、後述する代替形式との比較を先に読んでおいたほうがいい。

ゆっくり解説に必要な4要素と、無料/有料の境界線

まず全体像を1枚で押さえる。ゆっくり解説に最低限必要なのは、編集ソフト・キャラ素材・音声・その他素材(BGM/画像)の4つだ。それぞれ「無料で始められるか」と「収益化したときにどうなるか」は別問題である。

要素 代表的な選択肢 制作だけなら無料か 収益化するときの条件 主な注意点
編集ソフト ゆっくりMovieMaker4(YMM4) 無料 ソフト自体は追加費用なし Windows 10以降専用。Mac/iOS/Android非対応
キャラ素材(立ち絵) たぬき式ゆっくり、きつね式ゆっくり、自作 素材による(完全無料のものあり) 素材配布者の規約+東方Projectのガイドラインの両方を満たす必要 素材ごとに規約が別物。改変・再配布の可否が割れる
音声(ゆっくりボイス) AquesTalk1/2/10 非営利の個人利用は無償 広告付き動画は営利目的とみなされ、使用ライセンスの購入が必要 公式ストア表示は税込6,380円・1年(2026年7月時点)
音声(代替) VOICEVOX ほか無料TTS 無料 エンジンとキャラごとの規約に従う 「ゆっくりボイス」ではないため形式の印象が変わる
BGM・効果音・画像 フリー素材サイト 無料のものあり ライセンス表記・帰属表示の条件を満たす YouTubeの著作権申し立ては素材由来が多い

この表からわかるのは、費用が発生する分岐点は「作るとき」ではなく「収益化するとき」に集中しているということだ。逆に言えば、試しに1本作って形式が自分に合うか確かめるところまでは、本当に0円で到達できる。

環境面の制約も先に潰しておく。YMM4の公式配布ページには、Windows 8.1以前・Mac・Linux・ChromeOS・iOS・Androidでは動作しない旨が明記されている(ゆっくりMovieMaker4 公式)。つまり実質的にWindows 10以降のPCが必須だ。MacユーザーはParallelsなどの仮想化環境でWindowsを動かす回避策を取ることになるが、初心者が最初にやる作業としては重い。スマホしか持っていない場合、ゆっくり解説そのものは現実的でないと割り切って、別形式から入るほうが早い。

PCスペックの目安は、フルHDで10分前後の動画を書き出すなら、メモリ16GB・比較的新しめのCPUが快適ラインになる。8GBでも作れるが、立ち絵の差分とエフェクトを重ねるほどプレビューが重くなり、編集の心理的コストが上がる。副業として続けるかどうかは「編集が苦にならないか」で決まるので、ここは軽視しないほうがいい。

キャラ素材のライセンスは二重に効く——東方Projectのガイドラインと立ち絵の規約

ゆっくり解説で最も誤解が多いのがここだ。立ち絵素材の規約さえ守ればいい、と思っている人が多いが、実際は二重のルールを同時に満たす必要がある

1つ目は、原作である東方Projectのガイドライン。上海アリス幻樂団は、個人によるファン活動としての二次創作を常識の範囲で許可しており、動画配信についても個人が自由に配信することを認めている。そして収益化については、動画共有サイトの公式なシステムを用いた収益化は営利目的とみなさず許可する、という趣旨が示されている(東方Projectの二次創作ガイドライン動画配信サービスへの投稿に関するガイドライン)。ただし条件もある。配信は「配信者の創作性のあるもの」であること、第三者の二次創作物を使う場合はその所有者からの許諾が必要であること、そして法人としての活動はガイドラインの範囲外で個別問い合わせが必要であること、などだ。

2つ目は、その立ち絵を描いて配布している素材配布者の規約。ここは配布者ごとにまったく別物で、「東方が二次創作OKだから立ち絵も自由」という推論は成り立たない。

素材系統 商用利用・収益化 改変 クレジット 権利の安定性 確認先
たぬき式ゆっくり 明示的に可(個人・法人・商用を問わず使用料なしと明記) 可(派生素材の制作・配布も歓迎と明記) 不要 規約が単純で読みやすい 公式配布ページ
きつね式ゆっくり(きつねゆっくり) 条件付き。用途が限定的で、明記のない用途は事前問い合わせが必要とされる 制限あり(改変不可とされる系統の報告あり) 規約に従う 2025年末に配布・利用停止の可能性が告知され騒動になった経緯がある 作者の最新告知(Ci-en/X等)
自作イラスト・自分で描いた立ち絵 自分の絵なので素材側の制約はない 自由 不要 素材配布者リスクはゼロ。ただし東方のガイドラインは依然として適用 東方Projectのガイドライン
画像生成AIで作った「ゆっくり風」立ち絵 生成ツールの規約+原作ガイドラインの両方 ツール規約による ツール規約による 判断が難しい領域。公開情報だけでは安全と断定できない 各生成ツールの利用規約

