最終確認日:2026年11月1日(文化庁の原文・各ツールの規約は変わることがあるため、この記事を読んだ日にも一次情報を確認してください)
AIで作った画像や音声をショート動画に使い、YouTubeなどに投稿したり、収益化したりしてよいかは、「AIが作った部分」と「人が手を加えた部分」を分けて考えると判断しやすくなります。文化庁の整理では、AIに指示を出すだけでなく、人が創作的に関わった部分には著作権が生じうるとされ、またAI開発・学習段階と生成・利用段階は別の問題として扱われています。あわせて、使うツールごとの利用規約(商用利用の可否・クレジット表記の要否)の確認も欠かせません。この記事では、文化庁の原文と、ショート動画1本に使う素材別(台本・画像・声・BGM・フォント)のチェック表で整理します。
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文化庁「AIと著作権に関する考え方について」の原文で確認する
文化庁は2024年3月15日、文化審議会著作権分科会法制度小委員会として「AIと著作権に関する考え方について」を取りまとめました(概要版は2024年4月公表、文化庁著作権課)。原文は文化庁の該当ページから、考え方の本体と概要PDFを確認できます(2026年11月1日取得)。
まず押さえておきたいのは、この文書の位置づけです。
「考え方」は、現行の著作権法の解釈について、公表時点における、小委員会としての一定の考え方を示すものです。「考え方」それ自体は法的な拘束力を有するものではなく、また現時点で存在する特定の生成AIやこれに関する技術について確定的な法的評価を行うものではありません。(文化庁著作権課「AIと著作権に関する考え方について【概要】」令和6年4月、2026年11月1日取得)
つまり法律そのものではなく、現行の著作権法を審議会がどう読んでいるかの整理です。個別の判断に迷ったときは、最終的には弁護士や文化庁の相談窓口に確認するのが確実です。
開発・学習段階と、生成・利用段階は別の問題
文化庁の整理では、AIに関わる著作権の論点は「AI開発・学習段階」「生成・利用段階」「AI生成物の著作物性」の3つに分けて考えるとされています。ショート動画の制作で主に関係するのは後の2つです。
開発・学習段階(AIツール側がモデルを作る過程)には著作権法第30条の4が関わります。
著作物に表現された思想又は感情の享受を目的としない利用行為(非享受目的の利用行為)は、原則として著作権者の許諾なく行うことが可能とされています。(同上、第30条の4の規定内容より)
ただし、この条文にはただし書があり、「著作権者の利益を不当に害することとなる場合」は対象外とされています。AIツールを使う側がこの段階を直接コントロールすることはできませんが、サービス提供元が学習データの扱いにどこまで配慮しているかは、ツール選びの判断材料になります。
生成・利用段階:既存の著作物に似せていないかが基準
自分でAIを操作して画像や音声を生成し、それをアップロードしたり販売したりする段階では、通常の著作権侵害と同じ基準で判断されます。
生成された画像等に既存の画像等(著作物)との類似性(創作的表現が共通していること)及び依拠性(既存の著作物をもとに創作したこと)が認められ、かつ、権利制限規定の対象外である場合は、既存の著作物の著作権侵害となります。(同上、「著作権侵害の要件:類似性と依拠性」より)
逆に言えば、既存の著作物と似ていなければ、著作権侵害にはなりません。実務上は「特定のキャラクターや作品名を名指しして生成させない」「既存の有名な絵柄・構図を再現させない」が最低限の線引きになります。
AI生成物そのものに著作権は生じるか
もうひとつ別の論点として、AIが作った画像や文章そのものに著作権が発生するかという問題があります。
AIが自律的に生成したもの(人が何ら指示を与えず、又は簡単な指示を与えるにとどまり「生成」のボタンを押すだけでAIが生成したもの等)は、「思想又は感情を創作的に表現したもの」ではなく、著作物に該当しないと考えられます。これに対して、人が思想又は感情を創作的に表現するための「道具」としてAIを使用したものと認められれば、著作物に該当し、AI利用者が著作者となると考えられます。(同上、「AI生成物の著作物性」より)
人がAIを「道具」として使ったと言えるかどうかは、「創作意図」と「創作的寄与」で判断されるとされています。簡単な一言プロンプトだけで出した画像より、自分でテーマ・構図・台詞を具体的に指示し、出来上がりを見て指示を直しながら作った動画のほうが、人の創作的寄与が認められやすいという整理です。
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文化庁の整理は著作権法の解釈であり、それとは別に、使うAIツールそのものの利用規約も確認する必要があります。商用利用の可否・範囲は、ツールの種類やプラン、無料枠か有料枠かによってまちまちで、同じ「AI音声」でもキャラクターごとに条件が違うことがあります。
声の合成でよく使われるVOICEVOXは、キャラクターごとに利用規約が分かれており、多くはクレジット表記(「VOICEVOX:キャラクター名」の記載)を条件に商用・非商用どちらでも利用できます。一方で、同じVOICEVOXでも企業名義での利用には別途確認が必要なキャラクターもあります。VOICEVOXの規約の読み方とクレジット表記の例は、VOICEVOXの商用利用ガイドに詳しくまとめています。