たぬき式については、配布ページに収益化・商用利用・改変・再配布まで自由で、使用料もクレジット表記も不要である旨が示されている。加えて、そこで扱われるのが東方Projectのキャラクターである以上、東方側のガイドラインには別途従う必要がある点も配布側から案内されている。つまり素材の規約が緩いことと、原作の枠が外れることは別の話だ。

きつね式については注意が要る。長年ゆっくり動画の定番だったが、2025年末に作者が素材の配布・利用停止の可能性に言及して大きな騒動になり、その後の支援活動で継続の見通しが立ったという流れが報じられている。ただし規約の運用は厳しくなる方向で、明記されていない用途は事前に作者へ確認するよう補足された、という情報もある。ここは筆者が公開情報を追った範囲では最終的な確定内容を断言できない。きつね式を使うなら、必ず作者本人の最新の告知と利用規約を一次情報として確認することを強く勧める。

ゆっくり解説で本当に重いコストは編集時間ではなく、他人の規約変更ひとつで過去の在庫が丸ごと使えなくなる構造的な不安定さである。

この一文が本記事のいちばん言いたいところだ。1本作るときには意識しなくていい。だが50本、100本と積み上げたあとで素材の配布方針が変わると、影響は在庫全体に及ぶ。副業として数年単位で回すつもりなら、素材選びは「かわいいか」ではなく「規約が単純で、書き換わりにくいか」で選ぶべきである。具体的な運用ルールは3つ。規約は使い始めた日にスクリーンショットで保存する。素材の系統は1本に絞らず、差し替え可能な構成にしておく。そして、事業規模になりそうなら早い段階で自作立ち絵かオリジナルキャラへの移行を検討する。

ゆっくりボイスの商用ライセンス——収益化した瞬間に有料になる

ゆっくり解説のもう一方の柱が音声だ。あの独特の合成音声は、アクエスト社の音声合成エンジン AquesTalk によるものである。YMM4はAquesTalk1/2/10に標準で対応しており、インストール直後から喋らせられる。ここが「無料で作れる」という感覚を生む。

だが公式の案内は明確だ。アクエスト社は、営利を目的としない個人は一定の条件のもとで無償利用できるとしたうえで、営利目的での使用には使用ライセンスが必要だとしている。そして「広告付きの動画投稿」は営利目的の例として挙げられている。公式ストアの「使用ライセンス(商用コンテンツ向け)」は、税込6,380円、有効期間はライセンス証の発行日から1年間、対象はAquesTalk1・AquesTalk2・AquesTalk10・AqKanji2Koeの全OS・全バージョン、と記載されている(音声合成ライセンスの種類・購入使用ライセンス(商用コンテンツ向け))。期限が切れたあとは新規コンテンツの公開ができなくなるが、すでに公開済みのコンテンツはそのまま継続できる、という趣旨の説明もある。

YMM4側の案内でも、AquesTalkの営利目的利用には当該ライブラリの使用ライセンスが必要になる旨が示されている。編集ソフトが無料であることと、音声エンジンが無料であることは別問題だと理解しておきたい。

歴史的な補助線を1つ引いておく。かつて「ゆっくりボイス」の入口として広く使われていた読み上げソフト SofTalk は、2022年7月にAquesTalkへの対応を終了した。ライセンス条件で折り合いがつかなかったことが理由とされ、当時のニュースでも大きく取り上げられた。ここから読み取るべき教訓は単純で、無料ソフトを経由してもエンジンのライセンスは消えないということだ。「このソフトは無料だから大丈夫」という理屈は通らない。

誰が、いつ買うのか

ライセンスを買うべきなのは「その音声で利益を得る人」だ。自分のチャンネルで収益化するなら、購入するのは自分である。外注で制作を頼んでいる場合でも、収益を受け取る主体が誰かで判断する。

購入タイミングの判断は、次のチェックリストで整理できる。

1つでも当てはまるなら、公開前にライセンスの要否を公式に確認するのが安全側の判断になる。逆に、収益化の要件(登録者数・再生時間)にまだ届いておらず、広告も案件もない完全な趣味段階であれば、非営利の個人利用として無償の範囲に収まる可能性が高い。ただしこの線引きは規約文言と運用に依存するため、迷ったらアクエスト社に直接問い合わせるのが確実だ。公開情報の読み取りだけで「自分は大丈夫」と決めるのは避けたい。

ライセンス費用を避けたい場合の代替

「年6,380円は払いたくない」という選択もありうる。その場合は、ゆっくりボイスではない無料の音声合成に置き換えることになる。VOICEVOXは無料で商用利用も可能だが、エンジンとキャラクターで条件が分かれ、クレジット表記の要否など個別の規約がある。詳細はVOICEVOX 商用利用 youtube 注意点にまとめてある。複数エンジンを横並びで比べたいなら無料 音声合成 比較 2026を先に読んだほうが早い。

ただし注意点がある。音声を差し替えた時点で、それは厳密には「ゆっくり解説」ではなくなる。視聴者が期待している音の記号性が失われるため、既存のゆっくり解説視聴層をそのまま取りに行く戦略とは噛み合わない。年6,380円を「形式の入場料」と見るか「不要なコスト」と見るかは、狙う視聴者層で決まる。

ゆっくりMovieMaker4での制作手順:素材集めから書き出しまで9ステップ

ここから実制作に入る。初回は素材集めと設定で3〜5時間、慣れれば10分尺で3〜4時間、ショートなら1本1時間前後が現実的な目安だ。

  1. 環境を確認する:Windows 10以降であること、空きストレージが10GB程度あることを確認する。素材と書き出しファイルは想像以上に容量を食う。
  2. YMM4を入手する:公式配布元「饅頭遣いのおもちゃ箱」からダウンロードし、zipを解凍してYukkuriMovieMaker.exeを起動する。インストーラ形式ではないため、解凍先はDropboxやOneDriveの同期フォルダを避け、ローカルの浅い階層に置く。
  3. 音声エンジンを設定する:ゆっくりボイスで行くならAquesTalkの話者と速度を決める。無料TTSに寄せるならVOICEVOXを別途インストールして連携させる。ここで声のキャラ設定を先に固定しておくと、後から全動画を作り直す事故が防げる。
  4. 立ち絵を登録する:規約を確認した素材をダウンロードし、キャラクター設定から立ち絵として登録する。YMM4の動く立ち絵形式に対応した素材なら、まばたきと口パクがすぐ動く。
  5. 台本を「キャラ+セリフ」の表形式で用意する:これが最重要工程だ。テキストエディタや表計算で「話者/セリフ」の2列にしておくと、YMM4への流し込みが一気に楽になる。
  6. セリフを流し込み、字幕スタイルを整える:フォント、縁取り、色をキャラごとに変える。ここを1回作り込んでテンプレート保存しておけば、2本目以降の作業が激減する。
  7. 背景・BGM・効果音を配置する:解説の切り替わりで背景を変えると、視聴者が章の区切りを認識できる。BGMは-20dB前後を目安に、音声を潰さない音量へ。
  8. 演出を足す:表情差分の切り替え、驚いたときのズーム、結論部分のテロップ強調。全部やる必要はないが、「表情差分の切り替え」だけは費用対効果が高い。
  9. 書き出す:フルHD・30fpsで出力し、尺と音ズレを最終確認する。長尺なら書き出しに実時間の0.5〜1.5倍かかることがあるので、公開予定日から逆算する。

尺と文字数の換算を先に持っておく

台本を書く前に、時間と文字数の関係を数字で押さえておくと迷いが消える。日本語のアナウンサー読み上げは1秒あたり5〜6文字が基準で、ゆっくりボイスも聞き取れる速度に調整するとおおむね同程度に収まる。ここから逆算すると、

となる。掛け合い形式では地の文よりセリフの間が空くため、実際は上記の8割程度に収めると尺が合いやすい。台本を書き終えてから「長すぎた」と気づくのがいちばん時間の無駄なので、書き始める前に目標文字数を決めておく。