画像生成・BGM生成のツールについても、一般的な傾向として次の点を確認してから使うと安全です。
- 生成した画像・音声の商用利用が無料プランでも認められているか(有料プランのみ可というツールもある)
- 著作権者の表記(クレジット)が必要か、不要でも推奨されているか
- 生成物を販売・再配布する用途まで認めているか(視聴目的の利用のみ許可のツールもある)
- 規約は改定されることがあるため、ツールを使うたびに最新版を確認する
個別のツールの規約条文は配布形態やバージョンで変わるため、この記事では断定的な引用はせず、使う直前に各ツールの公式ページで確認することを前提にしています。
ショート動画1本の素材別チェック表
ショート動画1本には、台本・画像・声・BGM・フォントの5つの素材が入ります。それぞれ「誰が作ったか」で確認するポイントが変わります。

| 素材 | 作り方の例 | 確認するポイント |
|---|---|---|
| 台本 | 自分で書く/AIに下書きさせて自分で直す | 下書きのまま使うより、自分で手を入れた部分のほうが自分の著作物として扱われやすい |
| 画像 | AI画像生成ツールで作る | ツールの利用規約で商用利用の可否を確認。特定の作品・キャラクターに似せない |
| 声 | AI音声合成(VOICEVOX等)を使う | キャラクターごとに規約が違う。クレジット表記の要否を個別に確認 |
| BGM | フリー音源・生成AIの音源を使う | フリー素材も用途(動画への利用可否・再配布可否)が規約で分かれている |
| フォント | OS同梱フォント・フリーフォントを使う | 同梱フォントは動画への焼き込みも含め使えることが多いが、フォントごとに規約は別 |
自分で全部の素材を集めて確認するのは手間がかかります。素材を自分で集めずに1本作ると何が入るか、Shortyの無料プランでテーマを入力して試すこともできます(1本30秒まで・30日3本まで)。どこまで自動で作れるかはAI副業はどこまで自動化できるかでまとめています。
Shortyの出力素材はどこから来ているか
この記事を書くにあたり、当サイトの実装を確認しました(2026年11月1日確認)。
- 画像:Gemini系の画像生成モデル(Google CloudのVertex AI経由)で生成しています。OpenAIの画像生成は2026年10月以降使っていません
- 声:既定はVOICEVOX(キャラクター:青山龍星)です。VOICEVOXが使えない場合は、Gemini TTS(Vertex AI)にフォールバックします。VOICEVOXのクレジット表記は動画・説明欄に自動で付与しています
- BGM:生成AIでその都度作っているのではなく、あらかじめ用意した1曲の音源を使っています
- 字幕のフォント:Windowsに標準搭載されている「Meiryo」を使っています
各モデル・各ツールの利用規約の細かい条項は随時更新されるため、この記事では断定せず「公開情報で確認できる範囲」にとどめています。正確な最新条件は、各サービスの公式規約ページで確認してください。
よくある質問
AIで作った動画は自分の著作物になるか?
文化庁の整理では、人が「創作意図」を持ち、構成や言い回し、画の指示などで「創作的寄与」と言える関わり方をしていれば、著作物として扱われる可能性があります。逆に、AIに一言だけ指示してボタンを押しただけの場合は、著作物に当たらないと考えられています。
他人の絵柄やキャラクターに似せてAI画像を作るとどうなるか?
生成した画像が既存の著作物と「類似性」(表現が共通していること)と「依拠性」(それをもとに作ったこと)の両方が認められると、著作権侵害になり得ます。特定の作品名・キャラクター名を指定して似せて生成する行為は避けるのが安全です。
VOICEVOXなどのAI音声は必ずクレジット表記が必要か?
VOICEVOXはキャラクターごとに規約が異なり、多くは「VOICEVOX:キャラクター名」という形式のクレジット表記を条件に商用・非商用どちらでも利用できます。キャラクターや利用形態によって条件が変わるため、使う前に該当キャラクターの規約を個別に確認してください。詳しくは上のVOICEVOXの商用利用ガイドで解説しています。
著作権を侵害しているか不安なときはどこに相談すればよいか?
個別の事案の法的な判断は、最終的には弁護士など専門家への相談が確実です。文化庁も「文化芸術活動に関する法律相談窓口」など著作権の相談窓口を設けています。あわせて投稿前には、YouTubeのAI表示に関する決まりごとも確認しておくと安心です。
まとめ
AIで作った画像・音声をショート動画に使うときは、①文化庁の整理では人がどれだけ創作的に関わったかで著作物性が変わること、②既存の著作物に似せていなければ著作権侵害にはなりにくいこと、③使うAIツールごとの利用規約(商用利用・クレジット表記)は別途確認が必要なこと、の3点を押さえておくと判断しやすくなります。著作権侵害がなくても、YouTubeの収益化ポリシー(量産型コンテンツの判定基準)は別の基準で判定されるので、あわせて確認してください。AI副業の始め方の記事では、著作権以外の決まりごと(YouTubeのAIラベル・収益化の条件・確定申告など)もまとめて確認できます。規約は変わるため、動画を作る前に最新の一次情報を見る習慣をつけておきましょう。