公開前チェックリスト

掛け合い台本の作り方とAIの守備範囲

ゆっくり解説の質は、9割が台本で決まる。立ち絵も演出も、台本が退屈なら救えない。

霊夢と魔理沙の役割分担

定番は「霊夢=聞き手・ツッコミ役」「魔理沙=解説役」だ。逆でも構わないが、チャンネル内では固定する。視聴者は数本見るうちに役割で認識するようになるため、途中で入れ替わると認知負荷が上がる。

台本の骨格は次の4拍サイクルを回すのが最も安定する。

  1. 霊夢が素朴な問いを投げる(視聴者の疑問の代弁)
  2. 魔理沙が結論から答える(先に答えを出す)
  3. 霊夢が驚く・疑う(感情の起伏をつくる)
  4. 魔理沙が根拠や具体例で補強する(納得させる)

この4拍を1トピックとして、10分動画なら6〜8トピックを並べる。ここで守るべき制約は3つ。1セリフは40字以内に収める。1トピックにつき掛け合いは1〜2往復まで。専門用語が出たら必ず霊夢に「それ何?」と言わせて言い換える。この3つを守るだけで、聞き取りやすさが目に見えて変わる。

冒頭15秒は別枠で設計する。挨拶から入らない。「結論の先出し」→「引っかかり(意外性・数字)」→「本編の約束」の順に3セリフで畳む。ここを丁寧にやるかどうかで、平均視聴時間が大きく動く。

AIで置き換えられる工程・置き換えられない工程

AIを使えば台本づくりは確実に速くなる。ただし工程ごとに効き方がまったく違う。

工程 AIでの置き換え度 実務上の使い方 人間が残る理由
企画・テーマ選定 候補出しは高速。最終選定は検索需要と自分の勝ち筋で判断 需要のあるテーマかは実データで見る必要がある
リサーチ・裏取り 論点の洗い出しには有効。事実確認は必ず一次情報で AIは誤情報を自然な文体で書く。解説動画では致命傷
台本の初稿 4拍サイクルと字数制約を指定すれば骨格まで出る 面白さの判断はできない
口調・キャラ性の調整 パターンは出せるが、テンプレ臭が残りやすい チャンネル固有の空気は人間が最後に触る
字幕の整形・改行 40字区切りや読点の位置は機械的処理が得意 ほぼ不要
立ち絵の演出付け 差分の切り替え指示は自動化余地があるが感覚的 間の取り方は視聴体験そのもの
素材選定(画像・BGM) 候補提示は速い。ライセンス確認は別 権利確認は人間の責任
権利・規約の判断 論点整理までは有用 誤ると実害が出る。一次情報の確認が必須
サムネ・タイトル 案出しは大量に出せる CTRの実績データを持っているのは運営者だけ
分析・改善 数値の解釈は補助になる 何を次に試すかは戦略判断

台本生成のプロンプトは、次の要素を必ず含めると精度が上がる。役割(霊夢=聞き手/魔理沙=解説)、口調のサンプル(実際のセリフを2〜3行渡す)、禁止事項(挨拶から始めない、専門用語をそのまま使わない、断定的な誇大表現を使わない)、字数制約(1セリフ40字以内)、構成(4拍サイクル×6トピック)、そして出力形式(話者とセリフの2列)。出力形式まで指定しておくと、そのままYMM4へ流し込めるので工数が目に見えて減る。

一方で、AIに丸投げした台本をそのまま公開するのは、後述するYouTubeの量産型コンテンツ判定の観点でリスクがある。AIは骨格生成器として使い、事実確認と面白さの調整は自分でやる。この線引きが、続く章の話につながる。

ゆっくり形式を選ばない選択肢——AI音声+スライド/画像構成との比較

ここまで読んで「ライセンスの確認が思ったより多い」と感じたなら、その感覚は正しい。ゆっくり解説は、形式の完成度が高いぶん、他人の権利を4層借りている形式でもある。副業として設計するなら、借りない形式との比較を一度はやっておく価値がある。

形式 初期費用 権利の複雑さ 1本の制作時間(慣れた後) 差別化の余地 向く題材
ゆっくり解説(立ち絵+ゆっくりボイス) 0円(収益化時に年6,380円程度) 高(原作+素材+音声+BGMの4層) 長尺3〜4時間 中(形式が共通なので中身で勝負) 歴史・雑学・都市伝説・ゲーム
AI音声+スライド解説 0円〜(TTSと素材による) 低〜中(音声規約+素材規約) 長尺2〜3時間 中(図解の質で差がつく) ビジネス・技術・手順解説
AI音声+画像/ストック映像のショート 0円〜 低〜中 1本30〜60分 高(構成と切り口) 雑学・豆知識・ランキング
オリジナルキャラ+AI音声 イラスト制作費 低(自前の権利) 長尺3〜4時間 高(キャラ資産が積み上がる) 継続前提のチャンネル

筆者が運営しているチャンネルの実数値を出しておく。雑学ショート系は登録者1,120人・総再生281万回・投稿60本、睡眠系は登録者121人・総再生12.5万回・投稿110本である。投稿本数が倍近い睡眠系のほうが数字が小さい。つまり伸びを決めているのは形式でも本数でもなく、題材と尺の設計だったというのが手元のデータから読み取れることだ。この2チャンネルはどちらもゆっくり形式ではなく、AI音声+画像構成で運用している。

筆者がゆっくり形式を採らなかったのは品質を疑ったからではなく、規約が一度変われば過去の在庫が同時に価値を失う「集中リスク」を取りたくなかったからだ。

素材配布が止まる、規約が厳格化される、音声ライセンスの条件が変わる。どれも起こりうるし、実際に近い出来事は起きている。60本の在庫が同時に影響を受ける可能性を、副業のポートフォリオとして受け入れられるかどうか。これは損得ではなく設計思想の問題で、受け入れられるなら形式の強さは本物なので迷わず進めばいい。

代替を検討するなら、スライド中心の構成は現実的な選択肢になる。手順はスライド解説動画 顔出しなし 作り方にまとめてある。ゆっくりの掛け合いに慣れた視聴者にはやや淡白に映るので、図解の密度と音声の抑揚で補う必要がある。

ツール面では、Windows PCを前提としないブラウザ完結型の生成ツールもいくつか出てきている。そのうちの一つが、当サイトが開発・運営しているShortyだ。テーマを入れると雑学系のショート動画を生成する仕組みで、立ち絵素材や音声エンジンのライセンス管理を自分で抱えたくない人にとっては選択肢になりうる。ただし無料プランには明確な制約がある。1本30秒まで、30日で5本まで、生成した動画の保存は7日間、形式はショートのみだ。長尺のゆっくり解説を作りたい人の代わりにはならないし、ゆっくり形式そのものを再現するものでもない。YMM4での制作が向く人はYMM4を使えばよく、ここでは「ライセンス管理の負担を減らしたい場合の選択肢の一つ」として挙げているにすぎない。

なお、どの形式を選んでも合成音声である以上、視聴維持率の壁は共通して存在する。冒頭で離脱される原因と対策はAI音声 すぐスワイプされる 対策で詳しく扱っている。

2025年7月のYPP改定と「量産型ゆっくり解説」——テンプレが不利になる条件

2025年7月15日、YouTubeは収益化ポリシーの記述を更新した。従来「繰り返しの多いコンテンツ」と呼ばれていたポリシーが「量産型のコンテンツ」に整理され、繰り返しの多いコンテンツだけでなく大量生産されたコンテンツも該当することがより明確化された。英語圏では inauthentic content という表現で説明されている。

ここで多くの人が誤解する。「テンプレ形式のゆっくり解説は収益化できなくなるのか」——結論から言えば、そうではない。YouTube側も新ルールの追加ではなく既存ポリシーの明確化だと説明しており、同じキャラクター・同じ音声・同じ構成を使い回すこと自体が違反になるわけではない。ニュース番組が毎日同じセットで放送しても問題にならないのと同じだ。

問題になるのは、視聴者にとっての付加価値が生まれていない場合である。具体的には次のようなパターンだ。

  1. 他サイトの記事をほぼそのまま読み上げただけの動画
  2. 同一テンプレートに単語だけ差し替えて量産した動画
  3. AI生成の台本と素材を無編集で並べただけの動画
  4. 独自の解説・検証・視点がまったく含まれない動画
  5. 内容と無関係な釣りサムネイル・釣りタイトル

ゆっくり解説はテンプレ性が高いぶん、上のパターンに滑り落ちやすい形式だと言える。対策は以下の5つに集約できる。

  1. 一次情報に当たる:公式発表、統計、原典。二次まとめの再構成だけで終わらせない。
  2. 構成を毎回変える:4拍サイクルは維持しつつ、トピック数や導入の切り口を動画ごとに変える。
  3. 自分の実体験・実数値を1箇所は入れる:検証した、試した、測った、という要素は他人がコピーできない。
  4. 音声の演技を設計する:速度・間・感情表現を場面ごとに変える。単調な棒読みは「機械的な量産」に見える最大の要因だ。
  5. サムネと導入を作り分ける:同じ型でも訴求は毎回変える。

判定基準の詳細と、テンプレート形式がどこまで許容されるかについてはinauthentic content とは youtubeで整理している。合わせて確認しておくと、企画段階での判断が速くなる。

なお付け加えると、この改定はゆっくり解説を狙い撃ちしたものではない。むしろ狙われているのは、生成AIで大量生産された低品質動画である。ゆっくり形式は歴史が長く、丁寧に作られた作品も多い。だからこそ、「形式が同じでも中身が違う」ことを毎回示せるかどうかが分岐点になる。

よくある質問

ゆっくり解説は本当に無料で作れるのか?

作るだけなら無料で完結する。YMM4も無料、完全無料で商用利用可の立ち絵素材もある。ただし収益化するとAquesTalkの使用ライセンス(税込6,380円・1年、2026年7月時点)が必要になる。

「無料」の境界は制作と収益化の間にある。趣味として非営利で作り続ける限りは0円で回せるが、広告収入を受け取る段階に進むなら音声ライセンスの費用が発生する。加えて、Windows PCを持っていない場合はハード費用が実質的な初期投資になる。

ゆっくり解説で収益化してもよいのか?

東方Project側のガイドラインでは、動画共有サイトの公式な収益化システムを用いた収益化は営利目的とみなさず許可する趣旨が示されている。ただし配信者の創作性があることが条件で、法人は個別問い合わせが必要とされている。

つまりキャラクター側の観点では、個人が創作性のある解説動画を作りYouTubeの広告で収益化すること自体は想定内の使い方だと読める。ただしこれは原作側の話であり、立ち絵素材の規約と音声エンジンのライセンスは別途クリアする必要がある。またガイドラインは改定されうるので、公開前に公式のガイドラインを確認してほしい。

AquesTalkの商用ライセンスはいくらで、いつ買えばよいのか?

公式ストアの「使用ライセンス(商用コンテンツ向け)」は税込6,380円、有効期間はライセンス証の発行日から1年間である(2026年7月時点)。広告付き動画の公開を始める前に購入するのが基本だ。

対象はAquesTalk1・AquesTalk2・AquesTalk10・AqKanji2Koeの全OS・全バージョンとされている。期限が切れると新規コンテンツの公開はできなくなるが、すでに公開済みのものは継続できるという説明がある。購入すべきなのは「その音声で利益を得る人」で、自分のチャンネルで収益化するなら自分が購入者だ。細かい条件はアクエスト公式で確認すること。

立ち絵素材はどれを選べば安全か?

規約が単純で、商用利用・改変・再配布の可否が明文化されているものを選ぶのが安全だ。たぬき式ゆっくりは収益化・商用利用・改変・再配布まで自由でクレジット不要と明記されており、初心者には判断が楽な部類に入る。

ただし素材の規約が緩くても、東方Projectのキャラクターである以上、原作側のガイドラインには従う必要がある。この二重構造を忘れないこと。長期運用を考えるなら、いずれ自作立ち絵やオリジナルキャラへ移行する道も検討に値する。

ライセンスを買わずに収益化したらどうなるのか?

権利者から利用停止や対応を求められる可能性があり、動画の非公開化やチャンネル運営そのものへの影響につながりうる。具体的にどの段階でどう対応されるかは公開情報からは確認できないため、断定は避ける。

重要なのは「バレるかどうか」ではなく、規約違反の状態で収益を積み上げると、後から在庫全体を作り直す羽目になりうるという点だ。年6,380円は、60本の動画を作り直す手間と比べれば安い保険と考えるのが合理的である。判断に迷うなら権利者へ直接問い合わせるのが最短の解決策だ。

スマホだけでゆっくり解説を作れるか?

YMM4はWindows専用でスマホでは動かないため、本格的なゆっくり解説をスマホだけで作るのは現実的ではない。

スマホ向けの動画編集アプリで、立ち絵画像と読み上げ音声を組み合わせて「ゆっくり風」に見せることは技術的には可能だ。ただし口パク・まばたき・表情差分といったゆっくり動画特有の表現が再現しづらく、作業効率も落ちる。スマホ環境しかないなら、AI音声+画像構成のショートから入って、PCを用意できた段階でゆっくり形式に移るほうが現実的だ。

AIに台本を全部書かせても収益化できるか?

AIを使うこと自体は禁止されていない。問題になるのは、AI生成物を無編集で並べただけで視聴者への付加価値がない場合だ。骨格生成にAIを使い、事実確認と構成の調整を自分で行う運用なら問題は生じにくい。

特に解説系では、AIが自然な文体で誤情報を書くリスクが致命的になる。数値・年号・固有名詞は必ず一次情報で裏を取ること。加えて、同一テンプレートに単語だけ差し替えた量産は2025年7月に明確化された量産型コンテンツの観点で不利になりやすい。

きつね式が使えなくなるという話は本当か?

2025年末に作者が素材の配布・利用停止の可能性に言及して騒動になったのは事実だが、その後の支援活動により継続の見通しが立ったと報じられている。ただし最終的な運用条件は公開情報だけでは確認しきれない。

現時点で言えるのは、明記されていない用途については作者への事前確認が求められる方向にある、という点までだ。きつね式を使うなら作者本人の最新告知と利用規約を必ず一次情報として確認すること。他人のまとめ記事(本記事を含む)を根拠に判断してはいけない領域である。

法人や事業としてゆっくり解説を使えるか?

東方Projectのガイドラインでは、個人のファン活動としての二次創作を前提としており、ガイドラインに該当しない法人の活動は個別に問い合わせることとされている。事業として運用するなら問い合わせが前提になる。

音声側も同様で、法人が合成音声を使って動画を作る場合は使用ライセンスの対象として明示されている。個人副業として始めたチャンネルが法人化する場合は、この2点を改めて確認する必要がある。規模が大きくなるほど、オリジナルキャラへの移行の合理性も上がっていく。

ゆっくり解説はいまから始めても遅いか?

形式としては成熟しており競合は多いが、題材の切り口とリサーチの深さで差をつける余地は残っている。飽和しているのは「形式」であって「題材」ではない。

ただし、いまから参入するなら「ゆっくり形式である必然性」を自分の中で言語化しておいたほうがいい。掛け合いによって難しい話が噛み砕かれるという価値があるなら形式は効く。単に顔出ししたくないだけなら、権利構造がシンプルな形式のほうが運用は軽い。

まとめ

ゆっくり解説の作り方を整理すると、押さえるべき事実は4つに絞られる。制作は無料で完結すること。収益化した瞬間にAquesTalkの使用ライセンス(税込6,380円・1年、2026年7月時点)が必要になること。キャラ素材は原作ガイドラインと素材配布者の規約という二重のルールに従うこと。そしてAIは台本の骨格までは任せられるが、事実確認と権利判断は任せられないこと。

そのうえで本記事の独自の主張をもう一度書く。ゆっくり解説の本当のコストは編集時間ではなく、他人の規約の上に在庫を積む構造的な不安定さである。筆者が自社チャンネルでこの形式を採らなかったのも、品質ではなくその集中リスクが理由だった。それを理解したうえで選ぶなら、ゆっくり形式は視聴者の期待が確立された強い形式だ。理解せずに50本積んでから気づくのがいちばん高くつく。

最後に、次にやるべきことを順番で置いておく。

  1. まず1本を非営利で作り、形式が自分に合うか確かめる。台本と工程の効率化については雑学 ショート 自動生成 やり方が土台になる。
  2. 合成音声で離脱されない導入の作り方をAI音声 すぐスワイプされる 対策で押さえる。冒頭15秒の設計はどの形式でも共通して効く。
  3. 収益化を目指す段階に入る前に、立ち絵素材の規約とAquesTalkのライセンス要否を一次情報で確認する。
  4. ゆっくり形式の権利管理が重いと感じたら、スライド解説動画 顔出しなし 作り方で代替形式を検討し、自分のポートフォリオを1形式に依存させない設計にする。

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